ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




成瀬証券(現・フィリップ証券)。中央区日本橋兜町4
左:1985(昭和60)年9月8日、右:1986(昭和61)年6月22日

山二証券の南に隣接して建っている、山二証券と同じ西村好時の設計によるビル。『日本近代建築総覧』では「成瀬証券K.K.、所在地=日本橋兜町1-6(旧住所)、建築年=昭和10年、構造=RC3階建、設計=西村好時、施工=清水組、備考=「清水組工事年鑑」S.10による」。
金融関係の建物らしい古典主義を平面的にアレンジして、小さいけれど重厚な感じを放っている。写真では柱の間の窓枠と壁が茶色に塗られているが今はそれが黒に替わっている。翌年に撮った裏側の写真では黒なので、その間に塗りなおされたのだろうか。

昭和7~11年の火保図を見ると、成瀬証券のところは第一銀行(明治35(1902)年竣工、辰野金吾設計の建物、関東大震災でも倒壊しなかった)が建っていて成瀬証券の前の道路はない。東京株式取引所の西側から海運橋に出るには第一銀行をコの字形に、今の成瀬証券の裏を回っていくことになる。第一銀行を建て替えるのに合わせて一直線の道路を敷設したものだろう。そして、山二証券、成瀬証券、大東証券、第一銀行兜町支店をほぼいっぺんに建てたものと思える。
大東証券は『総覧』に「日本橋兜町1-6、昭和10年、RC(火保図では3階建)、西村好時、清水組」とある。
第一銀行兜町支店は、『清和綜合建物>兜町ビルの歴史』によると、三代目の建物。初代の建物はよく錦絵で見る二代清水喜助設計の擬洋風の建物だ。三代目の建物は昭和11(1936)年の竣工。西村好時の設計による3階建て古典様式のビルだ。施工は当然清水組だろう。

『ウィキペディア>フィリップ証券』によると、成瀬証券の創立は1920(大正9)年9月、成瀬省一商店として。その場所や現在地に納まる以前の場所は判らないが、成瀬省一商店から出版された『銀行会社業績内容総覧 大正15年 上半期』の奥付に「東京市日本橋区兜町三番地」とある。新馬場橋-新亀島橋の通りの南側だ。2011年(平成23年)4月にPhillip Financials株式会社と合併してフィリップ証券株式会社となった。

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