指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『平手造酒』

2016年04月19日 | 映画

池袋新文芸坐の橋本忍特集、ここは横浜から遠く、客層にも問題があるので、なるべく行きたくないのだが、貴重な作品なので湘南新宿ラインで行く。

                 

 

もちろん、「天保水滸伝」の平手造酒。 これが意外にも山村聰だが、非常に暗い人間になっていて、台詞が極めて少なくいつも不機嫌な顔をしている。

居酒屋の親父にも、「先生は笑い顔をお母さんのお腹に忘れてきたのですかね」と言われている。

月形龍之介の千葉習作道場一の剣道の腕だが、貧しい家の出なので、仕官の道もなく、次第に生活が荒れて、愛人で芸者の花井蘭子と共に、江戸を去る。

笹川繁蔵の用心棒になるが、酔うと荒れて大暴れし、ほとんどアルコール依存症である。

最後、飯岡助五郎との出入りの中で、倒れてしまう。

もちろん、彼は結核で、何度も重要なシーンで喀血する。

音楽が清瀬保二で、かなり重厚な響きである。

監督は、PCL時代に『樋口一葉』などの佳作のある並木鏡太郎で、テンポもよいが、短縮版の性だろうか。


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