• 更新日 : 2023年12月22日

ニートとは?意味や定義、ひきこもりとの違いを解説!

ニートとは?意味や定義、ひきこもりとの違いを解説!

ニートとは、15〜34歳で仕事をしていないあるいは失業者として求職活動をしていない、家事・通学・職業訓練もしていない人のことです。本記事では、ニートの意味や語源、ニートと混同しやすい「フリーター」「ひきこもり」との違いなどを紹介します。ニートを採用する際の注意点も解説しますので、人事労務担当者の方は参考にしてください。

ニートとは?

イギリスが発祥と言われている「ニート」は「Not in Education, Employment or Training」の頭文字を取り、「NEET」と表現されています。ニートは、学生でもなく、働いているわけでもなく、仕事に就くための職業訓練も受けていない者を指します。厚生労働省はニートの年齢を15〜34歳としており、発祥地であるイギリスとは年齢層が異なっています(イギリスは13〜19歳)。

ひきこもりとの違い

ニートとひきこもりの違いは、社会に参加する姿勢が異なる点です。原則として、ひきこもりは家族以外と交流がほぼない状態で、「就労や就学などの自宅以外での生活の場が長期にわたって失われている状態」のことを指します。

引用:「ひきこもり」対応ガイドライン(最終版)の作成・通知について|厚生労働省

一方でニートは社会参加するものの、働く意思がない状態もしくは何らかの事情によって働くことができない人のことを指します。

ひきこもりの中には、生物学的な要因があり、社会的な適応に困難を感じたことが引き金となって「ひきこもり」となったケースもあります。他方、環境側(例えば最初に就職した企業)に強いストレスがあったために「ひきこもり」という状態に陥ったと考えられるケースもあります。すなわち、生物学的要因や、心理的要因、あるいは社会的要因などが複雑に絡み合ったことで、ひきこもりが発生すると考えられます。

フリーターとの違い

ニートとフリーターの違いは、就労しているか否かです。フリーターは、パートやアルバイトなどのいわゆる非正規雇用労働者としても区分されます。具体的には週に1日程度でも就労している状態であれば、ニートではなくフリーターとなります。一方で、ニートは就労しているわけではなく、そもそも就労を希望していない者を指します。

「フリーター」という用語は報道等でも頻繁に用いられていますが、厳密な定義は存在しません。総務省が実施する労働局調査では、若年層のパートやアルバイトおよびその希望者を便宜上フリーターと表しています。厳密な定義はないものの、正社員以外の雇用形態で従事する者が一般的にフリーターと呼ばれています。

日本におけるニートの現状

日本においては若年労働力人口が減少傾向にあるものの、2014年から2019年までのニート数は50万人と横ばいで推移しています。2020年には前年比13万人増の69万人に達したものの、2021年には約57万人まで減少しました。

これらの現状を踏まえて、厚生労働省は、ニートなどの職業的自立を支援するための継続的なサポート体制を構築しています。地方公共団体との協働によって、地域の若者支援機関から構成されるネットワークを構築・維持するとともに、その拠点となる地域若者サポートステーション(通称「サポステ」)を設置しました。2006年度からは「地域若者サポートステーション事業」を展開し、キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談、各種プログラムの実施などの多様な就労支援メニューを提供しています。

参考:
青少年雇用対策基本方針|厚生労働省告示第百十四号
令和3年度 就労支援員・就労準備支援事業 従事者養成研修|厚生労働省
令和4年版 厚生労働白書|厚生労働省

ニートを採用する上での注意点

人手不足感が強い現代において、採用における悩みは尽きません。特に欠員状態のままで稼働すると、ヒューマンエラーを誘発して顧客に損害が生じる可能性があります。以降でニートを採用するにあたっての注意点を見ていきましょう。

「ニートだから~」といった偏見をなくす

人道的にも、ニートだからといった偏見は持つべきではありません。環境側(例えば最初に就職した企業)に強いストレスがあったことが引き金となり、ニートになるケースもあります。ひきこもりにはならなかったものの、有能なスキルを持っていたにもかかわらずニートとなったといった事例も少なくありません。

もちろん企業にも採用の自由があることから、面接等を通じて採用か否かを決定すべきではあります。厚生労働省では、採用選考にあたって「応募者の基本的人権を尊重すること」「応募者の適性、能力に基づいた基準により行うこと」の2点を基本的な考え方とするよう呼び掛けています。

また、適性や能力とは関係のない内容を面接で尋ねる行為は、就職差別につながる恐れがあるとして警鐘を鳴らしています。具体的には次の項目です。

【本人に責任のない事項の把握】

  • 本籍・出生地に関すること
  • 家族に関すること(職業・健康・病歴・学歴・収入・資産など)
  • 住宅状況に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類など)
  • 生活環境・家庭環境などに関すること

【本来自由であるべき事項(思想や信条にかかわること)の把握】

  • 宗教に関すること
  • 支持政党に関すること
  • 人生観、生活信条などに関すること
  • 尊敬する人物に関すること
  • 思想に関すること
  • 労働組合(加入状況・活動歴など)、学生運動といった社会運動に関すること
  • 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

【採用選考の方法】

  • 身元調査などの実施
  • 本人の適性、能力に関係ない事項を含む応募書類の使用
  • 合理的・客観的に必要性が認められない、採用選考時における健康診断の実施

職場に慣れるまで適切なケアを行う

ニートに限らず、職場に慣れるまでには一定の時間を要します。ケースバイケースではあるものの、ニートであった場合は一層の配慮が必要となることも少なくありません。特に毎日決まった時間に出社するといった習慣があったとは言い難く、会社として導入している制度の範囲内(例えばフレックスタイム制)で制度活用を促す等の助力は必要でしょう。

また、仕事や仕事以外でも悩みを持っていることがうかがえる場合は、必要に応じて面談を実施すると本人のパフォーマンスを引き出すことにつながります。このようなきめ細かな配慮が契機となって「離職の少ない会社」へと変化するなど、副次的な効果も期待できるでしょう。

配置部署・関わる人への配慮を行う

配置部署の従業員は、採用者の教育指導や仕事のフォローを直接的かつ継続的に行うこととなります。もちろんその行為は一定の時間と労力を要しますので、採用前に上長から配置部署の従業員に対して、必要な配慮を行うことが望まれます。具体的には教育指導や仕事のフォローで長時間労働が続いてしまった場合には、交代で有給休暇の取得を促すことが挙げられます。

ニートは一定の配慮をすることで貴重な戦力となり得る

また、似て非なる概念として「ひきこもり」「フリーター」が挙げられますが、定義としては明確に異なります。ニートは一定の配慮(例えば面談)をすることで、人手不足に悩む企業にとって貴重な戦力となり得るでしょう。


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