米インディード買収でグローバル企業に成長、人材サービスで世界一を目指す。4期連続最高益の快進撃が続いていたが、コロナショックで状況は一変した。ニューノーマルに対して、どう臨むのか。

(聞き手は 本誌編集長 東 昌樹)

(写真=竹井 俊晴)
(写真=竹井 俊晴)
PROFILE

峰岸真澄[みねぎし・ますみ]氏
リクルートホールディングス社長兼CEO(最高経営責任者)。1964年生まれ。千葉県出身。87年立教大学経済学部卒業後、リクルート入社。「カーセンサー」の広告事業を経て「ゼクシィ」創刊に携わる。2003年に当時最年少の39歳で執行役員に就任。04年常務執行役員、09年取締役兼常務執行役員、11年取締役兼専務執行役員を経て、12年4月に社長兼CEOに就任。同年10月、持ち株会社制に移行し、リクルートホールディングス社長兼CEOに就任。

2020年3月期まで4期連続最高益と好調でした。新型コロナウイルスの影響はどの程度受けていますか。

 ひどい状況です。4月単月の売り上げは、グループ全体で前年同月比21%減でした。

 大きく3つある事業領域ごとに見ると、求人検索サイトである米インディードを中心としたHRテクノロジー事業は35%減。「ゼクシィ」など販売促進支援サービスが中心のメディア&ソリューション事業が23%減、そして人材派遣事業が12%減とすべての事業でマイナスでした。

 ただ、インディードが毎日、各国単位で公表しているジョブポスト(求職)の数を見る限り、5月末の段階で底を打っています。まず欧米でロックダウンが起き、その後日本でも緊急事態宣言が発令されました。それが解除されて、お店や事業が再開して、人材が必要な状況になったということです。

 いわゆる新型コロナの第1波で世界各地がロックダウンとなったことで、コロナによるインパクトの「深さ」は大体つかめました。第2波、第3波で再度、ロックダウンや自粛要請ということになっても、その深さは想定できます。

 問題はこれがいつまで続くか、つまり「長さ」です。回復基調にあるといっても、100に戻るまでの時間軸が読みにくい。ですから、インパクトの深さよりも長さが重要になってきますので、そのあたりの数値はずっと見ています。

投資抑制で後悔したくない

このような事態が起きることを想定していたのでしょうか。

 私どもはHR(ヒューマンリソース)のビジネスを手掛けています。HRは経済の循環とリンクしていますから、経済が悪化すると各社は採用を抑制し、へたをすると完全にストップしてしまいます。私の経験に照らしても、今回の新型コロナを含め、4回の危機がありました。

 リーマン・ショックの後は好景気が続いてきましたが、我々は過去に危機を経験していることもあり、「次の危機はいつ来るのか」「危機が訪れたとき、どのような対応をするのか」といった議論は非公式のミーティングの中でずっとしてきました。

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