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2023夏の甲子園リポート

第105回全国高等学校野球選手権記念大会が開幕! 「2度目の初優勝」を目指す仙台育英が猛打で好発進

 

始球式を務めた栗山英樹氏。「WBCと比べて、100倍緊張した」と語った[写真=田中慎一郎]


 105回目の熱戦の火蓋は世界一に輝いた指揮官が投じた1球により切って落とされた。

 WBCで日本代表の監督を務め、史上最強と謳われた侍ジャパンを率いて見事優勝を果たした栗山英樹氏が選手権大会の開幕試合で始球式を行った。

「甲子園出られなかったですけど、まさかこの年までボールを持ってここに来られるとは思ってないですし、来るたびに感動もするし緊張もしますけど、みんなが100年経っても200年経っても、そういうふうに思う場所であってくれると信じているので、あとは次の世代に任せた! そういう思いです」

 野球への情熱を込めた投球はノーバウンドで捕手のミットに収まり、その思いはしっかり選手にも届いていた。

 土浦日大(茨城)と上田西(長野)の開幕戦はいきなりタイブレークに突入する熱戦で土浦日大が制し、第2試合では聖光学院(福島)と共栄学園(東東京)の両チーム合わせて26本の安打が飛び交って聖光学院が勝利。第3試合には昨年王者の仙台育英(宮城)が登場し強豪・浦和学院(埼玉)と対戦。初戦屈指の好カードは予想に反して点の取り合いとなり、19安打19得点の猛攻を見せた仙台育英に軍配が上がった。

開幕日の第3試合で浦和学院を19対9で下した昨年の覇者・仙台育英[写真=牛島寿人]


 仙台育英は初回にエンドラン絡みでチャンスをつくると内野ゴロがイレギュラーして2点適時打となりラッキーな形で先制に成功。3回には尾形樹人湯田統真の連続本塁打などで一挙5得点。序盤で9点のリードを奪った。自慢の投手陣は宮城大会5試合で許した失点は2点だけ。主力投手の高橋煌稀、湯田、仁田陽翔は全員最速150キロをマークする充実の布陣だが浦和学院に2度ビッグイニングをつくられてしまう。

 だが、相手に流れが傾きかけたことはあったが攻撃陣も常に攻め続け主導権は渡さない。負けじとビッグイニングを4度つくり、粘る浦和学院を振り切った。

 両軍合わせて37安打でスコアは19対9。3時間を超える激戦を制した須江航監督は「こんな試合になるとは0.00001%も思っていなかった。今日の試合はラッキーが重なった上での勝利だった。ここまで点を取ったこともないし、取られたこともない。ここまで食らいついてこられたのは本当に想定外」と振り返った。

 万が一、投手陣が崩れても攻撃力は昨年よりも今春よりも上。「2度目の初優勝」を目指すディフェンディングチャンピオンが新たな一面を見せつけ初戦を突破した。(取材・文=小中翔太)
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