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不動産業者が教える重要事項説明書

2020年07月28日

不動産の売買契約、賃貸契約をする際に、重要事項説明書を用いて、宅地建物取引士から契約に関する説明を受けます。ここでは、住宅の賃貸契約時における重要事項説明に関して詳しくご紹介します。

賃貸借契約書と重要事項説明書の違い

売買契約時には売主・買主双方、賃貸借契約時には、貸主・借主双方の同意した書面に記入・捺印を行い契約を交わします。その際、契約条件を明記したものが「契約書」です。
では、「重要事項説明書」とは?
簡単に言うと契約に際し重要な内容を不動産業者が宅地建物取引士をして説明することです。
趣旨としては、不動産は動産の取引に比べ権利や取引内容が複雑なため、十分な調査が行われず契約した場合、契約条件を知らない、予定した用途の利用ができない、などの不測の損害が起こり、紛争になることを防止するためです。
その為、専門知識と経験、調査能力を持つ宅地建物取引士に説明義務を課しているものです。
この重要事項説明書の説明ができるのは、宅地建物取引士という国家資格を所持している人だけです。

宅地建物取引士とは?

「宅建士」という言葉は聞いたことがある方も多いかと思います。
宅地建物取引士(以下、宅建士)といい、宅地建物取引業法に基づき定められた国家資格取得者のことです。
試験の実施団体は国土交通省で、年に1度10月に試験が行われ、合格率は15~17%程です。
この資格試験に合格し、資格登録を受け、宅地建物取引士証(以下、宅建士証)の交付を受ける必要があります。
※昭和32年の宅地建物取引業法の改正から、宅地建物取引主任者という名称でしたが、2015年に現在の宅地建物取引士へ名称が変更されました。

宅建士は重要事項説明を行う際、
・宅建士証を取引の相手に提示
・書面(重要事項説明書)を交付し、説明
・取引の相手方に対面で行う
上記3つの条件を満たして行う必要があります。
最近ではIT重説(WEB上で宅建士による重要事項説明)などの試験導入もあり、今後の重要事項説明のあり方が変わるかもしれません。
※こちらは別の記事で説明します。

重要事項説明におけるトラブル事例と注意点

国土交通省が定める重要事項説明に係る制度の概要にも記載がありますが、宅地建物の取引は権利関係や取引条件が極めて複雑です。
契約書と重要事項説明書との違いで記述していますが、契約に携わる当事者間の紛争防止の為、重要事項説明書を宅地建物取引業者に課し、国家資格の宅建士からの説明を義務付ています。
出典:国土交通省ホームページ http://www.mlit.go.jp/common/001037688.pdf

それでも、トラブルはおきるものです。
ここでは、過去のトラブル事例とトラブルにならない為の注意点をご紹介します。

トラブル事例

不動産業界で勤務していてよく聞くトラブル事例としては、大きく分けて2点あります。
①退去時の精算でのトラブル
②更新料や違約金などのトラブル

重要事項説明時に宅建士から退去時の精算方法の説明はありますが、入居前に退去の話を聞くので理解をしていないまま説明を終えるケースがあります。
とても大事な項目ですので、宅建士に是非詳しく聞いてください。

次にお金に関するトラブルです。
契約期間(1年~2年)の更新時にかかる費用や短期で退去する際の違約金の発生など、①同様に退去時・更新時の説明を入居時に理解しないまま説明を受けたことによるトラブルがあります。

退去時の説明を理解していないことでトラブルになった場合、賃貸借契約書や重要事項説明書に記入・押印を済ませているため、不動産業者が対応をしてくれない。というお客様の声もあります。

重要事項説明時の特に注意すべき項目

重要事項説明の内容は、権利関係の説明や物件の属性の明示、取引条件など、たくさんの項目の説明を受けます。
ここでは、特に注視すべき費用が発生する項目の注意点を4つご紹介します。
賃貸の契約をする際は、下記4項目に注意して宅建士からの重要事項説明を受けてください。

短期解約の違約金

賃貸住宅の場合、「何かあった際(トラブル含む)に、引っ越しができる」というメリットがあります。
最近は初期費用が安いお部屋も多く、大家さんとしても、短期間で引っ越しをされると家賃収入が少なく補修費がかかり赤字の不動産経営になる可能性があります。
そこで、賃貸契約では短期解約の場合、違約金を請求することがあります。下記に例を2つご紹介します。
・1年未満の解約の際は、違約金として家賃の1ヶ月分をお支払頂きます。
・2年未満の解約の際は家賃の1ヶ月分を、1年未満の解約の際は家賃の2ヶ月分をお支払頂きます。
上記のように、短期解約時の違約金の文言には注意をしてください。
入居後にやむを得ない理由で引っ越しする際に、「聞いていない!」とならないように、重要事項説明を受ける際に、宅建士に確認しましょう。

更新事務手数料(更新料)

賃貸借契約を締結する際に、多くの場合は2年といった「契約期間」があります。
契約期間についてはこちらをご参照ください。URL(賃貸 契約期間)のコンテンツリンクはります。
仮に契約期間が2年の場合、更新を希望する際に更新事務手数料(更新料)が必要になる可能性があります。福岡では、2年に1度10,000円程の更新事務手数料が発生しますが、関東圏では、家賃の1~2ヶ月分の更新料がかかるケースもあります。
契約から2年後に、急に更新料の請求がきた。というトラブルも会社によっては発生しているようです。
重要事項説明時に宅建士に直接説明を受けることがオススメです。

精算方法

こちらは退去時の精算方法です。
簡単に言うと、
・退去時には、自然・経年による劣化・損耗部分の補修費用は入居者が負担する。
・退去時には、自然・経年による劣化・損耗部分の補修費用は大家が負担する。
上記のように、退去時に行う方法を記載しています。
退去時の説明ではありますが、入居前に退去時の説明はしっかり受けておきましょう。

特約事項

重要事項説明書の後半や別紙で取り交わす内容です。
特別な条件の契約という意味です。

【例】戸建の賃貸や1階のお庭付きのお部屋を借りた場合。
・本物件の庭木の剪定及び敷地内の清掃・除草等については乙(借主)にて行うものとし、その費用については乙(借主)の負担とする。ただし、伐採等大規模な変更を行う場合は甲(貸主)の承諾を得るものとする。

草木の除草や清掃は住んでる人にして欲しい。費用は借主負担。しかし木を伐採したりするような場合は教えてください。というような内容です。
その他にもいろいろありますが、契約ごとに違うケースがありますので、重要事項説明を聞く際に注意いただき、わからない点は宅建士に聞いてみましょう。