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「我が272.155キログラム人生」〜アメリカ肥満事情 その1

2019-05-04 | アメリカ

今日は連休スペシャルで息抜きの話題をお楽しみください。

さて、アメリカに滞在すると、主にネタ探しのためにテレビを観ます。
日本人の感覚ではとても信じられない一般人の露出型番組は、
ある程度「やらせ」だとしても、よくこんな恥知らずなことを
と呆れるようなプライバシーをネイションワイドに公表する人が
それこそ次々と出てきて唖然とさせられます。

しかしその中でも、医療系に解決を見出す悩める人たちがテレビで
恥とその超肥満の体躯を晒し、その代償に局のお金で治療を受けさせてもらう、
という番組を
今回はご紹介しようと思います。

なんども言っていますがアメリカにはデブが多い。
BMI30以上の比率は33%で日本の約10倍です。

この数字は18歳以上のもので、18歳以下の統計においても
18.4%と、こちらもアメリカは世界一のデブ大国ということになります。

この番組で紹介されていたのは、まだティーンエイジャーだというのに
ここまで体重を増やしてしまい、苦悩を味わう一人の少年。

太り過ぎで家族と一緒にモールに行っても10分で息が切れてしまいます。

「世界一太ったティーンエイジャー」、彼の名はジャスティン。

幼い頃から太っていて、洋服を探すのも一苦労だったとか。
アメリカには肥満専用のブティックなどもあって、
日本では考えられないほど太った人に「優しい」社会なのですが、
それでもやはりこう規格外だと自ずと限界があります。

ジャスティンは歌が上手く、心優しい少年です。
太りすぎて皆と同じことが何もできないこと、
何より、若くして死んでしまうことを恐れ、悩んでいます。

「普通の10代がしていることができるようになりたいんだ」

子供の肥満は、断言しますが100パーセント親のせいです。
ジャスティンの母親は、ただでさえ太りやすい因子を持って生まれた
息子を、その無知と愚かさで後戻りできないほどデブに育て上げてしまいました。

もちろん彼女自身も太っています。
モールを家族で歩くシーンを見る限り、夫のいない彼女は
マクドナルドで働いているようですが、自分自身が
職場の商品の愛好者なので、当然子供にもそれを与えたりするわけです。

料理は一切しません。

日本人のまともな感覚では、全く料理をしない親なんているのか?
と訝るでしょうが、実はみなさん、アメリカ人から聞いたところによると、
多くのアメリカ人は「料理をしない」のだそうですよ。

NYのおしゃれな女性の生き方を描いたSATCは、四人の登場人物のうち
料理をするのは辛うじてユダヤ人と結婚し彼に気に入られようとする時の
シャーロットだけで、皆外食かそうでなければ宅配の紙パック中華を食べています。

実際の例として、日系アメリカ人のわたしの知人の妹の家庭を挙げると、
彼女はカリフォルニア大学の数学教授と結婚していて、夫はユダヤ系。
本人はMITを出ていますし、彼の兄弟は全員がアイビーリーグ卒、
弟は弁護士で兄は医者、当然実家も裕福なのですが、
彼ら兄弟を育てた母親は家で一切料理をしたことがなかったというのです。

まさか、と思うかもしれませんが、アメリカ人は知的レベルと関係なく、
食に関してはとんでもなく寒々しい生活を送っている人が多く、外食以外は
レンジフードを自分の食べたい時間に勝手に作って自分の部屋に持っていき、

各部屋にあるテレビを観たりパソコンをしながら食べるのがスタンダード。
最近は家族揃っての外食すらしない家が多いらしいのです。

ジャスティンの母のような人は決して珍しくなく、これこそがアメリカを
超肥満大国にしている大きな土壌というわけなのですが、とにかく
気の毒なのは人より太りやすい体質に生まれてしまった彼女の息子です。

肥満に悩み続け、思い余ったジャスティンは、ある日自分で番組に応募しました。
突出した肥満であれば、採用されやすいし、もしそうなれば、
手術代を
テレビ局に出してもらえる可能性があるからです。

アメリカの医療費はそれこそ目が飛び出るほど高いのが普通です。
病院の方は、患者が医療費を払えることがわかるまで決して治療しません。

わたしも昔、公園で遊んでいて腕を骨折した息子をERに連れて行った時には、

「帰国してから保険会社に請求するから今クレジットカードで払う」

となんども言っているのに、いつまでもPCをパコパコやるだけで、
痛みで呻いている息子をいつまでも診察室に通してくれず困り果てたものです。

ましてや肥満解消のための手術など、よほど経済的に余裕がある人でないと
とても手が出ないわけです。

ジャスティンは肥満解消の外科手術をしてくれる医者に
意見を聞きますが、こういう場合、全ての番組がそうであるように、
これだけ太った人にいきなりメスを入れることを医者は絶対にしません。

問題は彼の心臓です。
肥大しきった心臓は手術に耐えられないだろうというのです。

そのほかにも、睡眠時無呼吸症候群、糖尿病、高血圧など
10代始めにして王道の成人病のデパートである彼は、
手術前に自力で痩せることを約束させられます。

こちらは彼のお姉さん。
母親も姉も世間一般でいうとかなりの肥満ですが、それでも
弟ほど切羽詰まった状態ではないので、おそらく自分のことは
「ぽっちゃり」くらいの感覚でいると思われます。

医者に、「手術までに食事を改善して体重を減らせ」
と言われたので、姉はかなりやる気になっているわけですが、でもねー。

家族が一丸となって心を入れ替え、食事を見直したりしない限りは、
このクェストをクリアすることはまず無理だと思うんですよね。

とにかく、一番問題なのはこのカーチャンなんだよ。

自分が料理しないので、ジャンクフードを三度三度買い与え、
むしろそれをたくさん与えることが「愛情」だと思っている節があります。

息子が医師のカウンセリングを受けて、手術のために
悲壮な決意をしているのに、カーチャンはなんのてらいもなく
今までと全く変わらないジャンクフードを食べさせようとして、
息子に静かにブチ切れられるのでした。

息子さん、お母さんに怒りを吐き出してしまいました。

17歳の少年には食事を自分でなんとかするという術がありません。
頼りにできるのは母親だけなのに、その母親がここまで愚かだと・・・。

「わかってるのよ。でもどうしていいかわからないの!」

愚かな母親は息子の反撃を受けて泣き出します。
その向こうには彼女が買ってきた食べ物の山が(笑)

このかわいそうな少年と母親がどうなるのか、少年は手術を受けられるのか、
大変興味のあるところでしたが、ちょうどここで出かける時間になってしまい、
結局結論は見逃してしまいました。

今、その結果を検索するために

「ジャスティン テキサス アマリロ ファット」

でググったところ、大変嬉しいことに、彼はこの後体重を正しい生活によって
300ポンド(136キロ)減らし、(それでも特大から大になった程度ですが)
その後教会で歌の仕事に就くことになったということを知りました。

痩せておしゃれになり、イヤリングを付けた最新のジャスティンくん。
なんか肌も綺麗になりましたよね。
テキサスA&M大学(優秀!)への入学も果たし、歌手になる夢のために勉強もしています。


さて、次に、今回の本題となる番組を紹介しましょう。

「ジャスティン・ケース」(誰が上手いこと言えと)はこの番組、

「My 600lbs Life」

のティーンエージャー編です。
番組は、「毎年アメリカでは何百人もの肥満患者が
減量のための手術を受けている」という字幕で始まります。

タイトルロールにはこれまでの出演者の姿が映し出されます。
この男性の脚はリンパ浮腫によってとんでもない「もの」になってしまっています。

しかし、「彼らのうち長期的に手術が成功し健康体になって
痩せることができるのは5パーセント以下なのです」ひえええ。

下のセリフは、娘に押しつぶされた母と押しつぶした娘の悲しい会話です。

とにかく、100人のうち成功するのが数人しかいないとわかっていても、
現状を打開するには何かをするしかない、とすがる思いで
手術を受ける人が後を絶たないというのです。

ジャスティンが減量に成功したのは稀なケースということですが、
これは彼が若く、周りに彼を導こうとする人たちがいて
道を間違えなかったということなのでしょう。

「もうこんなのいや!死にたい」「大丈夫よ!あなたは大丈夫」

カメラが回っていても、出演者は感情をあらわにする場面が多く、
大抵皆絶望して泣いたりするわけですが、こういうのを見ると

「ここまでなる前になんとかすることはできなかったのだろうか」

と答えはわかっているのについ問わずにいられません。

「このシリーズは一年の間600パウンドの人生をもつそれぞれが
彼らの人生を取り戻すべくトライする姿を探求したものである」

はい。

アメリカでテレビを見るときには必ずキャプション付きでね。

今日ご紹介するのはなんと珍しい、29歳の双子の女性です。
ブランディとカンディ、それぞれ266キロ、273キロという体重の持ち主。

二人の寝顔から番組は始まります。

なんとこの二人、姉妹二人で一部屋に住んでいるだけでなく、
巨大なベッドにシーツも敷かず一緒に寝ているのです。

実はずっと寝ていたいくらい起きることそのものが面倒ですが、
それでも朝はやってくるので起きなくてはなりません。
散々苦労して起きて立ち上がり、シャワーを浴びるのです。

「全てのことがいちいち大変なの」

まだ彼女たちは自分自身で体を洗うことができるだけ
この番組の出演者の中ではましな方です。

「二人とも、もうただギブアップしたい時もあるの」

それでもシャワーを浴びなければ、巨大な肉襞の下は
たちまち汗疹で大変なことになってしまうのです。

この番組では太った人の体をごく一部をぼかして写してしまいますが、
あまりにも規格外れに脂肪そのものは全く隠す必要はないと考えているようです。

一日のルーチンがいちいち大変なのに、巨大な身体の二人の姉妹は
かろうじて身を寄せ合って狭いスペースで生きています。

毎日の繰り返しが苦痛では生きていくのもさぞ辛いことでしょう。

胃のある付近を洗うのが一番大変だと言っています。
手が届かないんですね。

それをいうなら膝から下は洗うことなど完璧に不可能なのではないか?
と思いますが、一体どうしているのでしょうか。

と思ったら次に答えがありました。
手の届かないところは片割れにケアしてもらうのです。
体を拭くのもお互いを必要とします。

二人の顔には笑いは一切なく、ただただ苦痛に満ちた作業を無表情で行うだけ。

映像を流しながら彼女ら自身が語るナレーターは切実です。

「本当に自分の身体が嫌い。腕にも問題があるの」

Burden というのは重い荷、積荷などのことをいいます。
それだけ食べたんだから当たり前だろ、とついいいたくなりますが。

それにしてもこの身体・・・どこがどうなっているのか。

この低いベッドに乗るのにも踏み台が必要なくらい足が上がりません。
シャワーが済むと二人は互いの体にパウダーを塗り合います。

この番組をいくつか見て知ったどうでもいい知識ですが、太った人は
これをしないと
股擦れの症状が身体中にできてしまうのです。

こんな生活をしている二人はどんな幼年時代を送ってきたのでしょうか。
彼女たちに少しでも明るい明日はやってくるのでしょうか。

 

続く。




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3 Comments

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ありがとうございます (Unknown)
2019-05-04 19:05:08
晩御飯は食べなくてもいい感じです(笑)
Unknown (tekkaojous)
2019-05-04 22:16:10
いやあああああ~~~~~~~~~っ!!!( ̄□||||!!
デ、デ、デブがドデブが、超デブが、メガデブが、ギガデブが、こんなに……あああもうっ嫌っっ!醜いいい!!ハアハア(TT)私アメリカに行ってこんなデブの群れを見たら、乱射事件起こしそうでやだ。
しかし中尉、ネタのためとはいえ、よくこの画像を見続けていられましたね………怖いもの見たさというやつ?(寒)私は耐えられません。何が世の中で不快と言ってタバコとゴキブリとデブとあの国。地上から抹殺してや……あ、不穏当表現は止めときますが、あーデブをヘイトして何か不都合ありますか。いや15号ぐらいまでならまだ目をつむりますよ。こんな「化け物」になる前に、何で途中でやばいここらでどうにかと思わないのですかー!?「料理をしない」=栄養学の基本に無知、はい私の周囲の肥満体も、だいたい当てはまります。近年はまっている外国人向けゲストハウスには大抵なかなか使えるキッチンがあり、地元の朝市やローカルスーパーで地方の食材を料理して地酒やワインと一緒に楽しむのが好きですが、朝得意なオムレツを焼いていたら(中はトロトロ)アメリカ人のマダムに「焼き方教えて!」と自分の卵パックを押し付けられたことがあります。いやカップルや家族連れを見ていても、料理の手つきや段取りで、いかに普段ろくにしてないかすぐ分かる。で、フライパンもすぐ焦がすんですよ。冷たいうちに冷たい肉載せりゃ生焼けになるに決まってんだろー。そしてキッチンを汚しまくって出来上がった、得体のしれない料理らしきもの………。「どうしたらいいの」って、せめてスーパーでカットサラダに寒天かサラダこんにゃく(最近アメリカでも買える)買ってきて混ぜて与えるとかドラッグストアに行けば置き換えダイエット用のスープやスムージーぐらいあるでしょとか普通思い付かないんかい。
みなさま (エリス中尉)
2019-05-05 09:42:16
すみません。鉄火お嬢さんが一番嫌いなものをこれでもかと満載してしまいました。
おっしゃるようにそういう人はアメリカに行かないほうがいいです。
たとえばモールでもレストランでも、どこかに立って周りを見回した時、
日本でいう超肥満の人が目に入らないということはあまりない世界ですので。

本当にアメリカ人は料理しないんですよね。
マーサスチュアートがなんであそこまでもてはやされたのか全くわからない(笑)
日本でも一人暮らしの人が料理しない、というのはわからないでもないですが、
あちらでは家庭のある主婦もしないというのが本当に不思議です。
パーティを開くという文化で、わたしも何度か自宅でのパーティに呼ばれましたが、
皆それなりに料理を頑張っている印象があったので、今回の
日系アメリカ人の友人に聞いた話は本当にショックでした。

初回はお見苦しいショッキングな画像ばかりですが、続編はそれなりに
彼女らの問題は解決していくので、どうぞお楽しみに・・・・。

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