埼玉会館から歩いて2分。埼玉農大の学生たちが世話をしている(らしい)花時計の向こうに緑に包まれた埼玉県庁第一庁舎があります。
浦和駅から一番近い方だし、花時計の奥には車寄せもあるし。こちらが正面玄関かと思っていましたが実はそうでないことを後に知ります。
さらにこの全面を覆っている白い柱と梁だけがむき出しになった建築物も、この写真を撮っている時は「そういうちょっと変わったデザイン」と思っていました。
お隣、北浦和には黒川紀章の設計した近代美術館があって、わりとこんな感じのデザインだったので。埼玉はそういうの好きなのかなと。
実際はそうでなかったんですけど。
第一庁舎と、後から建てられた第二庁舎(奥)は3階部分で長い渡り廊下で繋がっています。どのくらい長いのか地図上で計ったら105mもありました。
第二庁舎は久米設計。1974年。外壁の外側に各フロア3枚のルーバーがついている。隈研吾さんのプロトタイプみたいな感じです。
第一庁舎はカタカナの「エ」の字の縦棒がもう1本多いような形をしていて中央部分にに中庭があります。
さっき玄関で見たむき出しの柱と梁がこちらにもあるのを見てようやくこれらが耐震補強工事の結果だったと理解しました。
壁面に張り付くようにX型のブレスやオイルダンパー式の制震装置の補強をよく見ますが、こちらは東西南北4方向の揺れに対応する3次的補強です。
すげー。かっこいい。ちょっとしたワンルームマンションくらいの大きさはあります。スペースにゆとりがないとできませんね。
そうか、さっき見てた玄関もこれと同じだったんだね。と気づきます。
連続した同じパーツなので角度によってはこんなアートっぺえ写真が撮れます。
設計施工したのは広島に本社のある<あい設計>。2010年の竣工。県庁業務を一切止めることなく耐震工事を終えたそうです。こちらに緑化前の写真。
中庭でもうひとつ面白かったのがこの壁面。これも耐震工事のひとつしして剥がれた外壁タイルを上からなんか塗って補修・補強しています。
それが継ぎはぎのパッチワークみたいになってこちらもなんとも言えないアート感を出しています。素敵。
ということで埼玉県庁舎、なかなか良かったです。たぶんこのわびさびに通じる良さはほとんど気づかれていないと思いますが。
県庁舎の耐震強度が足りない→ピカピカのガラス張りの高層ビルに建て替えちゃえ~!とならなかったところが埼玉県エライ。これであと20年はこのままですね。
この後別所沼公園に行くために西方向に向かって歩き始めてこちらが正しい正面玄関なんだと知りました。
正面玄関からは耐震補強はほとんど見えません。やはりあの素敵な構造物はなるべく正面から見えるようにはしたくなかったらしいです。かっこいいのにな。
最後に、埼玉県庁第一庁舎の全体像が分かるようにGoogleMap空撮を貼っておきます。
耐震補強なのか足場なのかなと思ってましたが、完成後の姿なんですね。
実際見てないのでなんとも言えませんが、いかがなもんでしょうか。
でもここに勤めている人からすれば不具合も多いだろうと想像します。