東アジア地誌-朝鮮半島

表記について

地形

朝鮮半島の主な地形は次の図の通りです。
朝鮮半島の地形
朝鮮半島の地形

東高西低

上図のⒶⒷ間の断面は次の図の通りです。
朝鮮半島はほぼ安定陸塊で、半島東部に古期造山帯のテベク山脈が位置します。
「西高東低」の中国に対して、朝鮮半島は「東高西低」の地形です。

南西部の海岸

朝鮮半島南西部は、氷河期に海面が低くなり、河川が流れ込むことで深い谷が形成されました。
氷河期が終わって海面が上昇し、谷に海水が入り込みました。
そのため、朝鮮半島南西部の海岸は、リアス海岸になっています。
V字谷と溺れ谷
V字谷と溺れ谷

気候

朝鮮半島の気候
朝鮮半島の気候

地域ごとの気候区分

朝鮮半島北部

緯度が高いため最寒月平均気温が低く、冬に北西季節風の影響で少雨になります。
亜寒帯冬季少雨気候(Dw)が分布します。

朝鮮半島南部

北部と同様に冬に北西季節風の影響で少雨になりますが、緯度が低いため最寒月平均気温が高いです。
温暖冬季少雨気候(Cw)が分布します。
対馬海峡付近は、暖流の対馬海流の影響で暖かく、1年を通して降水があります。
温暖湿潤気候(Cfa)が分布します。

各都市の雨温図

朝鮮半島の都市
朝鮮半島の都市
*比較用に日本の都市を含む
夏は南東季節風の影響で多雨、冬は北西季節風の影響で少雨になります。
ピョンヤンの雨温図
ピョンヤンの雨温図(Dw)
夏は南東季節風の影響で多雨、冬は北西季節風の影響で少雨になります。
ピョンヤンに比べてやや緯度が低いため、気温が高くなります。
元来Dwに属すが、近年は最寒月平均気温が数℃上昇しているのでCw
ソウルの雨温図
ソウルの雨温図(Cw)
新潟市はソウルとほぼ同緯度です。
しかし、冬の北西季節風が日本海上で水蒸気を補給するため、1年を通して湿潤になります。
新潟の雨温図
新潟の雨温図(Cfa)
日本海に面したプサンは、日本と同様の温暖湿潤気候になります。
プサンの雨温図
プサンの雨温図(Cfa)

伝統的な床下暖房装置

朝鮮半島や中国の東北地方では、伝統的な床下暖房装置のオンドルが利用されています。
この装置は、台所の炊事の煙を床下に通して部屋を暖めるものです。
オンドル
オンドル

伝統文化・宗教

文字

文字は、朝鮮語を表記するためのハングルが用いられています。
ハングル(例:キムチ)
ハングル(例:キムチ)

食文化

野菜に塩・香辛料を加えた漬物であるキムチが食されています。
キムチ
キムチ

民族衣装

女性の民族衣装として、チマ・チョゴリが着られています。
チマ・チョゴリ
チマ・チョゴリ

宗教

韓国の宗教別人口は、キリスト教が最も多くなります。
ただし、儒教の影響も強く残り、先祖・親・年長者を敬う心が大切にされています。

南北分断

歴史

第二次世界大戦後、朝鮮半島の南北に次の国が成立しました。
北部:
社会主義の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)
南部:
資本主義の大韓民国(韓国)
1950~53年、南北間の朝鮮戦争が起きましたが、休戦協定が結ばれ戦闘は停止しました。
戦争は休戦状態で現在も続いています。
1990年、北朝鮮・韓国は同時に国際連合に加盟しました。
北朝鮮と韓国
北朝鮮と韓国
分断の象徴「板門店」
分断の象徴「板門店」

韓国

基礎データ

人口(万人)(2020)5,127
面積(万㎢)(2019年)10
人口密度(人/k㎡)513
1あたりGNI(ドル)(2019年)32,235
首都ソウル

人口

人口密度

韓国の人口密度は、世界有数の高さです。
面積・人口・人口密度
国名面積(万㎢)(2019年)人口(万人)(2020年)人口密度(人/k㎡)
北朝鮮12.12,578213.1
リベリア11.150645.6
ブルガリア11.069563.2
キューバ11.01,133103.0
グアテマラ10.91,792164.4
韓国10.05,127512.7
ハンガリー9.3966103.9

都市人口

2018年時点での都市人口率は81.5%です(日本は91.6%)。
ソウルの人口が約1,000万人で、国民5人に1人が首都に住んでいます(首都圏では2人に1人)。
このようにソウルは人口が一極集中する都市であり、プライメートシティの一つに数えられます。

教育・出生率

韓国の高等教育就学率は非常に高いです。
韓国では子どもの教育にかなりの費用がかかります。
このことが背景となり、近年出生率は深刻な低下を示しています。
韓国の人口ピラミッド
韓国の人口ピラミッド(2019年)

工業

漢江の奇跡

1960年代まで、韓国の工業は、衣料や食品などの軽工業が中心でした。
1970年代、韓国は日本の援助を得て、鉄鋼・造船・自動車などの重化学工業を発展させました。
この時期の韓国の急速な成長は、「漢江ハンガンの奇跡」と呼ばれています。
漢江
ソウルを東西に流れる川
1980年代以降、半導体産業が発達しました。
世界有数のIC生産国になりました。

財閥

1970年代以降の急速な経済成長は、政府と協力して事業を拡大する財閥が支えてきました
現在韓国の10大財閥の売上高は、GDPの6割以上を占めます。
反面、政府との癒着や非財閥との賃金格差などが問題になっています。
サムスン
サムスン
ロッテ
ロッテ

アジア通貨危機

1997年、タイの通貨バーツが大暴落し、韓国も打撃を受けました。
韓国の通貨ウォンが暴落し、失業やインフレなどが問題になりました。
深刻な経済危機に陥った韓国は、IMF(国際通貨基金)の支援などにより、経済状況は急速に回復しました
経済回復のためにIT産業を振興したので、固定ブロードバンドや固定電話の普及率は日本より高くなっています。

工業都市

韓国の工業都市
韓国の工業都市
ソウル
韓国の首都で、政治・経済・文化の中心地
インチョン
首都ソウルの外港都市
大規模なハブ空港が立地
ハブ空港
内外の航空路線がそこを拠点に各地へのびている空港
ハブ空港
ハブ空港
ポハン
日本企業の協力による製鉄所が建設され、重工業都市へと発展
ウルサン
自動車工業・造船工業・石油化学工業が盛んな都市
プサン
韓国最大の貿易港が立地する都市
国内第2位の人口をもち、古くから日本との交通の要地

生産上位の品目

農業

1970年代、韓国の経済成長が進むなかで、都市部と農村部の格差が拡大しました。
セマウル運動と呼ばれる農村の開発運動が推進され、土地生産性や食料自給率の向上が図られました。
しかし、経済格差の解消は今なお達成できていません
セマウル
「新しい村」の意

第3次産業

貿易

韓国 輸出品目(2020年、%)
機械類44.7
自動車10.4
プラスチック類5.4
石油製品4.5
鉄鋼4.3
韓国 輸入品目(2020年、%)
機械類32.6
原油9.5
精密機械4.2
自動車3.9
液化天然ガス3.4