Hakuto-日記

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ピークはどこ? 【奥白根山】その2

奥白根山から五色沼を見下ろす

前回は奥白根山に登頂したところまでだった。

実は山に登っているとその山の姿がわからないことが多い。

しかし、奥白根山は弥陀ヶ池まで登るとその山容を眺めることができる。

そこから見える姿はまるい穏やかな山である。

 

ところが、角度を変えて前白根山からみる奥白根山は大きくイメージが変わる。

急斜面を上から下まで崩れ落ちて土砂が剥き出しになった跡や、頂上直下の切り立った岩肌など実に男性的な山である。

 

今回は前白根山に続く外輪山を巡り、菅沼登山口まで戻る行程になります。

 

奥白根から前白根

このあたりは牧歌的

山頂下の白根権現から五色沼方面に向かう。

なだらかな道から急に富士山のように靴が沈み込む、岩がごろごろした急斜面の道を下っていく。

 

すると下の方で男性が女性に何やら話しかけ、男性はそのまま行ってしまい、あとに残った女性がそこで写真を撮り始めた。

近づいてみると、岩陰に咲くコマクサを撮っていた。よく見るとあちらこちらにポツンポツンと咲いている。

 

無機質な溶岩の斜面に薄いピンク色の花が心を和ませてくれる。その薄桃色と葉の緑色とが不思議と命の色であるように感じた。

 

その花に気づくと、次から次へと高山植物の花々が咲き乱れていているのが視界に入ってくる。

 

コマクサ、ハクサンフウロその他名前を知らない花々が咲いていた。おまけに蝶が羽を広げて模様をこちらに見せてくれた。

 

コマクサ

 

ハクサンフウロ

 

ヒメシャジン?

 

タカネニガナ

 

ノイチゴ

 

マルバダケブキ

 

アサギマダラ蝶

 

花の写真を撮っていた先ほどの中年女性が、「なかなか前に進めませんね」と言いながら、さらに見かけた花の写真を撮っていた。結局その女性とは前になったり後ろになったりしながら同じコースを辿ることになる。

 

樹林帯を抜けると

岩だらけの急斜面を降りると樹林帯に入る。その後道は平坦になり、なぜだかそこだけ草原になっていた。草の間のほそ道の先には赤い屋根の避難小屋が見える。五色沼避難小屋だ。

 

その前で休んでいた人たちがこちらに向かって歩いてくる。その中に老人と若い外国人女性の二人連れがいて、いったいどんな関係なのだろうと余計なことを考えた。

 

避難小屋

 

小屋の前で

五色沼避難小屋に着くと、扉の前にザックを下ろして休憩する。さっき、こちらに向かって歩いてきた人が小屋から出てきたように見えたので、扉を開けてみた。

 

扉は動かず、閉まっているのかと思ったが少し力を入れてみると横に扉は開いた。中は広く、土間の向こう側に上下二段の棚が作られていて、その棚の上に寝ることができる。十二、三人分の布団が敷ける広さがあり、寝袋で詰めれば40人くらいは横になれそうだ。

 

扉を閉めて行動食を食べていたら、さっきの写真の女性がやってきてそこで休憩。つづけて若い男性がやってきた。その男性はぼくと同様に避難小屋に興味をもったようだ。

 

「避難小屋って初めてみるんですよ。開いているんですかね」というので

「さっき開けてみたら開きましたよ。ちょっと重いですが」と答えた。

するとその若者は扉を開いて中に入っていき、「うわっ、ガスまでありますよ」といった。

 

ぼくは中にまで入らなかったので、なるほど中にまで入ってみるものだと感心した。

 

その二人を残して前白根山に向けて出発する。あとからその二人も同じ道を歩いてくるのが見えた。

 

避難小屋から少し登ると平坦な稜線に出て、左手に前白根山がどっかとかまえている。前白根はこんもりした禿山で赤ちゃけてみえた。そこからは遠く中禅寺湖を眺めることができた。

 

雲の切れ間に覗く中禅寺湖

 

少し先の小高いところからは、さっき登った奥白根山がよく見える。山頂にガスがかかったりそれが流れていく様子をしばらくながめていた。そこからみる奥白根山は威風堂々としていて荒々しさがある。

 

堂々とした奥白根山

 

前白根山

緑のなだらかな稜線が終わり、前白根山に取り付く。そこからは岩だらけである。ドームのようになっているため、どこを通っても山頂に行けそうだ。

 

山頂の手前にみごとなコマクサが咲いていた。またも写真を撮る。繰り返しになるが、やはり岩だらけの殺伐とした風景の中で生き抜いている姿を見ると「命」ということばが浮かんでくる。

 

ふたたびコマクサ

 

午前11時5分、奥白根山とは対照的なまあるく広い前白根山の山頂に着く。標識の前で若者たちが写真を撮っていたので周りの景色を眺める。残念ながら反対側(東側)は雲に隠れていてほとんど見えなかった。

 

場所が空いたので姿の美しい奥白根山をバックに記念写真を撮る。その後、岩陰の風の来ない場所でお湯を沸かして昼食にした。

 

奥白根山をバックに記念写真

 

前白根山頂で昼食タイム

先ほどの中年女性も登頂し、軽く何かを摘んでから五色山方面に歩いて行った。遅れて避難小屋の若者も登ってきて、こちらに挨拶をして山頂に立ち、再び目の前を通って五色山方面に向かって行った。

 

 

五色山、弥陀ヶ池を経て下山

45分ほど昼食休憩をとったあと、五色山に向かって出発。少し下って隣のコブのようなところを乗り越えていく。するとさっきの若者が椅子に座って昼食を作っていた。お互いにっこりと挨拶を交わす。

 

五色山の方へ歩き出すと、堂々とした奥白根の手前に五色沼が見えてきた。ここからの景色は奥白根と五色沼のやさしい碧水とが調和して見事である。このあとも少しずつ角度を変えながらこの景色を十分に堪能することができた。

 

前白根山の途中から

 

五色山に向かい始めて

 

さらに五色山に近づいて

 

五色山山頂より

奥白根山から五色山へは高低差がほとんどなく、そこが外輪山であることがよくわかる。稜線の東側はガスでほとんど見えないのに西側ではよく晴れていた。

 

植物で目についたのは、ダケカンバとカラ松である。この辺りのダケカンバは幹がくねくねと曲がっていて、後で調べるとこれを「踊り樺」とも呼ぶそうだ。東側の斜面のガスが切れた時にはシラカンバも混じっているように見えた。

 

踊り樺

少し急な斜面を降りて再び登り返すとそこが五色山山頂である。前白根山から20分で到着した。山頂は平らで付近にはトンボの大群が飛び交っていた。ここで休憩していた3人組の女性等がトンボを避けながら昼食を食べていた。

 

ここから弥陀ヶ池に向かって緩斜面を少しずつ降りていく。道の脇にはハクサンシャクナゲと思われる低木がしばらく続いていた。また、地図にはないが、小さな池を2ヶ所で見つけた。見えないだけで他にもあるかもしれない。

 

ハクサンシャクナゲ?

弥陀ヶ池までの半分ほどの距離のところに分岐があり、まっすぐ行くと五色沼に降りられる。今回は弥陀ヶ池に向かうのでここで五色沼とはさよならして右の急になった斜面を降りていく。

 

カニコウモリ

 

ハンゴンソウ

いったん下り、再び登っていくと五色沼避難小屋近くですれ違った老人と若い外国人女性の二人連れとここでもすれ違った。ぼくとは逆コースを回っているのだろう。さらに進んでいくと突然広い草原が現れた。その草原を横切り少し下ると五色沼と弥陀ヶ池とを結ぶ道に出る。

 

草原が現れる

そこを右に進んでいくと今朝頑張って辿り着いた弥陀ヶ池に到着。ちょうど13時だった。あとはあの歩きにくくて急な山道を下るだけである。

 

今朝、出発が遅れたのとそのせいで昼食を食べていたので当初の予定より1時間40分ほど遅れていた。下山したら明日のために日光中禅寺湖畔まで移動し、テントを設営することにしている。このため休憩も取らず早歩きで下山した。

 

3分の1くらい下ったところで先に行った写真の女性に追いついた。その前には今朝追い抜かれた二人連れもいた。

 

ところが、その二人連れを追い抜いたあたりで左膝に違和感を感じ始めた。まずい、調子に乗って下っていたせいで膝が痛くなりそうだ。以前、丹沢の塔ノ岳の下山中に膝が痛くてやっとの思いで下山した時のことが頭をよぎる。

 

それからはスピードを落とし、左膝に負担がかからないように下っていく。

 

中間地点の見晴らしがきく地点に差し掛かった時にポツリポツリと雨が降り出した。おそらくこれから激しい雨がくるだろうと思い、広くなったその場所でレインウェアを着る。

 

すると、先ほど追い抜いた人たちが後からやって来て、そのまま通り過ぎていく。例の写真の女性は一言「着るんですね」と言った。「ええ、車じゃないんで濡れると困るんです」と答えた。

 

 

ゲリラ豪雨となる

追い抜かれたので後ろを気にせずさらにゆっくりと下り始める。すると雨が上がった。やっぱり早過ぎたかと思ったが、脱ぐのも面倒だ。

 

急斜面が終わり、なだらかになったところで再び雨が降り始める。今度はだんだん雨脚が強くなっていく。やはり着ていて良かったと思ったが、先を行った人たちはどうなったのだろう。ギリギリ間に合って下山できたのだろうか。

 

駐車場に戻るとザックを背負ったままバイクで日光に向かった。

 

もう下山した時刻も出発した時刻も見る余裕がなかった。激しいゲリラ豪雨の中を120号線のカーブを曲がっていく。すると、ブレーキをかける度に体が前に行き、後ろに積んだ荷物との間にザックが沈んでしまう。

 

おまけにヘルメットのシールド内が曇ってきて前が見えなくなる。体を浮かせて後ろに座り、シールドの内側をグローブで拭きながら進むと金精峠トンネルに入った。トンネルの中は天国だ。雨に当たらないことがありがたい。

 

だが、ふたたびトンネルを抜け激しい雨の中に出る。道はどんどん下っていくので、おそらく下の方に行けば雨脚は弱くなるだろうと考え、あわてず慎重に下っていく。

 

思った通り、湯の湖を過ぎたあたりから雨が少し弱くなった。昔よく来た戦場ヶ原を横切り、さらに下っていくと菖蒲が浜の標識が見えた。

 

浜への入口を少し通り過ぎたのでその先で停車し、Uターンして菖蒲が浜キャンプ村に到着。車はそこに駐車するが、バイクはさらに奥まで入ることができる。

 

受付事務所の脇に数台のバイクが停まっていた。ここに駐車してようやく時計を見る。16時50分だった。

 

雨の中、テントを設営しあたりを少し歩いてみる。雨でもキャンパーはたくさんいた。中禅寺湖湖畔も絶好のロケーションだし、奥に入った林の中もまた落ち着いてとてもいいキャンプサイトだと思った。

 

湯川は茶色く濁っていたが、その向こうに明日登る男体山がすこし霞んでどっしり構えていた。

男体山が霞んで見えた

 

 

最後に

菖蒲が浜の受付で聞いたところ、こちらでは午後1時半頃に雨が降り出したとのこと。

菅沼よりも少し早い。

だが、昨日も同じような天気なので、明日も同じようになるかもしれない。

そうなると、少なくとも午前中は晴れる。そうなることを期待して早々に眠った。

 

次回は男体山登山についてとなります。

 

では、このへんで

 

 

challe.info

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