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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

姨捨伝説の晒菜升麻が咲く冠着山へ。ゴイシシジミに会いに再び聖山へ。それぞれの素晴らしい展望も特筆(妻女山里山通信)

2020-09-08 | アウトドア・ネイチャーフォト
 週末は姨捨伝説の冠着山(姨捨山)へ。標高は1252.2m。サラシナショウマが咲き始めていましたが、昆虫は思いの外少なく、次いで標高1447.2mの聖山へ再び向かいました。ゴイシシジミと再開するためでしたが、前日午後の雷雨のためかあまり見られませんでした。それでも今回も新しい発見や出会いもありました。

 拙書でも3コース紹介の冠着山は、他にも色々な登山コースがありますが、今回はもっとも楽ちんな鳥居平からのルート。30分で登れます。今回も小学生を連れたお父さんに出会いました。その山頂直下の北アルプス展望所。残念ながら雲の中でしたが、下りでは麻績から来た若い夫婦と邂逅。奥様は欧米系の方で、お父さんは10ヶ月の女の子をおんぶしていましたが、熟睡していました。笑顔を見たかったな。聖山や京ヶ倉の話もしました。

 山頂の北側直下には、サラシナショウマ(晒菜升麻)の群生地があり咲き始めていました。まだ蕾のものも多く、満開になったらそれは見事です。初秋の風に揺れる花穂(かすい)は一見の価値ありです。晒菜と書くように若葉は山菜です。

(左)サラシナショウマの花穂。(右)そのアップ。小さなアリがたくさん吸蜜に来ています。

 その群落の彼方に見える風景。スイッチバックで有名な姨捨駅は、姨捨サービスエリアの向こうの下にあります。歌川広重の浮世絵や松尾芭蕉や小林一茶の俳句で有名な棚田は、稲が色づき始め頭を垂れていました。
姥捨山スライドショー。(妻女山里山通信):佐良志奈神社コース

 右へ目を向けると、私のホームフィールドの斎場山(旧妻女山)。この山を詳しく載せているのは拙書だけだと思います。斎場山の名前の由来や歴史、妻女山についても詳しく記しています。自分の棲家をこんな風に俯瞰するのも、暮らしを客観的に観られていいものです。カタクリとセリバオウレンで有名な髻山も拙書に掲載。当ブログでも紹介しています。

(左)目の前でホバリングしていたハナアブを撮影。ヨコジマオオヒラタアブっぽいのですが、どうでしょう。(右)ゲンノショウコ(現証拠)フウロソウ科フウロソウ属。優れた健胃整腸剤として民間薬として用いられてきました。

(左)ガマズミかなと思いましたが、実がつく枝まで赤い。ガマズミはこうなりません。ということでこれはオオカメノキ(ムシカリ)ですね。完熟すると黒くなります。(右)ヤマボウシ(山法師・山帽子)の実がひとつ落ちていました。熊やオオスズメバチの好物です。熟れた実は甘くジャムになります。

(左)キツリフネ(黄釣船)。妻女山にも群生地があります。(右)幅が1センチあるかないかの小花。記憶の底にあるのですが思い出せません。イカリソウ属に見えますがこんな種はありません。なんでしょう。大発見の新種だったりして。

 聖湖に戻って聖山へ。冠着山同様に歴史の山です。山頂から南の眺め。旧麻績村と筑北村が俯瞰できます。麻績と書くように古くは大麻の産地で、朝廷にも献上していました。左は修那羅峠から塩田平へ続く谷。拙書の表紙の子檀嶺岳が見えます。

 ゴイシシジミとの再開。しかし、前日の激しい雷雨のためか、笹の葉の裏にアブラムシがいません。

 アブラムシを探して笹の葉の裏を必死に探す一頭がいましたが、いません。疲れて葉の上で休憩中。

 こちらは、わずかにいたアブラムシを見つけて分泌液を吸うラッキーな一頭。幼虫はアブラムシを食べて成長します。

 聖山の素晴らしいところは、長野盆地と松本盆地の両方が見えること。見えているのは安曇野辺りです。長野盆地の景色は、2つ前の記事を御覧ください。

 吸蜜中のミドリヒョウモン。蜜が少なく吸蜜時間が極端に短いので、撮影は困難を極めました。

(左)聖山パノラマホテル上の、旧スキー場のリフト降り場からの山頂。ここから20〜30分で山頂です。(右)シシウド。聖山のシシウドは、場所によっては3m以上になります。

 聖湖から403号を下る途中。アラレちゃんコーナーの上から望む冠着山。左の尾根は、拙書でも紹介の佐良志奈神社コース。3時間40分と長いコースですが、それだけの価値はあります。車を2台用意して、坊城平にも車を置くと下りが楽になります。

 この夏最後の信州丸茄子のおやき。粉は伊賀築オレゴン。信州麹味噌は自家製。そこへ5年ものの焼き青唐辛子の醤油麹漬けを和えたピリ辛。市販品の様に砂糖やふくらし粉は入れません。自然の旨味を活かします。また、市販のものは小さく薄くて丸茄子の味が足りません。伝統野菜の丸茄子は水に沈むほど緻密で味が濃く美味でした。残念ながらそんな丸茄子はもう売られていません。苗も手に入りません。ところどころ茄子の皮が見えているのは、私が下手だから。名人だった祖母が見たら笑うでしょう。
信州丸ナスのおやき:オリジナルレシピ

 『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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