（写真＝PIXTA）
国土交通省が毎年3月に発表している、1月1日時点における地価「地価公示価格」によると、住宅地の上位には東京都の千代田区と港区が集中する結果となった。そして、上位11位までのすべての公示が両区に位置していた。ここでは住宅地の公示地価TOP5を概観するとともに、一般的なイメージがある高級住宅街とも対照してみることにしたい。
第5位は千代田九段北 坪単価832万円
一平方メートル当たりの価格が252万円で第5位となったのは、「千代田九段北2-3-25」だった。前年から10.5%の上昇で、坪単価は832万円弱だ。
白百合学園高校や日本歯科大学、九段中等教育学校などに囲まれており、半蔵門線、東西線、都営新宿線が通る九段下駅までは450ｍの距離。徒歩圏にはJRのほか東西線、有楽町線、南北線、都営大江戸線が集中する飯田橋駅がある。
第4位は千代田区一番町 坪単価861万円
第4位は一平方メートル当たりの価格が261万円だった「千代田区一番町16-3」だ。「番町」は江戸時代には武家の屋敷街で、旗本が住んでいた由緒ある地域だ。皇居に隣接しており、国の中心に最も近い高級住宅地と言える。
当該地は前年には標準地になっていなかったので、変動率は明らかにされていないが、坪単価は861万円強になる。
近隣地には女子学院高校や千代田女学園高校、上智大学市ケ谷キャンパスなどがあり、最寄り駅の半蔵門線・半蔵門まではわずか220ｍ。有楽町線の麴町駅も徒歩圏にある。
第3位は千代田区三番町 坪単価881万円
一平方メートル当たりの価格が267万円で第3位となったのは、「千代田区三番町6-25」だった。前年から9.9%の上昇で、坪当たり単価は881万円強になる。
すぐ傍には大妻女子大学の短大部や大妻高校、二松學舎大学九段キャンパスなどの学校施設があり、日本武道館のある北の丸公園へもほんの一足だ。最寄り駅は480ｍ先の半蔵門線・半蔵門だが、JRや南北線、有楽町線、都営新宿線が集中する市ケ谷駅も徒歩圏にある。
第2位は港区赤坂 坪単価1106万円
第2位となった標準地は、最寄り駅が銀座線の溜池山王になる「港区赤坂1-14-11」で、一平方メートル当たりの価格は335万円だった。前年から12.8%上昇した結果、坪当たり単価は1106万円弱となった。
「赤坂」は江戸時代に、紀州徳川家をはじめとする武家の屋敷町だった由緒ある土地。標準地はホテルオークラ東京のすぐ裏手で、近隣地にはサントリーホールやスペイン大使館などがある。小高い丘陵の尾根を伝うように北西方向に足を延ばすと、アークヒルズの広大な庭園も間近だ。
第1位は千代田区六番町 坪単価1148万円
全国の住宅地の中でトップとなったのは、東京の「千代田区六番町6-1外」で、一平方メートル当たりの価格が348万円だった。前年から10.5%上昇した結果、坪当たり単価が何と1148万円を超えているのだ。最寄りの駅はJRや地下鉄の丸の内線、南北線などが通る四ツ谷で、標準値の周囲は番町小学校、東京中華学校、雙葉小学校などに取り囲まれている。
よく話題になる高級住宅街の公示価格は？
公示価格のTOP5を見ると、驚異的な高地価にも「なるほど」と合点がいくのと同時に、一般的な高級住宅地のイメージとは微妙なズレを感じるのではないだろうか。東京で「高級住宅街」と言えば、その昔「トリプルA」などと呼ばれてきた「麻布」、「青山」、「赤坂」、もしくは「田園調布」といったイメージなのだろうが、これらの地域の公示価格も気になるところだ。
公示価格の第6位には「港区南麻布4-9-6」が一平方メートル当たり248万円、第8位には「港区元麻布2-3-24」が一平方メートル当たり207万円で名を連ねる。また第9位には、第2位に続いての「赤坂」である「港区赤坂6-19-23」の一平方メートル当たり206万円がランクされている。さらに第10位は「港区南青山4-20-4」の一平方メートル当たり205万円となっている。
都心が高地価なのは納得できたとして、では田園調布はどうだろうか。最も上位にランクされていたのは「大田区田園調布3-23-15」で、一平方メートル当たり101万円という価格は第64位だった。
さらに関西を見ると、「芦屋」なら第384位の「兵庫県芦屋市船戸町8-8」の一平方メートル当たり47.5万円、「帝塚山」では第738位の「大阪市住吉区帝塚山中2-2-12」の一平方メートル当たり35.4万円が最上位だった。また名古屋でも、「高級住宅街」のイメージがある「南山」や「八事」などの丘陵地帯を見ても、一平方メートル当たり34.7万円の「名古屋市昭和区南山町23-12外」が第789位にランクされているといった具合で、いずれも一桁下の地価になっている。
