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【葉巻とタバコの違い】構造や吸い方・健康面・産地の違いを徹底解説

葉巻たばこ(シガー)は、一般に販売されている紙巻きタバコよりもとても高価です。
普通のタバコしか吸ったことがない人は、葉巻を吸うとその奥深さに驚くことでしょう。

今回は、葉巻と普通のタバコの違いを、価格や味、香りなどの観点で比較することで、シガーの魅力をお伝えできればと思います。
タバコをやめる人が増えている一方で、一本の葉巻をゆったりとした時間の中で楽みたいという方は増えつつあります。
自分なりのシガーの楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。

この記事の要約

葉巻とタバコの違いのうち、抑えるべきは下記3つ。

  1. 普通のタバコはタバコ葉を紙で巻いているのに対し、葉巻はタバコ葉をタバコ派で巻いている。(構造上の違いは他にもある)
  2. タバコの煙は肺まで吸うのに対し、葉巻の煙は口の中で味わい、肺まで吸わない。
  3. 普通のタバコはニコチンを摂取することが主目的なのに対し、葉巻はタバコ葉の香りや味を楽しむことが主目的。

葉巻(シガー)と普通のたばこの違い

葉巻と普通のタバコはどう違うのでしょうか?
一般的に「普通のタバコ」と呼ばれているのは、メビウスやラークなどのモダンな紙巻タバコのことです。
ここでは、そんな紙巻タバコとシガーの違いについて解説していきます。

葉巻と普通のタバコの構造上の違い

普通の紙巻タバコの構造上の特徴は大きく3つあります。

  1. 刻んだタバコの葉を特殊なペーパーで巻いている
  2. フィルターというタールやニコチンの量を調節し、風味をライトにするための装置がついている
  3. フレーバーなどで味や香りづけしている

対して葉巻は下記のような特徴があります。

  1. タバコの葉100%で作られており、たばこ葉をたばこ葉で巻いている
  2. フィルターもフレーバーなどによる味付けも存在しないため、たばこ葉の純粋な煙がダイレクトに口腔内に広がる

まとめると、葉巻は100%たばこ葉を使ったオーガニックな製品であり、普通のタバコはたばこ葉の香りにフレーバーやフィルターを追加して味を人工的に作ったものになります。

一部、葉巻として販売されている普通のたばこもある

日本の税法上では紙巻きたばこでも巻いてある紙の部分に一部でもたばこの葉が使用されている場合は「葉巻」扱いになります。
この区分を利用して今まで普通のたばことして販売していた商品の紙に少量のたばこ葉を混ぜて2019年9月よりリトルシガーとしてリニューアル販売したのがJTの「わかば・シガー」、「エコー・シガー」です。

この製品はほとんど今までの「わかば」「エコー」と変わらない味わいなのですが、税金を安く抑えるために税法を逆手にとってリニューアルしたものではないかと考えてられています。
その後すぐに税法が変わり、これらの商品にも紙巻きたばこと同等の税金が割り当てられるようになりました。

葉巻と普通のタバコの吸い方、楽しみ方の違い

フィルターの有無やタバコ葉の量の違いから、葉巻と普通のタバコとでは吸い方が異なります。
普通のタバコは煙を肺まで入れますが、葉巻は肺まで煙をいれずに口の中でふかして吐き出します。
葉巻はフィルターがなく、ニコチン、タール、煙の量も多いため肺までいれるとかなりの負担になってしまことと、タバコ葉の味わいをダイレクトに感じられるため、口腔内で煙を味わうことが出来ることから、このような味わい方となっています。

一方、通常のタバコは、タバコ葉が葉巻で使用されているたばこ葉より格段に品質が落ちるため、たばこの味をフレーバーなどで薄めたうえで、ニコチンを身体に取り入れるような仕組みになっています。
葉巻は煙の味や香りを楽しむためのものであり、普通のたばこはニコチンを摂取するものという点で、同じタバコでも両者の楽しみ方は明確に違っているのです。

葉巻とたばこのルーツの違い

葉巻は最も古いタバコの加工技術の一つで、古代中央アメリカで行われていた喫煙方法の一つです。
1600年以上前のマヤ文明「「パンレケ」という遺跡に葉巻のようなものから煙が出ている絵が描かれています。
当時はタバコ葉を燃やして煙を全身にまとうという宗教的な儀式で使用されており、現在のようなポピュラーなものではありませんでした。

新大陸発見時、原住民がハバナタバコの生葉をねじり、乾燥したトウモロコシの葉で包み、巻いて吸う姿がヨーロッパ人に目撃されます。
これがスペインに伝わり、1620年に王立の葉巻工場「サン・ペドロ工場」で製造されるようになり、貴族や商人たちの間で広く楽しまれるようになりました

その後、ナポレオン侵攻により葉巻はヨーロッパ中に伝わり、嗜好品として味や香りが洗練され、葉巻の材料となるタバコの栽培方法や葉巻の製造方法が確立さるようになりました。

一方、紙たばこの歴史は浅く、1853年のクリミア戦争だといわれています。
当時パイプを吸っていた兵士が戦争中にパイプを失い、その代替手段として紙にたばこ葉を巻いて吸ったのが始まりという説が濃厚です。

葉巻とタバコには200年以上の歴史の差があり、そこも違いの一つといえるでしょう。

葉巻とタバコの生産国・ブランドの違い

普通のタバコは世界中で生産されている

普通たばこの生産国をランキングで表すと以下のようになっています。
1. 中国
2. インド
3. ブラジル
4. アメリカ
5. インドネシア

これを見ると人口が多い国がタバコの生産も多いということが分かります。
つまり、消費が多い国で多く生産されている、地域を選ばず生産ができるものだとえるでしょう。
タバコはフレーバーやフィルターで味を調整したものであるため、たばこ葉の品質にはそれほどこだわりが無く、どこでも生産できるというのが特徴です。
一方、葉巻はたばこ葉100%で作られているため、たばこ葉の品質=葉巻の品質となっており、高品質のたばこを生産できる地域はとても限定的です。
生産地域という点でも普通のたばこと葉巻には大きな差があるのです。

葉巻の本場はキューバ、圧倒的な支持を集める

葉巻を語るとき、葉巻を発明したとされるキューバを外すことはできません。
キューバは、世界で最も認知され、高く評価されている葉巻の生産国です。
葉巻愛好家の中には、キューバ産葉巻しか認めないという人もいるほどです。
キューバ産葉巻のビジネスは国営のハバノス社が牛耳っており、キューバ産葉巻に使われる葉はすべてハバナ産であるため、ハバナシガーとも呼ばれています。

コイーバ、ロメオ・Y・ジュリエッタ、モンテクリスト、パルタガス、ホヨー・ドゥ・モントレーが5大葉巻ブランドですが、他にも約30のブランドがあり、それぞれが異なる特徴を持つ葉巻を生産しています。

産地でわかる葉巻の特徴【キューバの特殊な生産体制や輸出事情についても解説】

キューバ危機以来、ドミニカ共和国でも葉巻の生産が拡大

ドミニカ産の葉巻は、キューバ産に次いで生産の多い葉巻で、1960年代のキューバ・ミサイル危機でアメリカとキューバの国交が断絶してから、アメリカでの需要が高まったと言われています。
特に、亡命したキューバ人職人が作るダビドフシガーは、キューバ産シガーに匹敵する品質を誇り、キューバ産のシガーしか認めない愛好家の中にもダビドフだけは例外だという意見があります。

その他の国々のシガー

最も人気があり生産量の多いハバナやドミニカのほか、ニカラグア、フィリピン、ホンジュラス、メキシコなどでも葉巻は作られています。
高価なキューバ産やドミニカ産の葉巻に比べ、これらの産地の葉巻は手頃な価格で手に入るので、日常的に葉巻を楽しむ人に最適です。

葉巻とタバコの価格帯の違い

普通のたばこの値段

普通のたばこの値段はひと箱500円程度です。
たとえばメビウスであれば580円となっています。
ひと箱20本入りなので1本29円です。
たばこ増税により値段がじりじりと上がっていますが、葉巻と比べるとかなり安価になっています。

葉巻の値段

葉巻は”プレミアムシガー “と “ドライシガー “で価格帯が大きく異なります。

プレミアムシガー

  • 高価(1本あたり1,500~5,000円)
  • 職人による手作業で生産されています。
  • フィラー(中心部のたばこ葉)は1枚のたばこ葉(シングルリーフ)を使用しており、発酵・熟成に時間をかけることで、まろやかな味わいに仕上げています。
  • デリケートなため、温度や湿度によって品質が変化しやすく、管理が必要です。

ドライシガー

  • 安価(1本あたり400円~1,500円)
  • 機械によって生産されています。
  • フィラー(中心のたばこ葉)は複数の葉を細かく刻んだものが多く、滑らかな味と香りを持ちます。
  • 品質管理が不要で、取り扱いが容易です。

値段は非常に安いものから高いものまで様々です。
ドライシガーは、安いものでは1本400円程度で購入できるものもあります。
しかし、10本セットで販売されているため、1セットあたり約4,000円します。
一番小さい葉巻の「コイーバ・ミニチュア」は厚さ9mm、長さ95mmで、上の項で述べたように5分で吸いきることができます。

一方、プレミアムシガーで高価なのは「CohibaGeniosMaduro5」(コイーバ・マデューロ5)で、1本5,000円程度です。
こちらはシガー1本単位で購入できるが、価格はタバコ1カートン分以上。
とはいえ、1本で1時間は楽しめるし、豊かで深い香りをじっくりと味わえる、まさに通好みの至高の時間です。

葉巻とたばこ、吸うのに必要な道具の違い

普通のたばこを吸う際に必要な道具は「ライター」か「灰皿」くらいです。
一方、葉巻を楽しむために以下の3つの道具を揃えることです。

シガー用灰皿

シガー用灰皿は、葉巻の火が消えないように葉巻を置く溝が長く、深いのが特徴です。

シガーライター

葉巻用ライターであるガス式のターボライターは炎が強く、簡単に葉巻に火をつけることができます。マッチやオイルライターだとにおいが移ってしまうため、葉巻の繊細な香りが損なわれてしまいます。

シガーカッター・シガーシザー

葉巻は全体がたばこ葉で包まれた形になっており吸い口はありません。
そのため火をつける前に吸い口を切る必要があり、その際にシガーカッターを使用します。
ちなみに、シガーカッターにはいくつかの種類があります。
初心者でも扱いやすいハサミ型の「シザー」、小型でギロチンのように切れる「ギロチンカッター」、葉巻の側面に穴を開ける「パンチカッター」、V字に穴を開ける「Vカッター」、などの道具があります。
カット方法は大きく3つあります。

  • フラットカット
    ギロチンカッターやシザーで平らに切り落とします。
    吸い口は先端に少し丸みを残してカットします。
    葉巻がほつれにくいのが特徴で最も一般的なカット方法です。
  • パンチカット
    円筒形の刃を持つパンチカッターを使用します。
    後端の曲線を残したまま穴をあけるので口当たりがよくなります。
    パンチカッターの大きさは大小さまざまです。
    開口部が大きい方がマイルドな味わい、小さい方がコクのある味わいになり、穴の大きさで様々な味を楽しむことができます。
    大きな口を開けて吸う必要が無いこと、葉っぱのゴミが出ないことから女性の愛好家に人気なカット方法となっています。
  • Vカット
    V字型の溝を切りながら、後端を丸くして口当たりをよくするVカッターでカットします。
    パンチカットよりも切断面積が大きいのが特徴です。
    現在では一般的なカット方法ではなく、専用のカッターもわずかしかありません。

葉巻とタバコの保管方法の違い

普通のたばこは一般的に製造から10か月~1年が賞味期限と言われているため、長期保管をすることはありません。
日々の管理も特に気を遣うことは無く、管理することができます。

一方、葉巻は植物の葉から作られている生き物なので、保管・管理には細心の注意が必要なアイテムです。
特に、湿度と温度には注意が必要で、適切な温度と湿度を逸脱すると、葉巻が吸えなくなる可能性があります。
また、葉巻は熟成が進むと言われており、適切な管理のもとでは、どんどん丸みのある味わいになっていきます。
もちろん、熟成が必ずしも良いというわけではなく、熟成に向かない葉巻もあります。
また、若い葉巻には若い葉巻の良さがあり、これは好みの問題です。
具体的な保存方法についてはいろいろな議論がありますが、ここでは基本的な葉巻の保存方法について紹介します。

【葉巻の保管方法】保管道具や裏技的な保存方法を紹介!

葉巻管理のための適切な温度

シガー管理の適正温度は20℃前後と言われています。
葉巻を保管する際に温度に気をつける最大の理由は、害虫の被害を防ぐためです。葉巻の天敵である「タバコ虫」が卵から孵って葉巻を食べ、熟成のための燻製ができなくなります。
ハンドメイドシガーの場合、この虫を完全に駆除することは不可能なので、葉巻の中にタバコムシの卵がある可能性を念頭に置き、孵化できない環境(気温20度前後)で保管する必要があるのです。

もちろん、この温度であれば絶対に被害が出ないとは言い切れませんが、目安として覚えておくとよいでしょう。
温度の上下とともに湿度にも影響が出るので(温度によって空気中に保持できる水分量が変わるため)、なるべく温度が上がらない、下がらないようにすることが望しいとされています。

葉巻の管理に適した湿度

温度より湿度についての方が議論が多いですが、70度前後が理想的であるというのが大方の意見です。
湿度が下がりすぎると、葉巻は乾燥し、パサパサした刺激的な香りになります。
場合によってはラッパー(外葉)が粉々になり、喫煙の妨げになる可能性もあります。

一方、温度が70℃を大きく超えると、カビが生える危険性があります。
また、味や香りがぼやけてしまい、キレがなくなってしまうため、正確な湿度計で68~72度の範囲で湿度管理ができることが最も望ましいと言えます。

シガー用ヒュミドールでの保管

ヒュミドールとは、葉巻を保管するための箱のことです。
ヒュミドールには素材や構造のランクがあり、全て同じではありませんが、気密性が高く、葉巻の風味を損なうことなく保存することが可能です。
また、ディスプレイとしても適しており、葉巻とは切っても切れない、嗜好性の高いアイテムです。

一方、見た目にあまりこだわらず、機能性を重視する葉巻愛好家の多くは、ジップロックなどの真空保存容器を使用して葉巻を保存しています。
湿度を一定に保つことができる専用の道具(除湿剤のようなもの)もありますので、これらと湿度計を密閉容器に入れれば簡易版ヒュミドールを作成することができます。
容器内の空気を安定させるために、なるべく密閉した方が良いでしょう。

葉巻たばこの健康影響の違い

葉巻はタバコよりも大きく、ニコチン含有量が多いため、健康への害が大きいと思われがちです。
しかし、葉巻は煙を肺まで取り込むことはせず、口の中で味わうため、体の中に取り込まれるニコチン量はどちらが多いのかという点については議論がある部分です。

詳しく知りたい方はたばこと葉巻の肺への影響について詳しく説明した記事についてもご確認頂ければと思います。↓

タバコと葉巻のニコチン比較【葉巻による健康への影響】肺への負荷は?

葉巻たばこはタバコと異なり、いくつかの種類がある

シガーは歴史上最も古いタバコの一種です。
そのため、普通の紙たばこの種類は銘柄の違いしかありませんが、葉巻(シガー)は長い歴史の中でさまざまな種類が生まれています。
そのため、世界では時流に染まることなく、今だに愛好家が多く存在しているのです。
ここでは、タバコとは異なる点として、葉巻の種類やサイズについて解説します。

葉巻(シガー)の種類

プレミアムシガー

プレミアムシガーとは葉巻と言われて一般的に想像する太くて長い、一般的に高級な葉巻です。
葉巻愛好家の中にはプレミアムシガーのみを指して葉巻と考えている人も少なくありません。
内側からフィラー、バインダー、ラッパーの順で三層構造になっており、フィラーが一枚のたばこ葉から作られているのが特徴です。
原則として職人(トルセドール)が手業でタバコ葉を巻いて作ります。
(中には機械製(マシンメイドシガー)のものもあります。)

種類も豊富で、味や香りは産地による違い、熟成による変化もあり、例えればワインが近いのではないでしょうか。
葉巻の持つ嗜好性の高さが最大限に現れているのがプレミアムシガーの特徴です。
葉巻の保管には気を遣う部分が多く、湿度と温度の制御が必要になります。

ドライシガー

ドライシガーはフィラー(中心部の葉)に細かく刻んだタバコ葉が使用されています。
機械で作られたマシンメイドシガーであり、サイズもプレミアムシガーと比較すると小さめのものが多いです。
機械製で生産量も多いため価格が安く、湿度や温度の管理に気を遣わないため気軽に試すことが可能です。
はじめて葉巻を吸う人はここから入る人も少なくないでしょう。
一方で愛煙家からするとプレミアムシガーとは似て非なるものであるという意見も多く、実際に味の変化や熟成が進まないなどの点で、嗜好性はプレミアムシガーに劣ると言えるでしょう。

シガーのサイズ(ビトラ)

葉巻のサイズと形はさまざまで、同じブランドの商品でもサイズの違いによって名称が異なったり味や香りにも違いがあります。
これらはビトラ(Vitola)と呼ばれる規格によって名称が定まっていて、長さと太さによって分類されています。
商品名にも採用されることのあるコロナ、チャーチル、パナテラ、ロブスト、ロンズデールといったこれらの呼称は厳密にはストアビトラとも呼ばれ、消費者に分かりやすいように設定され、商品名などにも採用されています。
(実際の生産現場ではより細かいビトラが設定されています)

サイズや形状に関しては非常に多岐にわたるためここで書き出すのは不可能ですが、同じ銘柄のプレミアムシガーでも様々な種類の長さ、太さ、形のシガーが存在します。
ビドラによって味や香り、金額、吸い終わるまでの時間などが異なるため、その時々で葉巻のために使う時間、金額、求める味わいの好みで無数の葉巻の中から適したものを選ぶことができるというわけです。
このような奥深さが葉巻が嗜好品といわれる所以なのでしょう。

シガーの大きさやシェイプについてより深く知りたい方はぜひこちらの記事も参考にしてみてください。↓

葉巻の長さや太さ・形と味の関係性【ビトラや種類別に解説】

葉巻とタバコの違いは楽しむ目的にある

いかがでしたでしょうか。
まとめると、葉巻は煙の香りや味を口で楽しむもので、普通のたばこはニコチンを肺に取り込んで楽しむものです。
同じタバコでも楽しみ方が全く異なるため、ご自分に合った方を選んでみましょう。