エイジアが1983年12月に初来日して行なったコンサートのビデオは当時レンタルビデオ屋で見つけてダビングし、ひとしきり堪能した。米国に同時中継してMTVで放映するという企画ものだったが、何よりもジョン・ウェットンに代わってグレッグ・レイクが参加しているというのがとびきり貴重な映像ビデオ。久しぶりに観ると時代を感じさせて感慨深いものがあります。
1. The Heat Goes On
2. Here Comes The Feeling
3. Eye To Eye
4. Steve Howe Guiter Solo (Sketches In The Sun)
5. Only Time Will Tell
6. Open Your Eyes
7. Geoff Downes Keyboard Solo
8. The Smile Has Left Your Eyes
9. Wildest Dreams
10.Carl Palmer Drum Solo
11.Heat Of The Moment
12.Sole Survivor
開演の前にMTVスタッフがカタコトの日本語でアナウンス。「ロックノヨーイイーデスカ!?」の掛け声が笑える。グレッグ・レイクは歌詞を完全には覚えておらずプロンプターを使っていたらしいが、高音域は出ていなかったものの、彼のボーカルは急拵えのわりには意外とイケる。そう感じるのは、単にレイクの声のほうが好みという個人的な理由からだが。最近は老猿のような佇まいのスティーブ・ハウもこの頃は若々しくてカッコいい。ジェフ・ダウンズは壁のようなキーボード群の間をせわしなく走り回り、これまた実に若い。カール・パーマーの虚仮おどしのドラムソロには苦笑するしかないが、この時代はこういうパフォーマンスで盛り上がっていたものな。今の視点で観るとちょっと恥ずかしいけどね。ベテランミュージシャン達だけあって演奏はしっかりしており、この時代のライブパフォーマンスとしては水準以上の出来だと思う。そもそもエイジアの楽曲自体が親しみやすくてノリが良いからなあ。
「産業ロック」と呼ばれたエイジアに問題があるとしたら楽曲そのものではなく、このライブの直前に行なわれたウェットンからレイクへの交代劇のような、ロック産業ビジネスの論理でバンドが成り立っていたことだ。日本公演の後、レイクは脱退してウェットンが復帰。すると今度はハウが脱退し、バンドの人気も下降線を辿ってやがて消滅するのだが、ウェットンやダウンズにとってエイジアの成功体験は忘れられないようで、その後も何度も復活。ウェットンも亡くなる直前までエイジアの活動に入れ込んでいたようだし、そりゃ本人達が望めばエイジアのネームバリューに群がるロック産業界の魑魅魍魎は放っておかないだろうよ。でもウェットンが亡くなるまでの30数年をエイジアに振り回されてしまったように感じ、もったいなかったように思うのは僕だけだろうか。
以前はVHSとレーザーディスク(懐かしい!)で発売されていたが、その後にDVDになったかどうかはわからない。少なくとも現在この映像のソフトは販売されていないようだ。でもYoutubeにはちゃんと全編アップされていて、やっぱり凄いねYoutube。しかもVHS版には収録されていなかった「Time Again」がこのYoutubeでは冒頭に収録されている。今観ると画像がけっこう粗いけど。
(かみ)
1983-12-06 'Asia In Asia' - Live at Budokan (Geoff Downes, Steve Howe, Carl Palmer, Greg Lake)
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もっちゃん
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