サプライチェーンの最下流に位置するセットメーカーも資源の調達への関心を高めている。米アップル幹部はレアメタル研究で知られる東京大学の岡部徹教授を本社に招き、レアメタルの環境問題について講義を受けた。
岡部教授はいくつものレアメタルの採掘現場に精通している。我々が普段注意を払うことが少ない採掘現場の環境汚染とはどのようなものなのか。岡部教授に話を聞いた。
(聞き手は大西 孝弘)
2016年12月に米アップル本社に招かれて、レアメタルの採掘現場での環境汚染について講演したと聞きました。
岡部:アップルは環境対策に非常に熱心です。EPA(米環境保護局)の元長官であるリサ・ジャクソン氏を副社長に招いて様々な取り組みを進めています。本社は一般的な日本企業よりもリサイクルの分別ボックスの数が多いほどです。
特にレアメタルの環境問題を知りたいということで、本社に招かれて講義をしてきました。スマートフォンを開いたら、周期表ができるほど多種多様な元素を使っています。具体的な内容は明らかにできませんが、アップルの幹部が環境問題について強い危機意識があることがひしひしと伝わってきました。
環境対策で資源が偏在している
レアメタルは一般的に枯渇リスクがあると言われています。
岡部:それは誤解です。レアメタルは資源制約の問題はほとんどありません。例外は南アフリカの白金くらいでしょうか。
ほとんどの資源が環境対策によって偏在しています。その気になれば、米国でレアアースを生産できるし、カナダにはジスプロシウムの山があります。掘れないのは山にウランが含まれているからです。
仮に環境対策コストを下げられたり、環境規制が緩和されたりすれば、採掘できるかもしれません。
レアメタルの生産、製錬の現場では環境を汚染します。これは資源の問題ではなく、ゴミ捨て場の問題なのです。
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【インタビュー後半のポイント】
- ●環境対策で資源が偏在している
- ●メーカーは環境コストを負担していない
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