ORGANIC STONE

私達は地球を構成する生命を持った石に過ぎないのですから。

一日で救世主になる方法:ライフ・オブ・ブライアン(1979)

2007-03-10 22:21:51 | 映画:コメディ
Monty Python's Life Of Brian(1979)

テリー・ジョーンズ監督、モンティ・パイソンのフルメンバーによる「キリストに間違えられた男」ブライアンの悲劇を描くコメディ。かの有名な「ホーリー・グレイル」で「アーサー王伝説」をはちゃめちゃに笑いのめしたパイソンは、この作品ではキリストの時代に生きた一人の男の一生をコメディ化します。AD.33、エルサレムはローマ人に占領されていました。有名なあの人You Know Who(キリストのことね)の隣の納屋で私生児として生まれたブライアン(グラハム・チャップマン)は、33歳になった時、アンチ・ローマのグループに加わります。しかし偶然行った演説により、彼は人々に救世主だと思われ、彼の人生はとんでもない方向に・・・

←メンバー勢揃い。紹介なしでいいでしょ~。

キリストの一生をベースにしたコメディですから、知識があったほうがもちろん面白いのですが、一般常識程度で十分面白いでしょう。公開当時はやり過ぎだ、なんて非難されたそうですが、別にキリスト自体が映画の中でコメディになっている訳ではない(主役はブライアン)ので、「キリストを連想させる人物が出てくる」から、の批判。やるならとことんやってこそコメディ、この映画のテーマはキリストではなく、ひょっとした偶然から救世主に祭り上げられた男の悲劇。一旦祭り上げられてしまうと自分の力ではどうにもならない大衆心理の恐ろしさ。噂が噂を呼び、望んでも居ないのに救世主とあがめられ、いくら自分は救世主ではないと言っても、人々は彼の一挙一動を都合がいい様に解釈していきます。そして結局は処刑されてしまうところで映画は終わるのです。あ~あ。

←ブライアン(グラハム・チャップマン)。

主役グラハムはパイソンのメンバーの中でも、どことなく暗い影がある人でした。彼はこの10年後病死しますが、悲劇のブライアンには適役でした。あとはしゃべくり芸のエリック・アイドルくらいでしょうか、この役がやれそうなのは。パイソンの映画では各メンバーが多数の役をこなしますが(予算の関係か?!)、この映画でも一人5役くらい。特にお気に入りはブライアンのお母さんテリー・ジョーンズ、いつものようにきんきん声のおばさん。せこいおばさん役がこんなに似合う男もいないですよね~。この映画でも脱ぎません。えっ?期待してるのかって?まさか・・・(グラハム・チャップマンの全裸は見られます。お好きな方はどうぞ)

好きなシーンは、ブライアンが広場の壁に「ローマ人は帰れ」とラテン語で落書きするシーン。夜中にペンキ(爆)で落書きしている(もちろん命がけです)ブライアンを見つけたローマ軍の将校ジョン・クリースはブライアンを捕まえるとねちねちとラテン語の文法の間違いを指摘して、正します。「ローマ人?ローマ人って1人か?お前馬鹿か?複数形だろう、え?ローマ人の複数形は何だ?言ってみろ!」と延々と・・・高慢で厳しい(ほとんどサディスティック)教授役がはまり役のクリースの演技の見所ですわ。そして「罰として壁いっぱいに正しい文章を書くこと!」朝になったら広場の壁いっぱいに「ローマ人は帰れ」なんて書かれていたりして。その他、付け髭売りのエリック・アイドルのしゃべくり芸も冴えてます。

ブリテッシュ・コメディの黄金時代を築いたモンティ・パイソンの、絶頂期の作品の一つであり、ホーリー・グレイルと並んで私のお気に入りパイソン映画です。パイソンがお好きなら間違いなく必見(というか絶対見ているはずですが)。コメディとしては、この妙な「パイソン風」ギャグが理解できれば(つまり肌に合えば)面白いのかな・・実は私もかつて彼らの笑いのつぼが全然面白いと思わなかったので、要するに馴れです(笑)。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
モンティ・パイソン~ (髭ダルマLOVE)
2007-03-10 23:27:39

>好きなシーンは、ブライアンが広場の壁に「ローマ人は帰れ」とラテン語で落書きするシーン。
私も好きです。

>コメディとしては、この妙な「パイソン風」ギャグが理解できれば(つまり肌に合えば)面白いのかな・・実は私もかつて彼らの笑いのつぼが全然面白いと思わなかったので、要するに馴れです(笑)。

わかります。私もはじめは進んでは観ませんでしたので。笑いは特に「文化」を反映してますから。最近は結構いろいろ観るようになりましたが、かつてはコメディに手を出すときはかなり慎重でしたから。

基本的にいい大人がバカなことを力いっぱいやる姿は大好きです。しょうもなくてもそのしょーもないことを一生懸命やってる行為自体がおかしいのです。


面白いと思ったらもうはまってるわけで。 (pointdpo)
2007-03-11 20:52:06
髭ダルマLOVEさまこんばんは!

あのラテン語講習、爆笑ですよね!何でもイギリスでは義務教育でラテン語を習うとか(高校だったかも・・・?)で、多分彼らにはもっともっとおかしいシーンなんでしょうね。クリースは「クロックワイズ」という映画で、厳しい校長先生を演じていましたが、「はまり役だな~」って思ったのを覚えています。

>笑いは特に「文化」を反映してますから。
モンティパイソンを面白いと思うようになったら、一種人間失格ですかね?!(爆)               

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