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【没後30年】尾崎豊デビューライブ / 新宿ルイード

2022年03月15日 | 尾崎豊

 

 尾崎豊デビューライブ



 1984年3月15日。尾崎豊18歳の夜。

 卒業を間近に控えた1月末に自主退学した青山学院高等部の卒業式の日に、尾崎豊のデビューライブが新宿ルイードで開催されました。

 没後30年のライブデビュー日ということで、MCをまとめてみました――。

 

 

 強く生きていけるか



【ハイスクールRock'n'Roll】


        



 ついこの間、僕は学校を辞めました。

 やっぱり、学校を辞めるってことは学生だった僕にしてみれば、死ぬか生きるかってくらいのホントに大変なことだったんで。

 考えてみれば、学校なんてそんな大したものじゃないのかもしれない。

 僕の行ってた学校には礼拝っていうものがあって。これが結構いい話をして。悪人も必ず最後には救われる、そんな話を僕は最初は本気で信じて一生懸命お祈りしてました。

 だけど、学校を辞める間際になって、僕はそんな礼拝を聞きながら、この新宿のイカレた連中のことや、ボロ着てる乞食のことや…

 別に生まれたくて貧しく生まれてきたわけでもないのに、金持ちと貧乏の差っていうのが、生まれ持った運命の中にしっかりあって。

 何かそんなことを考えているうちに、すごく祈ってることが陳腐に思えてきて。

 一番俺に何が必要かって言ったら、やっぱり「この街でどうやって強く生きていけるか」ってことだと思ったんです。

 この街の熱いハートと熱いビートが、いつも僕の胸には聞こえてきます。







 自由になりたいだけなんだ



【十七歳の地図】


       



 俺はただ、自由になりてぇだけなんだ!

 俺はもう、偽善的な礼拝なんか絶対受けやしねぇぜ!

 自由じゃなけりゃ意味がねぇんだ!
 おまえらホントに自由か?

 腐った街で埋もれてくなよ…

 俺達が何とかしなけりゃよぉ
 何にもなんねぇんだ…






 自分の思った正しい道へ



【15の夜】


       



 俺は、15の時に家出をして。

 たった一夜のことだったんだけど、中学の時に「頭の毛を切ってこい」って言われて。俺は、それがものすごく嫌で。10人の友達と家出しました。

 バイクを盗んだり、冬で寒かったからジーパン屋のジーパンとか着るものを山ほど盗んでみんなでわけたりして、訳わかんないことやってた。

 俺は、それが良いことだなんて今は決して思ってない。

 最後に辿り着いたのが隣町の車のスクラップ置き場で。俺たちはそこで寒さを凌ぐために、そのスクラップの車の中で眠ることにしたんだ。

 ちょうど明け方の頃だった。

 1時間か2時間、みんなでそこで横になっていて。結局、俺たちのことを見回りに来てた先生に見つかって、みんな連れ戻されてしまったんだけれど。

 俺はあの時、10人の友達があの車の中でどんな夢を見ていたのか知らないけど。

 でも、「ああやって無理やり髪の毛を切られるのは間違ってる」って思って、それを跳ね除けて正しい道へ、自分の思った正しい道へ進もうとしたっていうことは、僕は大切なことなんじゃないかと今でも思ってるし。

 そういったあいつらの気持ちを今でも、あいつらに、また僕自身にこれからもずっと、そういう気持ちは大切にしていかなくちゃいけないと思っています。






 いろんな生き方があっていい



【シェリー】






 僕が本当に心から僕の同世代の人間に伝えたいのは、「いろんな生き方があっていい」ということなんだ。

 周りの人間は、ホントにいろんなことを言うかもしれない。また俺の話になるけど、俺が高校を辞めたってことで、親はずいぶん四苦八苦して。
 
 雑誌とかに載ったりして「まぁ、お宅のお子さん高校辞めちゃったの?」なんて言われると、「いえいえ、そんなことないんです」なんてごまかしたりして。
 
 なんか、親って、大人って、そうやって臭いものにすぐ蓋をかぶせて物事をわかったような気になろうとしてるけど、本当はそうじゃないと思うんだ。
 
 もっと大切なことってあると思うんだ。
 
 それを俺たち若い連中が、これから作り上げていかなくちゃ、俺たち同じような大人になってしまうんじゃないかと思うんだ。
 
 今の俺達に「反戦の歌を歌え」とか「革命を起こせ」とか、そんなどでかいことを言っても無理かもしれないけれど。
 
 些細なことを…些細なことをいい加減にして過ごしていかないで、もっと真っ直ぐな目を向けてほしいと思います――。




    


 【セットリスト】

   1. 街の風景 
   2. はじまりさえ歌えない 
   3. Bow! 
   4. 傷つけた人々へ 
   5. 僕が僕であるために
   6. I LOVE YOU 
   7. OH MY LITTLE GIRL
   8. ハイスクールRock'n'Roll
   9. 十七歳の地図 
   10. 愛の消えた街 
   11. 15の夜
 
 <アンコール1> 
   12. シェリー 

  <アンコール2>
   13. ダンスホール 




 編集後記



 尾崎豊が、1984年3月15日にデビューライブを行った新宿ルイード
 
 ライブ当日、キャパ300に対して倍近い観客が押し寄せ、入りきれなかったファンのために急遽、外にモニターが設置されました。

 若干18歳で後世に歌い継がれる数々の名曲を作り、デビューライブで鬼気迫るパフォーマンスを披露し、伝えたいメッセージを真剣に語る姿はまさに圧巻。

 自分の高校卒業時に同じことが出来るかと考えると、彼が不世出の卓越した存在だったことを改めて再認識します。

 尾崎は高校に入学する前に、高校卒業後に大学に進学し、将来は学校の先生になるという目標も立てています。

 退学した日の夜に、友人の家で開催されたパーティで、ギターの弾き語りの最中に突然泣き崩れて、歌えなくなってしまった尾崎。

 学校を退学して自由の身となったのと裏腹に、自分の夢の一つが閉ざされてしまったことに対する無念さもあったように思います。

 なお、新宿ルイードは振動・騒音問題で1987年に閉店し、現在は新宿の別の場所で新宿ルイードK4として営業中。
  
 2016年2月21日には、尾崎豊の一人息子の尾崎裕哉が初のワンマンライブを行っています。
 


   



【出典】「OZAKI LOVERS ~尾崎豊と愛すべきものたち~」 
    「YUTAKA OZAKI 10th Anniversary of DEBUT 尾崎豊伝説のデビューLIVE」 
    「OZAKI18


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