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立派に恐竜を飛び越えた完成度!「映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険」

2007年03月12日 | 2.映画情報


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とても好評だった、ファン衝撃の前作「のび太の恐竜2006」から一年。ドラえもん映画初の女性監督を新たに迎え、脚本には人気小説家を起用するという大胆な制作進行で作られた今作「映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険~7人の魔法使い~」は、前作とは違った攻略法で原作を調理した、まさに「新魔界大冒険」。初めて「魔界」を観る人にも、原作・1984年の旧映画「魔界」を知っている人にも楽しめる、新鮮で驚きいっぱいの傑作でした。

<以下ネタバレ含む管理人の感想です。映画をこれから観る方は読まないでください。来年の映画についての情報も含みます。知りたくない方は注意!>

宇宙空間に浮かぶ宇宙探査機・ボイジャーは遠く離れた宇宙から地球に映像を送り続けていた。突然、軋み爆発してしまう探査機。暗いコントロールルームらしき部屋では満月博士が各国の学者達と中継モニター越しに対策を検討していた。宇宙探査機が最後に送って来た映像には、地球に迫る巨大なブラックホールが映し出されていたのだった。

冒頭、SF映画の様に始まるこの導入部分は全くの今作オリジナルのシーン。しかもこの物語の重要な設定になる、パラレルワールドである現実世界と魔法世界の二重構造を象徴する画期的なシーンになりました。導入部だけでは無く、全編を通して描かれる二つの世界のリンク構造。原作・旧作では描かれなかった「現実世界での満月牧師(博士)&美夜子」を描く事によって、この作品のSF的設定の世界観を改めて整理する事に成功しています。

今回の映画で脚本を担当したのは、小説家・真保裕一さん。映画化された「ホワイトアウト」や、多くの賞を受賞した「奪取」などで有名なミステリー作家ですが、今作の映画脚本では原作を一度分解し、新しい解釈と要素を足し、原作ストーリーの密度を高めるという高度な脚色がされていました。リメイクだからこそ難しい「原作を壊さない変更」にチャレンジし、見事成功している点が今回の作品の大きな成果でしょう。

前作「のび太の恐竜2006」でしっかり強調・確認されたメイン5人の友情を生かし、今作は本筋のストーリーとゲストキャラクター達の過去・内面を描く事に重点が置かれています。ストーリーは美夜子の家族の物語を描く事で説得力を増し、原作には無かった新たな感動を付け加えていました。原作・旧作ファンへのサプライズ改変(ネズミ?)を付け加えている辺りも、脚本の真保さんの遊びと挑戦が感じられて嬉しかったですね。この旧作ファンに改変部分を最初気付かせない為にネズミを持ってくるあたり、見事に騙されました。

また、映画ドラえもん初となる女性監督・寺本幸代さんの「女性だからこそ」の演出も光っていました。真保さんの脚本には無かったという「美夜子がしずかの髪を梳かすシーン」「しずかが美夜子の頭に花飾りを乗せるシーン」など、日常的な触れ合いのシーンを加える事によってキャラクターの人物造形に深みを与え、美夜子の心情をより丁寧に描ききっていました。他にもキャラクターの気持ちを丁寧に描写する技術が光っていましたね。こんなに安心して「人間ドラマ」が見れたアニメ作品って、実は久しぶりではないでしょうか?

そして、やはり全編に通されるのが現実世界と魔法世界のリンクの表現。両方の世界は別の世界の様で、実はしっかりと関係しているという設定が綿密に構築されているのが素晴らしいです。魔法世界での地球の危機の解決が、現実世界でも!という原作・旧作には無かったカタルシスのあるラストへの流れは、やはり今作最大の特徴でしょう。

もちろん今回も原作・旧作ファンへの隠しプレゼントも満載。冒頭の緊迫したシーンでなにげにバイバインで宇宙で広がり続ける「くりまんじゅう」を登場させたり、ライオン仮面やオシシ仮面のボトルキャップフィギュア、またもや魔美が登場したりとサービス満点。
かなり改変したストーリーでありながら、所々に原作漫画に忠実な台詞やシーンを残してあるあたりも原作ファンには「ニヤリ」なのでした。(「科学なんて迷信を信じてるの?」<ドラ・のびカメラ目線>や、「つけすぎなんだよ、少しおとせ。」「回避!!」などなど。)

前作でも魅せてくれた、リニューアル映画ドラえもんの特徴、パワフルに動き回る表現力豊かな作画も健在でした。リアルなアクション表現や、多彩な感情表現など、テレビ版アニメではなかなかみられない高密度な作画が美しい! 前作恐竜でみられた一部シーンの作画の乱れ等は全く無く、作画の安定感も完成度高いです。

主要声優陣の活躍も良かったですね。初期リニューアルドラえもんと違い、かなりキャラクターが固まった主要5人の声はもう全く大丈夫。映画2作目という事で、余裕すら感じました。あと、ゲストキャラの中ではメジューサ・久本雅美さんの名演が光りました。元舞台俳優の貫禄は当然です(彼女はバラエティーのイメージが強いですが舞台出身ですからね)。

エンドクレジット(スタッフロール)の後(途中で帰っては台無しです!)に展開されるのは、原作・旧作通りの洒落たラスト。最後までしずちゃんは受難続きでしたが(笑)。来年の映画についてのドラえもんコメントについて、多くのファンの間に次回作の予測が流れておりますが、公開日に発売になった「映画ドラえ本」の楠葉総監督のインタビュー記事によると、どうやら来年はのび太の恐竜2006の渡辺歩監督が再登板し、過去の作品のリメイクではなく、藤子先生の原作を元にしたオリジナル作品になるとの事。いよいよリニューアルドラ初めてのオリジナル新作が生まれるのか?楽しみに待ちましょう。

●情報元リンク
「映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険~7人の魔法使い~」公式サイト
http://dora-magic.com/

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