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東京ものがたり1970年代

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東京ものがたり1970年代
公開日:2019/05/29

新宿 1969-1976

photo & text 丹野清志

1969年新宿駅西口。改札を出てからの広いスペースは当時「新宿地下広場」と名付けられていて、週末になるとベトナム反戦の「フォーク集会」が開かれ、この騒動以後「新宿通路」と名が変わりました。

今回よりしばらく私の古い写真群とおつきあいをいただくことになります。で、ちょいとご挨拶。私、1964年東京オリンピック開催の年に月刊雑誌のスタッフカメラマンとなり、1970年からフリーランスとして今日に至っております。スタッフカメラマン時代は一般雑誌なのでニュース報道的なものからルポ取材や旅ガイド的写真、住宅写真、料理写真、スタジオでの人物写真、ブツ撮りなどなどいろんなものを撮ったものです。つねに説明的な写真であることを求められ、あらかじめ画を決めて撮るような写真ですから興味がわくわけはなく、仕事はシゴトとして、休日カメラマンで好きな写真を撮っていたのでした。

スタッフカメラマンが性に合わなかったこともあり勤めを辞めるのですが、事務所など構えて独立なんてカッコイイものではなく、その後は連日休日カメラマンという日々。1970年前後の騒然とした社会は、すべてにおいて、何かやらなくては、という硬派な気分とともに、何かができそうだという夢見る気分の高揚があった時代だったのです。

当時は学生運動が盛んでまるで似合わない群れに紛れ込んで学生デモを追いかけて、国会議事堂前では機動隊と学生たちの衝突現場で発射された催涙弾の煙に涙しながら撮ったなんてこともあり、新宿東口界隈ではシンナー吸ってたむろする若者たちを撮ったり、一転していわゆる下町と呼ばれる渋い町をぶらりぶらり歩いたり、写真撮りに出かけて写真撮らず寄席で落語にひたったりしたものです。

当時、私は東京東中野の5階建ての集合住宅の4階に住んでいて、京王プラザホテルから始まる高層ビル建設の流れをベランダから眺めていたこともあり、新宿は最も身近な街でした。で、ささやかな私の「東京ものがたり」は、1970年前後の新宿駅西口側の新宿副都心開発の場と新宿駅東口のスナップショットから始めようと思います。




新宿副都心。現在は東京都庁第二庁舎。高層ビル建設が始まる前の空き地が草むらにはトンボやバッタがいて、子供たちの遊び場・広場でした。1969年。



新宿副都心。新しく作られた道路に無造作に置かれた廃車はしばらく置いてありました。1969年。


新宿駅東口。休日ともなれば若者たちがあふれ、シンナーの臭いが漂っていました。当時新宿駅は「民衆駅」と名付けられていました。1970年。




新宿駅東口。パンタロン、シースルールック、とんぼメガネなどが流行り、こつこつやることをシコシコ、のらりくらりすることをチンタラと言っていました。1970年。



新宿駅東口。学生運動が鎮まり “しらける”という言葉が流行して、若者たちは無気力、無関心、無責任であるとされ「三無主義」と呼ばれました。1970年。


新宿副都心。空き地は、現在東京都庁会議室。背景は京王プラザホテル。1976年。



右から京王プラザホテル(1971年開業)、損保ジャパン日本興亜本社ビル(旧安田火災)(1976年)新宿三井ビル、新宿住友ビル(1974 年)。1976年。
 

【使用カメラ】

アサヒ ペンタックスSL スーパータクマー24mm F3.5
キヤノン 7s キヤノン25mm F3.5
フィルム:トライX



アサヒ ペンタックスSL スーパータクマー24mm F3.5




 
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丹野 清志(たんの・きよし)

1944年生まれ。東京写真短期大学卒。写真家。エッセイスト。1960年代より日本列島各地へ旅を続け、雑誌、単行本、写真集で発表している。写真展「死に絶える都市」「炭鉱(ヤマ)へのまなざし常磐炭鉱と美術」展参加「地方都市」「1963炭鉱住宅」「東京1969-1990」「1963年夏小野田炭鉱」「1983余目の四季」。

<主な写真集、著書>
「村の記憶」「ササニシキヤング」「カラシの木」「日本列島ひと紀行」(技術と人間)
「おれたちのカントリーライフ」(草風館)
「路地の向こうに」「1969-1993東京・日本」(ナツメ社)
「農村から」(創森社)
「日本列島写真旅」(ラトルズ)
「1963炭鉱住宅」「1978庄内平野」(グラフィカ)
「五感で味わう野菜」「伝統野菜で旬を食べる」(毎日新聞社)
「海風が良い野菜を育てる」(彩流社)
「海の記憶 70年代、日本の海」(緑風出版)
「リンゴを食べる教科書」(ナツメ社)など。

写真関係書
「気ままに、デジタルモノクロ写真入門」「シャッターチャンスはほろ酔い気分」「散歩写真入門」(ナツメ社)など多数。

著書(玄光社)

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