ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

デクスター・ゴードン/ステイブル・メイブル

2017-11-09 12:21:18 | ジャズ(ヨーロッパ)
本日は久々にスティープルチェイスの再発シリーズを取り上げたいと思います。同レーベルのことは以前ホレス・パーランの「アライヴァル」の頁で説明しました。70年代にデンマークに設立されたレーベルですが、当時のコペンハーゲンは治安も良く人種差別も少ないのに加え、モダンジャズを愛する聴衆も多く存在したことから、黒人ジャズメン達にとって格好の移住先になっていました。デクスター・ゴードンはその代表格の一人。彼の場合、ブルーノートから多くの名盤を発表し、キャリアの絶頂にあった1962年に早くもパリに移住。その後はコペンハーゲンに居を移してマイペースに活動を続けていました。スティープルチェイスにはライブ盤を含めて20枚を優に超える作品を残しており、デューク・ジョーダンと並んで同レーベルの“顔”と呼んで差し支えないでしょう。本作「ステイブル・メイブル」は1975年3月にコペンハーゲンでスタジオ録音されたもの。サイドマンはピアノが上述のホレス・パーラン、ベースが地元出身のニールス・ヘニング・ペデルセン、ドラムが同じくアメリカから移住してきたトニー・インザラコとなっています。



曲は別テイク3曲を除けば6曲。オリジナル曲は1曲もなく、全て良く知られたスタンダードばかりですが、録音当時52歳のゴードンが貫禄たっぷりのプレイで「これぞジャズテナー!」とでも呼ぶべきプレイを繰り広げます。冒頭“Just Friends”は数え切れないほど多くのジャズメンに演奏されたスタンダードですが、ゴードンの朗々と歌い上げるテナー、続くパーランの躍動感あふれるピアノソロ。どちらも素晴らしく、新たな名演と呼んで良い出来です。続く“Misty”はゴードンお得意のバラード。ダンディズム溢れる雄大なプレイに惚れ惚れします。3曲目はチャーリー・パーカーの“Red Cross”。バップの古典を豪快に吹きまくっています。4曲目はマイルス・デイヴィスの“So What”。モード・ジャズの古典ですが、ここでは原曲よりかなりテンポアップして演奏しています。ペデルセンのベースも大活躍です。5曲目“In A Sentimental Mood”はエリントン楽団のバラード曲。珍しくゴードンがソプラノサックスで演奏していますが、正直言ってあまりピンとこない。やっぱりテナーの方がいいですね。ラストはベニー・ゴルソンの名曲“Stablemates”。これもストレートアヘッドな演奏で締めくくります。ゴードンと言えばやはりブルーノートの名作群が外せませんが、スティープルチェイスの作品も今後発掘していきたいと思います。

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