横浜の建築設計事務所 コア建築設計工房のブログ

建築のこと、 横浜のこと、保育や福祉施設のこと、介護のことを表現します。

秋田研修旅行~あきたチャイルド園~

2017年12月19日 | 建築旅行・建築巡り

おはようございます。
神奈川県横浜市の建築設計事務所、株式会社コア建築設計工房の井下です。
2017年の秋田研修旅行、第4弾、『あきたチャイルド園』について書きます。

先日ご紹介しました『港北チャイルド園』と同じ法人さんのこども園です。
社会福祉法人風の遊育舎、理事長澤口勇人様に見学の申し出を快くお引き受けいただき、
この度内覧させていただくことになりました。
設計は、
有限会社 サムコンセプトデザイン一級建築士事務所 泉 俊哉氏です。
プランテックさんで副所長を務められてから独立された方です。
理事長と泉さんはかねてからのお知り合いだったそうですが、
この園を建てるにあたり、日本全国40園もの園を見学されたそうです。


S造平屋の園舎は、中庭形式となっており、屋上全体が園庭になっています。
コンセプトは「外遊びを最大化」させること、
中庭と屋上園庭を合わせて、敷地面積とほぼ同面積の園庭を確保しています。
中庭は、森を再現、
屋上は、原っぱを再現しています。


長年実施されてきた「森の保育」を中庭に再現
ごつごつした石がありますが、ここでけがをしたこどもは今まで一人もいないとのこと。
過剰に過保護にせず、危険回避能力を養うためにもあえて角をとっていないそうです。


屋上から中庭を見下ろす
屋上と中庭の距離感を縮めるため、階高をおさえています。




ぐるっと一周できる屋上園庭
原っぱを再現し、雑草が自然と生えています。
起伏を付けてより自然に近づけています。



室内の保育室は年齢ごとの部屋に分けることなく、ワンルームでつながっており、
「異年齢保育」を実践されています。


パーテーションで緩やかに仕切ったり、
照明をつける、つけないで空間が分けられています。
5歳児さんはお昼寝が無いので明るくしていますが、
手前側の3,4歳児さんはその隣でも動じずにぐっすり寝ていました。


小さな家具で間仕切ったコーナー保育を実践されています。
自分が好きなところで寝て、本を読んでいます。

以前、「ふじようちえん」さんに見学に行った際、加藤園長がお話をされた
『雑踏の中で生きる力を育てる』というお話を思い出しました。
静かな無菌室のような部屋ではなく、雑踏のような場所でこそ、
たくましさ、集中力が養われるのだと。



床は天然のリノリウム。抗菌作用があります。
一部壁まで立ち上げています。
床吹き出し空調を採用しており、天井に空調機を仕込まない分、階高を抑えています。


きれいにディスプレイされたエントランス


コンセプトに基づき、純化された建物は、
とても潔くも子供たちへの愛情を感じる園舎でした。
港北チャイルド園と合わせて、約3時間、付きっ切りで
澤口理事長より、とても丁寧にご説明していただきました。
こちらから一方的に見学をさせていただいたのにもかかわらず、
まるでカフェのようなメニューでおもてなしまでいただいてしまいました。
この見学の経験を今後の園舎設計に活かしたいと思います。
この度は、本当にありがとうございました。
 


 

横浜の設計事務所 
【コア建築設計工房】 
http://www.arc-core.co.jp/

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 秋田研修旅行~秋田県立美術館~ | トップ | 鎌倉のテナントビルにて »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

建築旅行・建築巡り」カテゴリの最新記事