「エンクミ」の愛称でブレイクし、バラエティやドラマなど幅広く活躍。現在公開中の映画『こん、こん。』にも出演中の遠藤久美子さん。マクドナルドのCMで注目を集めたデビュー当時のお話を伺いました。(全5回中の1回)

 

学生時代の遠藤久美子さん
学生時代はバスケに打ち込むスポーツ少女だった遠藤さん

「ポテト食べていい?」「いいよー」のCMで話題に

── 17歳のときに、マクドナルドCM「証明写真編」でデビューされました。反響はいかがでしたか?

 

遠藤さん:ありがたいことに、多くの方に知っていただくきっかけになりました。学生時代も、特に養成所のレッスンは受けていませんでしたし、学校も芸能学校ではない普通の県立高校だったんです。だから、CMが話題になって私自身も驚いたし、みんなびっくり、という感じでした。

 

ただ、担任の先生がすごく理解がある方で。バスケ推薦で入学したんですが、そのときの面接官だった女性の先生が、たまたま担任になったんです。面接のときに、私が中学時代のアルバムに「声優さんか女優さんになりたい」と書いていた話になり、「芸能方面が好きなの?」「はい、好きです」と話していたんです。

 

学生時代の遠藤久美子さん
少女時代から芸能界に興味があり、スカウトを機に17歳で芸能界へ

のちのち聞くと、その先生は、音楽ライブにスタッフとして関わっていた経験があったそうなんですよ。それで「そういえば面接で興味があるって言ってたよね」と、いろいろ協力してくれたんです。仕事やオーディションで授業を休むときも、こっそり「この科目はあと何回休むとダメだよ」と教えてくださったりして。

 

── いい先生ですね。

 

遠藤さん:そうですね。その先生がいなかったら今ごろどうなっていたかな、と思います。高校1年生のときにオーディションを受けはじめて、2年生になってやっとマクドナルドのCMが決まった感じでした。それまではオーディションにもたくさん落ちていて…。

 

── 遠藤さんでも落ちることがあるんですね。

 

遠藤さん:あります、あります!テレビをなんとなく観ていると、オーディションで言ったことのあるセリフが流れてきて「あ、これ私が受けたやつだ。この子が受かったんだ」と思うことが何度もありました。

 

デビュー当時の遠藤久美子さん
デビュー当時の遠藤さん。大きな瞳と透明感あふれる笑顔で一躍人気者に

── マックのCMにご出演以降、一気に売れっ子になった印象でした。

 

遠藤さん:CMのおかげで、名前を知ってくださる方が増えて、オーディションに行っても「マクドナルド、出てたね」と言ってもらえることが増えました。その後TBSドラマ『冠婚葬祭部長』で、萩原健一さんの娘の役をいただけたのも、CMを見てもらえていたからなのかなと思いますね。

デビュー直後に「内田有紀さんのコンサートで…」

──「ドデスカご飯」のCMも印象的でした。ショートカットで元気なキャラクターで大人気でしたよね。

 

遠藤さん:当時はちょうど、内田有紀さん、広末涼子さん、鈴木蘭々さんなど、ショートカットで元気な印象の方が人気でしたよね。

 

私もお仕事を始めたばかりのとき、友人のお兄さんが大ファンだったのもあって、内田有紀さんのライブに行ったことがあったんです。その日、機材トラブルでステージが停電してしまい、内田さんがしばらくステージに出てこられない、ということがあって。

 

それで、「ごめんね~」ということで、急きょ握手会をしてくださったんです。私も列に並んで握手してもらったのですが、そのとき内田さんが私を見て「あれ?どこかで見たことある?」みたいなリアクションをしてくださったのを今でも覚えています。

 

そのときは、後ろに人がけっこう並んでたので「大好きです!」とだけ伝えて、ささっと通りすぎてしまって(笑)。そこから一度もお会いしたことないんですけど。

 

── まさかそんなところで90年代のショートカットアイドルが共演していたなんて…!

 

遠藤さん:いえいえ、内田さんは大スターでしたので。私も切り抜き写真をお財布に入れてました。

 

── いつからショートカットだったんですか?

 

遠藤さん:元々ロングヘアだったんですが、高校時代のバスケ部の監督が「髪が相手チームの選手の目に入ったりすると困るから、髪を短くしよう」と決めて、チーム全員ショートヘアにしたんです。

 

その髪型のままデビューしたので、最初は「マックの子」という感じで覚えてもらっていて。当時の事務所の方が「名前を憶えてもらえるまではショートのままでいよう」と提案してくださったんです。

 

高校時代の遠藤久美子さん
まだ髪を切る前の高校時代の遠藤さん。ロングヘアも新鮮です

おしゃれから縁遠かった高校時代

──「好きな髪型にしたい」とは思わなかったのですか?

 

遠藤さん:元々ファッションに全然アンテナが立ってないタイプなんです。髪型とか洋服とかには本当に無頓着で。オーディションに行くたびに事務所に洋服を準備していただいて、それを着ていました(笑)。

 

髪型もこだわりがないし、美容に関しても、高校時代は周りにメイクをしている子もいたんですが、私はそういうのはまったく…。うちの母もお化粧をしないタイプなので、メイクになじみがなかったんです。

 

デビューして初めてバラエティーに出るときも、18歳だったんですが、メイクさんがお化粧してくださるときに「あっ、私、大丈夫です」って断ってしまったことがあって(笑)。

 

──(笑)!

 

遠藤さん:すぐにマネージャーさんが来て「あなたのためじゃなくて、見てくださる方のためにメイクするんだから『大丈夫です』とかじゃないのよ!」って教えていただきました(笑)。

 

学生時代の遠藤久美子さん
学生時代に友人と歩く遠藤さん

── あまり派手な高校生ではなかったのでしょうか?当時はルーズソックスが流行っていましたが…。

 

遠藤さん:ルーズソックスは履いていました!ただ、普通のソックスの上に履いて、すぐ脱げるようにしていて(笑)。自分のなかでも「ちょっと悪いことしてる」って思ってたんでしょうね。

 

ただ冬場は温かかったので、自転車で学校行くまでは履いて、着いたらすぐ脱いでカバンにしまってました。スカートの丈も腰のところで巻いて短くしていたんですが、校門をくぐる前に下ろす、みたいな(笑)。

 

── 20代中盤までずっとショートだったのですか?

 

遠藤さん:はい。髪を伸ばしたいと思うこともなかったです。昔ロングヘアだったので、20代中盤以降に「伸ばしてみたいな」と思ったことはありましたけど。ボブとベリーショートをいったりきたり、みたいな感じでしたね。

 

PROFILE 遠藤久美子さん

1995年にマクドナルドのCMでデビュー。『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』などのバラエティや舞台、ドラマなど幅広く活躍。2016年に映画監督の横尾初喜さんと結婚、二児を出産。横尾監督最新作『こん、こん。』にも出演中。

 

取材・文/市岡ひかり 写真提供/遠藤久美子