みやしたの気まぐれblog

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乗り鉄のお勧め路線 第16回 飯田線

2012-02-19 01:24:38 | 乗り鉄
久々に乗り鉄のお勧め路線シリーズです。第16回は、私的に一番よく訪れている路線、JR東海の飯田線です。

なお、今回、かなり写真が多くなっています(いつもの倍くらい)。長年訪れている関係で、掲載写真も多くなることをご了承ください。

飯田線は愛知県の豊橋と長野県の辰野を結ぶ195.7kmのローカル線です。愛知県と長野県の間に静岡県の西北部を走るため、ローカル線としては珍しく3県にまたがっている路線です。この路線長でありながら、駅数は94と非常に多く、平均駅間距離が2.1kmと都会の路線並みになっています。また、山間をぬって走るためにカーブが非常に多く、駅数の多さもあって、全線を通り抜けるには普通列車で6時間以上かかります。

元々は、豊川鉄道、鳳来寺鉄道、三信鉄道、伊那電気鉄道(初期は伊那電気軌道)の4つの私鉄であった物を、第二次大戦中の昭和18(1944)年に国有化して誕生しました。地方ローカルな路線ながら、元々が私鉄のために全線電化されていて、蒸気機関車が走った事がありません。豊橋駅~豊川駅は複線化されていますが、他は全て単線。豊橋駅~平井信号場(下地駅と牛久保駅の中間)までは名鉄名古屋本線と線路を共用しており、名鉄電車と一緒に走りますが(ただし、船町駅、下地駅には名鉄電車は止まらない)、これは豊川鉄道時代の名残なのです。

現在の豊橋駅。究極超人あ~るのOVAで出てきた噴水など、当時の風景はすでに無い

豊橋駅で119系の東海色とデビュー時塗装(天竜色)の並び

豊橋駅~新城駅くらいまでは住宅地が多く豊橋駅~豊川駅の区間運転列車も多く設定されています。豊川までは名鉄経由でも行けますが、飯田線の方が直行しており、浜松方面からの乗り換えや、新幹線乗り換えでは有利なためです。豊川には日本三大稲荷の一つとされる豊川稲荷が有り、初詣の時期には多くの参拝客が訪れます。また、豊川にはJR東海の子会社となった日本車輌豊川工場が有り、日本車輌で製造された在来線用車両は、飯田線を通って搬出されることが多いです。以前は新城駅発の名古屋行きの列車もありました(211系5000番台で運転されていた)。

豊川駅。現在は橋上駅舎だが、かつては小さな駅ビルのある駅だった

これが昔の豊川駅駅舎

東京メトロ9000系を甲種輸送するシーンを豊川駅ホームで撮影

ごくわずかな期間だが、313系の新快速の付属編成が、飯田線内まで乗り入れていたことがあった。当時の豊川駅で撮影

新城駅で撮影した117系臨時快速「佐久間レールパーク」。運転開始当初はただの東海色117系だったんですよ

新城を過ぎると、徐々に山の中に入っていき、本長篠を越えると本格的に山の中を昇っていくようになります。なお、名前で分かるとおり、この辺りは長篠合戦の古戦場にあたり、長篠城駅近くには城跡があります。湯谷温泉に至ると風景は山と川と森に変わり、湯谷温泉~三河槙原では「板敷川」と通称される宇連川の流れを見ることが出来ます。かつては、豊橋~中部天竜で「トロッコファミリー号」が運転されていて、このあたりは風景が良いため乗っていてとても気持ちいい旅でした。中部天竜まではよく「トロッコファミリー号」に乗ったもので、佐久間レールパークに行くのに本当にちょうど良い列車だったんですよね。ED18形、EF58形で牽引されていたんですが、機関車の故障であえなく廃止されてしまい、飯田線最高の観光列車が失われました。

本長篠駅。ここまではそこそこ列車本数があるが、ここから先はだいぶ減少する

本長篠駅で交換する119系の東海色とデビュー時塗装(天竜色)

宇連川を見る。夏場は川遊びしている人も多いです

かつて走っていたEF58形牽引の「トロッコファミリー号」。このEF58 157は現在「リニア・鉄道館」に保存されています(塗装がぶどう2色に変えられましたが)

トロッコ用の客車。スハフ12 31、スハフ12 104、オハ17 1、オハ17 11の4両編成だった

トロッコの車内から見る風景。この頃は本当に良かった

ED18牽引の「トロッコファミリー号」。何度か乗った「トロッコファミリー号」だが、運悪く一度もED18牽引列車には乗車できなかった(EF58ばっかりだった)

昔の「トロッコファミリー号」の客車。中間に貨車改造のコトラ90000形を使用しており、劣悪な乗り心地は逆に鉄道ファン受けしていた

途中駅、東栄駅の駅舎は鬼の顔の形で知られる

佐久間レールパーク最後の日の中部天竜駅は激混みだった

中部天竜駅に入線するかつての165系臨時急行「伊那路」。色が変なのは、写真取り込み時のミスです・・・

313系1700番台が投入されるまでは115系の湘南色の電車が南北を貫通していた。中部天竜駅で撮影

中部天竜を過ぎると、天竜峡駅までの間は「秘境駅」(この言葉は牛山隆信さんという方が作られた言葉ですが、すでに一般化していますね)のオンパレードとなります。佐久間駅~大嵐駅は元々現在の佐久間ダムの下を走行していたのですが、佐久間ダムの建設に伴って水窪側に線路を付け替えたためです。このため、非常に住民が少ない場所も通るようになりました。城西駅~向市場駅には「渡らずの鉄橋」とか「S字橋」と呼ばれる第6水窪川橋梁があって、撮影地として有名です。また大嵐駅より一駅先の小和田駅は愛知、静岡、長野の3県境界(駅自体は静岡県)に近く、秘境駅中の秘境駅です。かつて皇太子妃雅子様のご成婚の際に、旧姓の「小和田(おわだ)」と漢字が一緒と言うことで盛り上がったこともありました(結婚式をした人までいる)。今やその当時に作られた大半の物品は朽ち果てており、降りたところの川へ入水自殺があったりとか、いろいろと秘境化が進行しております。平岡を過ぎると、断崖絶壁の区間が多くなり、土砂崩れ等の被害で通れなくなることも。私も一度、平岡~天竜峡を列車で通れず、バスで移動したことがありました。

渡らずの鉄橋

水窪駅の入り口

中部天竜~天竜峡は周辺道路事情が悪いことから、飯田線の普通列車を使った荷物輸送(主に郵便)が今でも行われている

小和田駅の駅舎。トイレは駅舎の外にあるが、実質使えるかどうかぎりぎりだと思われ

小和田駅ホーム上にある3県境界を示す案内

天竜ライン下り(天竜峡駅付近→唐笠駅付近で運行)の船より、飯田線の線路を見上げる。金野駅~千代駅辺りだと思う

平岡駅を発車する373系「伊那路」

平岡駅で代行バスに乗ったことがある。写真のバスが代行バス

天竜峡駅。写真右側のスペースに、かつては駅蕎麦と売店があった。天竜峡は大きなホテルも潰れ、昔に比べると閑散としている


天竜峡駅を出ると、町の郊外の雰囲気に変わります。途中に難読駅ですが、めでたい駅名として知られる鼎(かなえ)駅があります。長野県南部の中心である飯田市内に入っていくと、今までの秘境はどこ行ったという感じに地方都市の雰囲気を呈してきます。飯田駅までは豊橋駅から特急「伊那路」が運転されていますが、どちらかというと飯田はすでに飯田線の北部にあたるため、飯田線北部の南端(日本語が少し変ですが)という感じです。飯田はリンゴの名産地で、駅舎もリンゴの赤色に塗られています。飯田駅から北部は、中央本線・篠ノ井線との結びつきが深くなっており、JR東日本の115系電車が信越本線の長野駅から篠ノ井線、中央本線岡谷経由で飯田駅まで乗り入れています。

鼎駅の駅舎

飯田駅の駅舎

飯田駅停車中の373系「伊那路」

飯田線北部にはJR東日本の115系が乗り入れる

飯田駅周辺は、飯田線は大きく迂回運転しており、ちょうどΩ状に走行しています。この区間、下山村~伊那上郷を直線で結ぶと約2kmでして、列車は13~20分程度(飯田での停車時間がある場合は最大30分程度)で走行しますが、この列車と競争することを「下山ダッシュ」と呼び、古くから鉄道ファンが挑戦することで知られています。昨年も「空から日本を見てみよう」の番組で紹介されました。ちなみに私も若い時に1度だけやってますけど、長時間停車の列車でやったチキンです(いや、だって後輩連れていたんで、失敗するわけに行かなかったし)。13~14分の列車はまず厳しいですので(脚力があっても信号もあるし)、20分程度の列車で地図も確認の上で挑戦しましょう。

伊那上郷駅に接近する119系。勝利者が見る光景だけど、実際にここまでちゃんと撮影するには、列車に余裕が無いと難しい

飯田駅から北の沿線はずっと郊外的な風景か田舎的な風景がつづき、車窓に中央アルプスを眺めて北上していくことになります。途中、元善光寺駅は長野にある善光寺の本尊が元々あった座光寺の最寄り駅です。また、市田駅は市田柿の名で知られる柿の名産地です。七久保駅を過ぎると、列車はまた何度かΩ状に走行するようになります。これは川を越える際に、昔の建築技術で大きな橋を建設するのが困難であったため、上流側に一度移動してから川を越えていくためです。これをΩカーブと呼び、特に田切駅~伊那福岡駅での中田切川越えのΩカーブは、列車の走行速度が30km/h制限を受けるため、中央アルプスをバックに撮影しやすいことから鉄道ファンの聖地として知られてきました。

雪の元善光寺駅。ここまで雪が降るのは飯田市内では珍しい

元善光寺駅に入線する313系1700番台

昔は北部での貨物運転もあり、飯田線専用形式のED62形で石油輸送が行われていた。飯島駅で撮影

田切駅のホームで見る中央アルプス

雪の積もった田切駅ホーム

田切駅に入線する119系

田切駅を発車した119系

中田切川を渡る119系

中田切川を渡る169系。昔は快速「みすず」にJR東日本の169系が使われていた

車窓の中央アルプスは冬場から春にかけて雪を被っていてとてもきれい


ソースかつ丼の町駒ヶ根と、ローメンの町伊那市を通り過ぎ、かつてはED62形が所属していた伊那松島運輸区のある伊那松島を通り過ぎるとやがて終点の辰野駅に到着します。飯田線の列車は、このまま岡谷方面に入ることが多く、中央本線の岡谷、上諏訪、茅野と、岡谷で折り返して篠ノ井線経由で信越本線の長野まで入る列車があります。

飯田線の現在の駅舎は、放火対策で近年建て直したものが多いが、小町屋駅は区画整理で建て替えた物

伊那市駅。昔は後方のビルは無かった

伊那市駅に入線する313系3000番台

伊那松島駅の駅舎

伊那松島運輸区に留置されていた頃のクモハ12041。現在はリニア・鉄道館で保存

雪の積もる辰野駅で発車を待つ119系は中央本線乗り入れの列車である

飯田線はその主である119系が来月31日を持って引退します。引退後は、関西本線から移ってきた213系3000番台と、中央本線から移ってきた313系3000番台、115系置きかえ時に投入されていた313系1700番台、特急「伊那路」用の373系、JR東日本からの乗り入れの115系が運行されることになります。たまにキヤ95系も走りますけど。ここで、これまでに紹介してこなかった、臨時列車の写真なども掲載しましょう。

クモハ12041が現役だった頃、臨時団体列車に乗車した。当時車内は簡易お座敷だった

中部天竜駅での119系の並び。天竜色の展示会時の物

中部天竜駅に到着する、国鉄色117系の臨時快速「佐久間レールパーク号」

119系天竜色と117系国鉄色が並んで展示された

佐久間レールパークの最終日、117系国鉄色で運行された臨時快速「佐久間レールパークフィナーレ」

JR東海色の117系で運行された臨時快速「佐久間レールパークフィナーレ」

飯田線に気動車が走ったという貴重な写真。キハ75形臨時快速「佐久間レールパークフィナーレ」

冬場に霜取りでクモヤ145形が運転されていたこともあったが、最近は見ない。もっと前はクモハ12041がやってた

ドクター東海ことキヤ95系は検測のためにたまに走行している

117系「そよ風トレイン117」。登場初期の姿で、当時はウィンディスペース車以外は元のままの外観だった

213系5000番台。飯田線の新たな主になる形式。2扉という構造は、閑散としている北部には向いているかも

豊橋駅での新旧形式の並び

飯田線の魅力は、様々な風景と時間が流れるその路線の長さにあります。
沿線は観光地や温泉(湯谷温泉以外にも、実はかなりあります)も多く、一方で北部で見られるB級グルメ(駒ヶ根ソースかつ丼、伊那ローメ等)、豊橋、豊川だと稲荷寿司やヤマサのちくわもあり、食べ物もなかなか面白いです(ただし、中部天竜~天竜峡での食糧事情は厳しいです。平岡以外ではほとんど食べ物が手に入りません)。
飯田線の主、119系が消える前に(できればダイヤ改正前に)、是非一度飯田線を訪れて頂きたい物です。

<シリーズ過去記事リスト>
乗り鉄のお勧め路線 第15回 江ノ島電鉄線
乗り鉄のお勧め路線 第14回 仙山線
乗り鉄のお勧め路線 第13回 伊予鉄道市内線
乗り鉄のお勧め路線 第12回 予土線
乗り鉄のお勧め路線 第11回 南阿蘇鉄道
乗り鉄のお勧め路線 第10回 小湊鉄道
乗り鉄のお勧め路線 第9回 指宿枕崎線
乗り鉄のお勧め路線 第8回 伊豆急行線
乗り鉄のお勧め路線 第7回 大糸線
乗り鉄のお勧め路線 第6回 十和田観光電鉄
乗り鉄のお勧め路線 第5回 飯山線
乗り鉄のお勧め路線 第4回 函館本線
乗り鉄のお勧め路線 第3回 箱根登山鉄道登山線
乗り鉄のお勧め路線 第2回 肥薩線
乗り鉄のお勧め路線 第1回 五能線
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5 コメント

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Unknown (火事)
2012-02-19 22:08:43
小和田駅は入水自殺(多分白骨死体で発見された件。駅に尋ね人として着衣の写真がありました。別件かも。)のほかに駅下の神社で首つり自殺もあったんですよね。後者の方は地方新聞の三面記事に載りました。
それ以来小和田には一人で行けなくなりましたね。
Unknown (みやした)
2012-02-19 22:14:50
では、今年の夏あたりに、田切の帰りに小和田で火事さんを置いていく方向で(笑)
ああ、3/11でもいいですね!570Mで20:35に降りても、1時間ぐらいで549Mの天竜峡行きが来ますから、ちょうど良いですね!
Unknown (火事)
2012-02-20 22:10:15
じょーだんじゃないわよ!(OVAの小夜子調で)
Unknown (みやした)
2012-02-20 22:36:47
小夜子調とか書いている辺り余裕ありそうですね。
じゃあ、季節晴れですけど、火事さんは小和田で肝試しと言うことで。なあに、長篠合戦があった長篠城辺りに比べれば、たいした死人の数じゃないですよ。
Unknown (火事)
2012-02-21 15:44:37
それこそ「冗談じゃ無いわよ!」ですな。

死人の数と言えば、東京・広島・長崎ではものすごい数の死人が出たわけですが、見たという人の話は聞きませんなあ。不思議。祀られてるか祀られてないかのの違いかなあ?

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