ネット全盛の今、テレビや新聞、雑誌といった既存メディアはその存在意義を問われ、変革を迫られています。ではメディアはどこを目指し、その実現にはどんな変化が必要なのか。メディアの実態を深く理解している筆者が、進行中のメディア改革の今とこれからを読み解きます。
シリーズ
境治 メディアに明日はない
15回
YOASOBIの「アイドル」ヒット、世界のアジアオタク狙え
世界で日本のコンテンツを受け入れる土壌が整ってきた。海外進出で先行する韓国のコンテンツ業界は日本の強い味方になる。すでに世界的な人気を誇る漫画の知財を持つ日本の出版社は、韓国と組むなどして世界進出の中核を担えるポジションにいる。
「ゴジラ-1.0」アカデミー賞受賞は日本コンテンツによる世界上陸の第一歩
映画『ゴジラ-1.0』がアカデミー賞で視覚効果賞を取った。VFXも担当した山崎貴監督は連日のように各メディアに呼ばれ、日本中が受賞を祝っている。日本映画は過去にもアカデミー賞を受賞しているが、今回は意味合いが大きく違うと思う。それを知るには、日本のこの30年ほどの映画産業史を振り…
売り上げ至上主義はびこるネットメディア 広告の質低下は経営の責任
この原稿を書く直前のこと。ある記事を読んでいて次のページへ進もうとしたら、画面が暗く覆われて広告が表示された。「ミドルの転職」と大きく書かれた広告だ。私はフリーランスなので転職も何もない。用もない的外れな広告に視界を遮られてすっかり読む気をそがれ、続きを読むのをやめた。
ネット広告巡るモラルハザード深刻化 メディア崩壊は防げるか
この1年ほどだろうか。ネット広告がひどい状況になっている。まっとうだと思っていた立派な出版社系ネットメディアの広告が、不愉快極まりない出方をする。さらに危険なのがSNSに表示される広告で、Facebookには著名人の顔写真と名前を使った、詐欺としか思えない広告が友人たちの投稿に続…
『セクシー田中さん』事件で露呈 Xの修羅場化とメディア幻想の終わり
日本テレビ系で放送されたドラマ「『セクシー田中さん』を夢中になって見た。だからこそ、原作者である芦原妃名子さんの件はショックだった。芦原さんは、X(旧Twitter)にずいぶん長い投稿をされていたがすぐに削除し、最後の投稿を残して亡くなってしまった。彼女を自殺に追い込んだのは、X…
能登半島地震で考えた 欧州型公共メディアへの移行の必然性
2024年の元日(1月1日)に発生した能登半島地震ではたくさんの方が被害を受けられ、亡くなった方も多い。いまだ避難生活を続けている方々を含めて、お見舞いを申し上げたい。今回の地震に際し、改めてメディアが抱える課題に気付かされた。今後のメディアのあり方や制度を考え直す、様々なきっか…
ワーナーとパラマウントが合併交渉 蚊帳の外の日本が目指すべき未来
23年末、メディア業界を震撼(しんかん)させる大きなニュースが流れた。米メディアコングロマリットのワーナー・ブラザース・ディスカバリーとパラマウント・グローバルが合併を模索しているという。
在京テレビ局の業績急降下 「楽しさと頼れる情報」が復活の条件
主に地上波放送を楽しむためのものだったテレビは、「ネットデバイス」へと変わってきている。ではテレビ局の「この先」はどうなるのか。2023年11月に発表された在京キー局の中間決算で発表された放送収入の変化と、ゴールデンタイムのPUT(総個人視聴率)の推移から、テレビ局とテレビという…
「VIVANT」人気で話題のTBS それでも縮まらぬグローバルとの距離
日本の放送業界で最近、大きな“期待の星”となったのが、TBSテレビのドラマ「VIVANT」だ。誰もが物語のスケールの大きさとともに、明らかに「お金がかかっている」ことに驚いたはずだ。日本のテレビドラマがモンゴルでの現地ロケを敢行し、1話に1億円もかかったとの情報が飛び交い、TBS…
ディズニー+、Netflixは広告で多角化 出口見えない日本は蚊帳の外
米国のエンターテインメント事業者が一気にSVOD型の映像配信へと舵(かじ)を切ったのは、新型コロナウイルス禍の前後だ。例えば米ウォルト・ディズニーなどが開始した「ディズニー+(プラス)」はあっという間に会員数を増やし、「Netflix(ネットフリックス)」に迫る勢いになった。他に…
VODはなぜ日本で10年くすぶったのか 活性化のきっかけはコロナ禍
日本で最初に始まったSVOD(サブスクリプション型ビデオ・オン・デマンド)サービスは、「Hulu」である。元々は、米国の複数のテレビ局が2007年につくった映像配信サービスであり、日本でのサービス開始は11年8月。それは映画やドラマが大好きな私にとって、待望の瞬間だった。
NetflixからFASTへ? テレビ受像機=ネットデバイスの時代
8月半ば、私の周辺で飛び交ったホットなニュースがある。「米国におけるリニア視聴が全テレビ視聴の49.6%となり、半分を切った」というのだ。リニア視聴とは、地上波や衛星放送とケーブルテレビを合わせたリアルタイムな視聴の仕方を指している。平たく言えば、いわゆる「テレビ放送」という言葉…
NHKが実現すべき「公共メディア」像を勝手に構想してみる
NHKの明日はどんな姿なのか。総務省の有識者会議「公共放送ワーキンググループ(WG)」がそれを議論する場だ。2022年9月にスタートし約1年を経て、今まさにまとめに入ろうとしている。この会議で議論されてきたのは、NHKのネット業務を必須業務とするかどうか。現状は放送が必須業務で、…
NHKが抱える小さくない問題 リーダーシップが見えにくい組織
NHKは最も明日が見えないメディアだと前回書いた。その結論は、NHK自身がどこへ進めばいいか分かっていないからだとした。なぜならばNHKにはリーダーシップが欠如しているからだ。本来は、色々言われながらも公共放送として日常的な報道でも災害の時にも頼りになるメディアのはずだ。そんな大…
[新連載]最も明日が見えないメディア、それはNHK
NHKほど明日が見えなくなっているメディアもない。戦前はラジオ、戦後はテレビにより「公共放送」の役割を果たしてきた。日々のニュースや事件、災害時の報道を頼もしくこなしてきた上に、大河ドラマや朝ドラ、そして大みそかの紅白歌合戦などで国民的娯楽メディアとしても親しまれてきたが、今はそ…
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