く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ヒルザキツキミソウ(昼咲き月見草)> 白~淡紅色の可憐な花姿

2018年05月19日 | 花の四季

【北米原産の帰化植物、野生化し空地や道端にも】

 北米原産のアカバナ科マツヨイグサ属の多年草で、日本には観賞用として大正末期ごろに渡来したといわれる。暑さ寒さに強く、乾燥を好んで痩せ地でも育つ。繁殖力が旺盛なため今では野生化し荒地や空地、土手、道端などで見かけることも多い。夕方から翌朝にかけ開花するものが多いマツヨイグサ属の中では珍しく昼間に開く。

 花期は5~7月ごろで、白~淡紅色の優しげなカップ状の花を付ける。花径は4~5cmほど。基部は黄色を帯び、白く十字状に裂けた雌しべの柱頭がよく目立つ。その花姿が同じ北米原産で江戸時代末期に渡来した白花のツキミソウに似ていることから、ヒルザキツキミソウという和名が付いた。ツキミソウが一夜だけ咲く一日花なのに対し、このヒルザキは数日間咲き続けるのが特徴。白花が基本種で、淡紅色は変種といわれ、咲き始めから淡紅色のものをモモイロヒルザキツキミソウと呼んで区別することも。園芸品種には黄花もある。

 マツヨイグサ属には他に多年草のマツヨイグサ(待宵草)や2年草のオオマツヨイグサ(大待宵草)がある。前者は南米原産、後者は北米原産の帰化植物で、夏になると各地の河原や山野などで鮮やかな黄花を付ける。いつの間にかこれらの花が、野生化せずほとんど目にすることがなくなったツキミソウに代わってツキミソウと呼ばれることが多くなってきた。ある季語集もツキミソウの項で「誰がどこでどう間違えたのかわからないが……オオマツヨイグサのことをツキミソウというようになった」ととまどいを交えながら記す。

 大正浪漫を代表する詩人・画家、竹久夢二(1884~1934)の抒情詩に「宵待草」(1912年)がある。実らぬひと夏の恋心を詠んだこの詩に、作曲家・バイオリニストの多(おおの)忠亮(1895~1929)がメロディーを付けて大ヒットした。「♪待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるさなさ 今宵は月も出ぬそうな」。題名にも歌詞の中にも登場する「宵待草」はもちろん実在の植物ではない。夢二がやるせない心情を一夜だけ咲くはかない「待宵草」に事寄せて作詩したといわれる。自筆記録には「待宵草」と「宵待草」の両方があり、語感の美しさから最終的に「宵待草」にしたという説が有力になっているそうだ。


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