初心者におすすめ!ミステリー小説ランキング【前編】

おすすめミステリー小説ランキング10位〜6位

こんにちは、ブクログ通信です。

世界中で多くのファンが楽しんでいるミステリーの世界。日本でも多くのミステリー作品が、続々と刊行されています。しかし、ブクログのみなさんの中には、「ミステリーは苦手」という方もいることでしょう。「殺人シーンは読みたくない」「トリックが理解できない」といった声も聞こえてきます。

そこで、今回はミステリー初心者の方におすすめの小説をランキング形式で10作品ご紹介します。普段ミステリーを読まない人でも、ミステリーが苦手という方でも、きっと楽しめる作品たちです。ミステリー好きなブクログのみなさんからも多くの高評価を獲得している名作揃いなので、ぜひこの機会にミステリー小説に挑戦してみてはいかがでしょうか?

【10位】宮部みゆき『火車』 日本ミステリー史屈指の名作!ミステリーの面白さを教えてくれる1冊

火車 (新潮文庫)
宮部みゆき『火車 (新潮文庫)
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あらすじ

休職中の刑事・本間は、亡き妻の従兄弟・和也からとある相談を受ける。彼の婚約者・関根彰子が失踪したというのだ。本間は彰子を探すことになるが、どうやら彼女は自分の意志で姿を消したらしい。しかも、足取りを徹底的に消した上で、だ。なぜ彰子は失踪したのか。彼女は何者なのか……。彰子の行方を追ううち、本間は過去の意外な出来事を知るのだった。

おすすめのポイント!

日本ミステリ界をけん引する作家・宮部みゆきさんの代表作の1つです。クレジットカードローンによる多重債務問題を扱った社会派作品で、山本周五郎賞を受賞しました。この作品は1992年に発表され、当時の日本社会で問題視され始めていた、消費者金融やカードローンの「闇」を巧みに描き出しています。お金という身近なものを扱い、登場するのはごく平凡な人々なため、ミステリー初心者にも読みやすい作品だといえます。スリリングな展開、深まる謎、徐々に明らかになる驚きの事実……ミステリーの醍醐味が詰まった名作です。

宮部みゆきさんの作品一覧

失踪した婚約者を探して欲しい、と休職中の刑事の元に訪れた遠縁の親戚からの依頼。彼女は一体どこへ行ったのか。推理小説でもありながら経済小説でもあり、クレジットカード債務について本当に考えさせられました。これは現代社会を生きる人達、必読ではないかと。色んなジャンルの小説を書かれる宮部さんですが、真に迫る描写やストーリーには舌を巻かざるを得ません。

クニスンさんのレビュー

【9位】乾くるみ『イニシエーション・ラブ』きっとあなたも騙される!どんでん返しが秀逸な傑作

イニシエーション・ラブ (文春文庫)
乾くるみ『イニシエーション・ラブ (文春文庫)
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あらすじ

代打で呼ばれた合コンの席で、僕はマユに出会う。恋に落ちた僕らは、初々しくも甘い日々を過ごすのだった。やがて、大学生だった僕も社会人となり、東京への転勤が決まる。静岡で暮らすマユとは遠距離恋愛だ。あんなに大好きだった2人の間に、少しずつすき間ができていく。そんなときに現れた東京での僕の同僚は、ものすごい美人だった。いつしか、僕とマユの関係性は変化していくのだった……。

おすすめのポイント!

テレビやラジオ、雑誌などで度々取り上げられる、トリックが秀逸なミステリーの代表的作品です。驚愕の結末が待っているので、解説などを先に読むことなく、必ず1ページ目から順序良く読んでみてください。読後にはきっと、「騙された!」と思うことでしょう。結末を知っていても、何度も読み返してみたくなる名作です。ミステリー作品の醍醐味といえる、トリックやどんでん返しに騙される快感を味わえます。2015年に松田翔太さんと前田敦子さん主演で映画化されており、注目の「トリック」をどう表現するかで話題を集めました。

乾くるみさんの作品一覧

しんどかった。裏表紙も帯も煽りに煽ってきたので、最後から二行目を何度も読みたい衝動に駆られてとにかくしんどかった。トリックが気になりすぎて、途中でネタバレを調べかけたくらい。最後から二行目を読んだ瞬間は、本当に時が止まったかと思った。パズルのピースが一気に全部組み合わさるような感覚が痛快で心地よかった。

suiseiさんのレビュー

【8位】初野晴『退出ゲーム』 アニメ・映画も併せて楽しみたい!青春ミステリー人気作

退出ゲーム (角川文庫)
初野晴『退出ゲーム (角川文庫)
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あらすじ

清水南高校一年生の穂村チカは、弱小吹奏楽部のフルート奏者だ。幼馴染のホルン奏者・上条ハルタと共に、「吹奏楽の甲子園」である普門館を目指している。部員不足で廃部寸前の吹奏楽部を救うため、新入部員獲得のため奔走する2人。しかし、思いがけない難題が次々と降りかかるのだった。文化祭直前のある日、化学部から劇薬の結晶が盗まれた。誰が、何のために——?大人気”ハルチカ”シリーズ第1作。

おすすめのポイント!

「日常の謎」をテーマにした、青春ミステリーです。吹奏楽部に所属する高校生の”ハルチカ”を主人公に、学校生活の中で起こるさまざまな事件が軽いタッチで描かれています。殺人などの深刻な事件は起きないので、ダークな小説が苦手な人も気軽に楽しめる作品です。ハルタとチカの幼馴染関係もほほえましく、爽やかな青春物語としても読めます。一方で、差別や戦争など、重いテーマもさりげなく組み込まれており、読み応えもある物語です。2016年にアニメ化、2017年に佐藤勝利さんと橋本環奈さん主演で映画化されました。

初野晴さんの作品一覧

ハルチカシリーズの1作目で4つの物語の連作となっています。廃部寸前の弱小すぎる吹奏楽部のフルート奏者(初心者)の穂村千夏(チカ)が主人公で、幼馴染で高校入学で9年ぶりに再会した上条春太(ハルタ)が探偵役でホルン奏者です。物語が進んで難題を解決するごとに、魅力的な吹奏楽部のメンバーが増えていきます。学園ミステリーと言えますが、学園の枠にはおさまらない深い歴史などが出てきます。その歴史には涙しました。音楽教師で吹奏楽部の顧問である草壁信二郎先生も聡明で謎もあります。その他の登場人物も癖がありおもしろいです。

たけちゃんさんのレビュー

【7位】青崎有吾『体育館の殺人』 どこか懐かしい気持ちにさせられる、高校生探偵の推理劇


体育館の殺人 (創元推理文庫)
青崎有吾『体育館の殺人 (創元推理文庫)
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あらすじ

風ヶ丘高校の旧体育館で、放送部の少年が殺された。警察は卓球部部長の女子生徒を犯人だと決めてかかる。なぜなら、彼女は密室状態の体育館に居た、唯一の人物だったから。卓球部員の柚乃は、部長を救うため裏染天馬に真相解明を依頼する。裏染は学内一の天才だ。しかし、アニメオタクのダメ人間とも呼ばれている。真犯人を探すため、証拠集めに奔走する柚乃と天馬だが——。

おすすめのポイント!

著者デビュー作にして、第22回鮎川哲也賞受賞作です。高校を舞台に、変わり者の天才・天馬の推理が冴え渡ります。事件現場は体育館、行き交う生徒たち、部室や生徒会……学校のさまざまなシーンが巧みに物語に取り入れられており、どこか懐かしい雰囲気です。学校が舞台でありながら本格的な推理劇が展開され、文壇からも高く評価されています。アニメキャラのように個性的な登場人物と、コミカルな天馬と柚乃のバディ感、テンポ良い文章で、ミステリー初心者の人にも読みやすい作品です。

青崎有吾さんの作品一覧

評判通りの面白さ、そしてキャラクター、設定、文体、ノリなど個人的にとても好み。サブカルネタが散りばめられているところも楽しい。普段本を読まない人でもこういう作品と出会うと、きっと読書を好きになる、そんなキッカケになりそうな作品だと思います。裏染天馬シリーズ全て読んでみようと思います。

yuks4896さんのレビュー

【6位】西澤保彦『七回死んだ男』 ミステリーとSFの融合!伏線回収の気持ち良さにハマる傑作

七回死んだ男 (講談社文庫)
西澤保彦『七回死んだ男 (講談社文庫)
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あらすじ

高校生の大場久太郎は、ある1日を9回繰り返すという特異体質だ。その日を選ぶことはできず、いつ発動するのかはわからない。資産家の祖父宅に親戚が集まった1月1日、久太郎はまたも1日を繰り返していた。1回目は何事もなく過ぎた。しかし、2回目のループで祖父が何者かに殺されてしまう。時間の「反復落とし穴」の中で、甦るたびに殺害される祖父。祖父の死を回避するため、久太郎は孤軍奮闘するのだが——。

おすすめのポイント!

SF要素と推理劇が融合した、新感覚の小説です。タイムループしてしまうという特異体質、何度も死んでしまう祖父という、一見重くなりがちな設定ですが、軽妙な文章とユーモラスな雰囲気でサクサク読めます。主人公の久太郎が、特異体質以外はどこにでもいそうな普通の高校生であるという点も魅力です。祖父の死を防ぐため、あの手この手で奮闘する姿は、ついつい応援したくなるはず。また、緻密に張り巡らされた伏線が、物語終盤に向けて見事に回収されていく点も本作の見どころです。謎を鮮やかに解決し、意外な結末へ辿り着く爽快な物語をお楽しみください。

西澤保彦さんの作品一覧

想像以上に面白くて一気読みしてしまった!SF新本格というジャンルらしいが、1日を反芻してしまうトンデモ設定の中あの手この手で策を練っては裏切られる展開がコメディ要素が強くて好き。主人公も一般的な高校生で特に名探偵でも無いけど獅子奮闘する姿を読んでると応援したくなる。登場人物みんな個性が強くて卑劣で肝っ玉の小さいヒステリックな面もあるけどなんだか憎めない。ミステリーの面でいうと、そういえばという伏線はあるんだけどすっかり忘れてました。それくらい充実したトリックで満足できる。

D-Rinnさんのレビュー

ミステリー小説は、難しいトリックや天才的推理以外にも、さまざまな「見どころ」が詰まっています。前編5作では、物語の面白さを重視した作品がランクインしました。後編ではさらなるオススメ作品をご紹介しますので、ぜひお楽しみに!