新「廊下のむし探検」

大阪北部のマンションの廊下で見つけた虫の名前を調べています

虫を調べる ツツジグンバイ?

2019-08-26 18:09:11 | 虫を調べる
一昨日、公園にあるツツジの葉の上でグンバイムシを見つけました。たぶん、ツツジグンバイだろうなと思って撮影したのですが、家に戻ってから見ると、やけに色が淡いのでひょっとして別種かもと思って調べてみました。





公園で撮ったグンバイムシの写真です。手掛かりはこんな写真しかありません。





まずはこの写真を拡大して各部の名称を入れてみました。「日本原色カメムシ図鑑第3巻」に模式図が載っているので、それを参考にして書いてみました。たぶん、Stephanitis(ツツジグンバイ)属は確かそうなので、この図鑑に載っている検索表で調べてみることにしました。

①前胸背に中央隆起と側隆起を具える
②翼状片は前方にのみ突出する;前胸背の側隆起は低い ツツジグンバイ亜属
③前翅に通常斑紋があり、先端部は重なる
④帽状部は強く膨らみ、複眼を含めた等幅とほぼ同じかより広い;前胸背の側隆起は著しく長いか著しく短い;中央隆起の小室は1-3列
⑤側隆起は後方突出部の基部の幅の1/3より短い
⑥a 帽状部は著しく幅広く、複眼を完全に隠す
 ⑦a 翼状片は長さの半分より明らかに狭い;帽状部は中央隆起より高く、側面中央の小室は7-8列;前縁域中央の前方にある暗色紋は後方のものより明らかに幅が広い      シキミグンバイ、トサカグンバイ
 ⑦b 翼状片は長さの半分より幅広い;帽状部は中央隆起と同じ高さで、側面中央の小室は5-7列;前縁域中央の前方にある暗色紋は後方のものと同幅
  ⑧背面は無毛;帽状部は中央隆起より長く、側面中央の小室は6-7列;3.5-4mm ツツジグンバイ
⑥b 帽状部は複眼を含めた頭部とほぼ同幅で、複眼を完全に隠さない
 ⑨a 翼状片は長さの半分より狭い;帽状部は複眼を含めた頭幅より狭い;体はおおむね淡褐色 サガミグンバイ
 ⑨b 翼状片は長さの半分と同幅かより広い
  ⑩a 前胸背は淡黄色または乳白色もしくは淡褐色;前翅に淡褐色斑をもつか、斑紋を欠く
                                クスグンバイ、ヤブニッケイグンバイ
  ⑩b 前胸背は褐色ないし黒褐色で無毛;前翅に暗色斑が発達する ヒコサングンバイ

日本産Stephanitis属は3亜属27種でグンパイムシの中ではかなり大きな属です。上は検索表のうち、確かそうなものだけを抜き出し、怪しいところは選択肢をそのまま残して書いたものです。また、候補に挙がっている種は本州産に限ってみました。①~⑤は先ほどの写真でほぼ確かめることができます。問題は⑥です。「帽状部が著しく幅広く複眼を完全に隠す」というところがいまいち分かりません。図鑑を見ても、「隠す」となっている種でも背面から複眼が見えているものもあるからです。上の写真を見ると明らかに複眼は見えていそうなので、⑥bを選ぶと、次は⑨に進みます。翼状部は斜めになっているので、幅がよく分かりません。仮にこれが水平面に対して60度で傾いているとすると、見かけの幅の2倍になるので、写真から実測してみると、幅は長さの1/2より少し長い程度になります。帽状部も複眼を含めた頭幅よりは広いので、⑨bの方を選ぶと、クス、ヤブニッケイ、ヒコサンが残ります。ただ、図鑑を見ると、いずれも帽状部の長さが翼状部の長さよりもかなり短いので、見た目がだいぶ違う感じがします。



それで、もう一度⑥を調べてみます。この写真はやや斜めから写した写真ですが、この写真を見ると、帽状部に複眼が覆われているようにも見えます。そう考えて、⑥aを選ぶと⑦aか⑦bになるのですが、⑦aを選ぶとシキミかトサカになります。共に、前縁域中央前方にある暗色紋が後方の暗色紋の幅よりかなり太いというのが特徴でこの個体とは合いません。残りはツツジグンバイということになります。残念ながら帽状部側面の小室の数は分からないので、検索表をすべて確かめることができないのですが、やはりツツジグンバイで合っているのではと思っています。


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