Kis-My-Ft2・玉森裕太のパイロット姿が似合いすぎる!【辛酸なめ子の「おうちで楽しむ」イケメン2022 vol.38】

Kis-My-Ft2の玉森裕太さんが主演、JALが全面協力していることも話題のドラマ『NICE FLIGHT!』。昨年のドラマ『ボス恋』ので好演も記憶に新しい玉森さんがパイロットに扮し、アラサー男女の仕事と恋を描いた今回のドラマについて辛酸さんにレビューしていただきました。

JAL全面協力! 飛行機好きにもたまらない設定

Kis-My-Ft2の玉森裕太

Kis-My-Ft2の玉森裕太が主演のテレビ朝日系ドラマ『NICE FLIGHT!』は、なんとJALが全面的に協力。JALの機材やフライトシミュレーター訓練施設などを活用、パイロットやCAの制服にも本物感が。飛行機好きもテンションが高まるドラマです。
玉森裕太が演じているのは副操縦士の倉田粋。彼が乗っているフライトはトラブルに巻き込まれがちなので「ツイてるコーパイ(副操縦士)」と呼ばれています。マイクロバーストが発生した悪天候フライトの日に無事に羽田空港に導いてくれた声の主を探すうちに、感謝の気持ちが恋心へと高まっていく、というストーリー。一見無愛想だけれど有能な航空管制官、渋谷真夢を演じているのが中村アン。同僚の気象予報士の資格を持つ航空管制官、夏目幸大を演じるのがSnowManの阿部亮平で、実際に気象予報士資格を持っているので台詞にも説得力があります。

実は一番おいしいのは吉瀬美智子演じる喜多見機長…?

1話では登場人物の紹介をしつつ、航空業界の仕事の素晴らしさについてもPR。修学旅行で空港に来たものの、飛行機を怖がる中学生に「大丈夫、飛行機は世界一安全な乗り物だから」と語りかける倉田粋の姿に、いち利用者としても安心感が。副操縦士・倉田粋は吉瀬美智子演じる喜多見七海キャプテンとよく一緒にコックピットに入っていて、信頼関係もバッチリです。頼れるかっこいい先輩、喜多見キャプテン。狭いコックピットで「テイクオフ!」とか言いながら一緒にレバーを引いたり、観れば観るほどこのドラマで一番おいしい役は吉瀬美智子かもしれないと思えてきます。
2話では真夢が搭乗訓練に参加。青森空港に到着したらエンジンに不具合が見つかり、青森に一泊することになった粋。なぜか訪れた空港関係者の家は真夢の実家で、意識し合う2人、という展開でした。時々お互いの発言に心をざわつかせながらも、飛行機好きという価値観でつながる粋と真夢。その時一陣の風が吹き、よろけた2人はかなり顔が近付く,というハプニングが。「結構強かったですね」「はい10ノットくらい」と言い合っていましたが、風でよろけがちなパイロット、というのも不安要素です。そうは言っても「おっさんずラブ」で恋愛で情緒不安定になりまくっていた吉田鋼太郎演じるパイロットよりは安心感がありますが……。ラブコメの王道として、2人は体がぶつかったり、もつれて重なり合ったりとハプニングが多めです。仕事ではプロとして緊張感がみなぎっているぶん、私生活にはスキが生まれるのでしょうか。

恋愛ドラマにおける「バッテリー効果」

3話は、自分が粋が探している管制官だと嘘をついた河原かすみ(玉城ティナ)に天罰が下ったのか、彼女が次々と受難に見舞われる回。管制官として交信中に便名を間違えてしまったり、バードストライクしそうなのに離陸許可を出してしまったり……緊張が走る管制塔。さらに皆の行きつけの店に行ったら粋とも遭遇し、会話するうちに、かすみが粋に近付くためについていた嘘もバレてしまいます。一同気まずくなってしまいますが、開き直ったかすみは、その後自己中キャラとして新たな道を躍進。
翌日のフライトでは激しい雨の中、飛行機を無事に着陸させるために皆で協力しあいます。「雲が薄くなってる、ここなら行けます!」という夏目幸大の自信みなぎるセリフがかっこいいです。それにしても大雨のフライトで、あんなに管制塔とコックピットが緊張感に包まれるとは。乗客側としては雨のフライトは珍しくないですが、あの緊迫感を知ってしまうと、これから乗る時の意識が変わりそうです。「飛行機は安全な乗り物」というセリフがありましたが、それは操縦士だけでなく、整備士、CA、管制官など支える人々の尽力があってこそなのでしょう。
4話では、いろいろあったけれど粋と真夢、夏目とかすみに、航空整備士の酒木ジェームス(尾上右近)と息子、チーフパーサーの飯塚理香子(黒川智花)も誘い合わせて、皆で一緒にキャンプに行く展開に。キャンプなので粋のパイロット姿が拝めないのがちょっと残念でしたが、粋と真夢が一緒に買い出しに行く、というまたドキドキさせる展開に。男女が一緒に買い出し=デキている、とつい妄想してしまいますが、買い出し先で車のバッテリーが上がって動かなくなる、というハプニングも発生。パイロットが何かのスイッチを切り忘れて車のバッテリーを上げてしまう……これもまた不安要素ですが、それだけ粋の気持ちが浮き足立っていた、ということかもしれません。そしてバッテリーが上がって車が動かなくなって男女2人きり、というドラマの展開を過去にも見たことがありますが、これは「吊り橋効果」ならぬ「バッテリー効果」というものなのでしょうか。(実際に、わざとライトを付けっ放しにしたりして真似する人が出ないといいのですが……) 粋が他の車に助けてもらおうと探しに行っている間に、ヤカラ2名に絡まれる真夢。すると粋が戻ってきて男性の手を振り払うと、真夢の肩を抱き「この人、俺のなんで、よそ行ってもらえます?」とヤカラたちに言い放ちます。その後、とっさに彼氏のフリをしたことを謝っていましたが、なんとなくいい感じになる2人でした。

羽田展望デッキのキスシーンでエモさが最高潮に

5話はまた飛行機のシーンが多く、飛行機好きが盛り上がる回でした。真夢を花火フライトに誘ってみた粋でしたが「ツイてる」だけあって、その日のフライトがダイバート(目的地以外の空港に行き先変更)になってしまいます。搭乗客の中に演奏会を控えたヴァイオリニストなどがいて不穏な空気になりますが、粋の判断力で着陸を福岡から北九州空港に変更。でも、花火フライトには間に合わずキャンセルに。粋はもう真夢と会うことをあきらめていたのですが、夜遅く羽田の展望デッキにいたら背後から近づいてくる真夢が!  スマホの時代にずっとデッキで待っていた、というエモい展開が見られるとは。パイロットがそれだけ時間が読めない、デートが難しい職種ということなのでしょう。自然と抱き合い、キスする2人。花火を上から見てみたいと話していた2人ですが、キスする2人を俯瞰しているような画角になって、恋の花火がスパークしている様子を視聴者が観賞しているような疑似感に。
恋の進展がわりとゆっくりですが、航空業界の仕事の部分もちゃんと表現していてワークライフバランスが良いドラマです。パイロット訓練のスパルタな展開次第では、「スチュワーデス物語」のように後世に残る名作になりそうで、期待が高まります。

辛酸なめ子


イケメンや海外セレブから政治ネタ、スピリチュアル系まで、幅広いジャンルについてのユニークな批評とイラストが支持を集め、著書も多数。近著は「辛酸なめ子の世界恋愛文学全集」(祥伝社文庫)、「女子校礼賛」(中公新書ラクレ)、「電車のおじさん」(小学館)、「新・人間関係のルール」(光文社新書)など

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