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『噂の刑事トミーとマツ』#09

2020-08-04 11:11:14 | 刑事ドラマ'70年代










 
☆第9話『トミマツのセメント詰め』

(1979.12.19.OA/脚本=今井昭二/監督=江崎実生)

謎の女子中学生=ユカ(三輪里香)がトミー(国広富之)とマツ(松崎しげる)に付きまといます。

自宅で殺人事件が起きたとユカが言うもんだから二人が駆けつけてみると、被害者は存在せず、床に残った血痕はトマトケチャップだったりするもんだから、刑事たちはユカの悪戯だと判断します。

ところが、その翌日にユカの養母が本当に遺体で発見されちゃう。血痕は確かに偽装だったけど、養父母が複数の男たちと言い争ってる現場をユカが見たのは事実で、養父も行方不明となると、これが何らかのトラブルによる殺人事件であることは明白。

となるとユカは唯一の目撃者であり、犯人に狙われる恐れがあるって事で、マツがボディーガードをやらされる羽目になります。

他の刑事たちはユカの記憶に基づくモンタージュ写真で捜査を進めてるのに「俺は子守りかよ!」とむくれるマツに、ユカは「私たち2人で犯人を見つけようよ」と提案。「マツみたいな凄腕と一緒なら狙われても安心だし!」なんておだてられ、単細胞なマツはすっかり彼女の手のひらで転がされます。

かくして単純短足デカ&じゃじゃ馬女子中学生の凸凹コンビによる捜査が始まり、寝食まで共にする内、二人は疑似父娘みたいな絆を育んでいくのでした。

ところが! モンタージュ写真の男は殺人事件とまったく無関係で、ちょっとしたトラブルによりユカを怒らせただけのチンピラだったことが判明。

その上、ユカは密かにトミーとマツをモデルにした推理小説を書いていた。その主人公=ユカ自身が犯人を捕まえる物語を具現化するために、わざとデタラメな証言をして他の刑事たちを遠ざけたのでした。

「バカヤロー! 生意気言うのは構わねえ、おませな事くっちゃべるのも構わねえ、だけどな、俺は嘘つきが大嫌いなんだよっ!!」

激怒したマツの短足ビンタを食らい、絶交を宣言されて、ユカは号泣します。

作家志望のユカは3年前に交通事故で実の両親を亡くし、寂しさを紛らわすために小説を書いて来た。決して悪気は無かったし、マツに対しては本当に父親みたいな感情を抱いてた。

「嬉しかったって言ってましたよ。あの時、本気で殴られて嬉しかったって。ありがとうって」

トミーからそう聞かされても、短足で意地っ張りなマツは「俺は捜査で忙しいんだよ!」と言って、施設に引き取られていくユカの見送りを拒否します。

ところがユカが何者かに拉致されたと聞いて、マツはトミーと2人で車をかっ飛ばします。

「急げ! あの子に万一のことがあったら、てめえの命があると思うな!」

「やっとその気になってくれましたね、先輩!」

殺されたユカの養父母は宝石強盗の一味であり、宝石を隠したコインロッカーの鍵を持っていた。それがユカのハンドバッグに隠されており、強盗仲間たちはそれを狙ってるのでした。

いち早く一味を見つけたトミマツは、カーチェイスの末に連中をセメント工場に追い詰めるんだけど、いつも通りあっけなく罠にはまり、あやうくユカもろともセメント詰めされそうになって、いつも通りにトミーが泣き言を言います。

「神様、なにとぞ我が身をお守り下さい!」

「神も仏もあるもんか! バカ! うすらトンカチ! オトコオンナ! トミコーッ!!」

その後の展開も、いつも通りですw かくして事件が解決し、トミマツと笑顔でお別れしたユカは、コツコツ書いてきた小説を完成させます。

『事件解決後、美少女・リカは、二人の刑事の必死のプロポーズを断った。なぜなら、才色兼備のリカは、岡山刑事を尻に敷くことが分かっているし、松本刑事の知性を遥かに上回っていたからである』

言うまでもなく、リカはユカ、岡山刑事はトミー(岡野)、松本刑事はマツ(松山)のことです。

いや~、いいですね! こういう話、大好きです。ただしヒロインを演じる女優さんに力量と魅力が無ければ台無しになるワケだけど、三輪里香さんはパーフェクトでした。素晴らしい!

里香さんは撮影当時、13歳か14歳。角川映画『野性の証明』のヒロイン=長井頼子役を薬師丸ひろ子さんと最終審査まで競った人で、それがきっかけで角川春樹事務所入りし、連ドラ版『野性の証明』で頼子を演じた女優さん。

その連ドラ版『野性の証明』で主人公に扮したのが、トミーとマツ直属の上司である御崎課長役の、林隆三さん。たぶん今回のゲスト出演はその縁あっての事で、二人が指切りする共演場面はもしかすると『野性~』のパロディかも知れません。

里香さんは同じ'79年に『新幹線公安官』#08、翌'80年に『Gメン'75』#248にゲスト出演、青春ドラマ『GO!GO!チアガール』にレギュラー出演されたものの、あまり目立った活躍が無いまま'84年あたりで引退されてます。

どう見ても当時の薬師丸さんや原田知世さんより演技は上手なんだけど、上手すぎて角川流アイドル商法に合わなかったのかも知れません。

売り方次第でもっとメジャーになれた筈なのかどうなのか……やっぱりスターになれる人は氷山の一角であり、実力だけがものを言う世界じゃない。そういう事なんでしょう。

だけど私は、今回のレビューでしっかり三輪里香さんを認識させて頂きました。テレビ版『野性の証明』や『GO!GO!チアガール』も機会があれば是非観てみたいです。
 


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1 コメント

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三輪里香さん出演回のトミマツは再放送の度に見てしまいます。 (カエル岩)
2023-07-14 05:56:13
三輪里香さんは他にも1979年に公開された大林宣彦監督の角川映画のデビュー作「金田一耕助の冒険」や、今井美樹さん主演のTBSドラマ「輝きたいの」(脚本:山田太一)とかにも出演されてましたね。
いい女優さんでした。

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