自転車は便利な移動手段としてだけでなく、エクササイズとしても有効です。特に下半身への効果は絶大で、いくつもの筋肉を一気に鍛えられます。この記事では自転車を漕ぐことで鍛えられる筋肉や、その役割を紹介しています。自転車でのトレーニングやダイエットを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

自転車運動の流れ

自転車を漕ぐときの左右交互に踏み込む動作をペダリングと呼びます。
ペダルを上から下に向かって踏み込むときには、曲がった状態の股関節と膝関節を伸ばす動作を行います。逆に下から上に持ち上げるときには伸びた状態から曲げるという動作になり、踏み込むときには使わなかった筋肉も使います。
この一連の動きの中では、脚だけでなくお尻や腰の筋肉も大きな役割を果たしています。

太ももの筋肉

ここから、ペダリングで使われる筋肉をひとつずつ解説していきます。まずは太ももの筋肉です。
股関節や膝関節を曲げたり伸ばしたりする動きで使用するため、立つ、座るといった動作や、階段の上り下りなど、日常生活に大きく関係があります。この筋肉がつくと姿勢がよくなり、疲労や膝の痛みも軽減されるでしょう。大きい筋肉なので体全体の代謝にも影響があり、太りにくい体づくりにも効果的です。

大腿四頭筋(だいたいしとうきん)

太ももの前側にある筋肉で、外側広筋(がいそくこうきん)、内側広筋(ないそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)、大腿直筋(だいたいちょっきん)の4つからなり、人間の体の中でもっとも大きな筋肉です。主に膝を伸ばす動作に使われ、大腿直筋だけは股関節を曲げる働きも行います。

ハムストリングス

太ももの裏側の筋肉で大腿二頭筋(だいたいにとうきん)、半腱様筋(はんけんようきん)、半膜様筋(はんまくようきん)に分けられます。主に膝を曲げて引き上げたり、股関節を伸ばしたりするのに使われる筋肉です。
ペダリングの際、大腿四頭筋に力が偏りがちですが、長時間漕いでも疲れないようにするには、ハムストリングスを意識的に使わなければなりません。股関節を曲げた状態から伸ばす動きのときに太もも裏を触ってみて、筋肉が動いているか意識するとよいでしょう。または、サドルの後部に座りペダルを斜め下前方に蹴るようにすると、ハムストリングスを使いやすくなります。

体幹の筋肉

よろけにくくなる、姿勢がよくなる、疲労がたまりにくくなる、手足に力が行き渡りやすくなるなど、体幹を鍛えるメリットは多岐に及んでいます。自転車でも、腰回りの体幹の筋肉が鍛えられます。

腸腰筋(ちょうようきん)

上半身と下半身をつなぐ筋肉で、大腰筋(だいようきん)と腸骨筋(ちょうこつきん)に分けられます。太ももや膝を持ち上げたり、立っている姿勢を保ったりするのに必要な筋肉です。鍛えることで、体のバランスや姿勢がよくなるほか、下っ腹が出るのを防ぎヒップアップにもつながるなど、ボディメイク効果も。
ペダリングで、足を一番上にまで持ち上げる最後の4分の1回転で使われます。

ふくらはぎの筋肉

ふくらはぎという部位はヒラメ筋と腓腹筋(ひふくきん)という2つに分けられ、つま先を伸ばすような動きに関係します。

ヒラメ筋

ヒラメ筋は膝の下からかかとまでの筋肉です。ペダリングで足を踏み下ろす動作で使われます。次に説明する腓腹筋とともに鍛えることで、ポンプ作用で脚の血液を心臓に送り返す手助けをします。結果、疲労しにくい体を作ることができます。

腓腹筋(ひふくきん)

腓腹筋は、大腿骨からかかとまでの筋肉です。ヒラメ筋と同じように足を踏み下ろす動作と、一部足を持ち上げる動作にも使われます。
サドルの高さを高くしすぎると腓腹筋が疲労しやすくなり、足がつる原因になることがあります。前述の通り、ふくらはぎの筋肉は足首を伸ばすときに使用するので、ペダリングの際、足の裏の土踏まずに近い位置で踏み込むようにすると負担が軽減されます。一方でペダルに効率よく力を伝えるには足の親指の付け根あたり(拇指球と呼ばれる部分)で漕ぐことも推奨されています。まだ、スポーツバイクに乗り始めた方は少しサドルを下げて土踏まずに近い位置で、少し慣れてきたらサドルを上げて拇指球付近でペダリングをするなど、バランスを見てペダルを踏む位置を意識するとよいでしょう。

お尻の筋肉

お尻には大臀筋(だいでんきん)、中臀筋(ちゅうでんきん)、小臀筋(しょうでんきん)があります。大腿四頭筋の次に大きいため、鍛えることで代謝もよくなり、ダイエットにもつながるでしょう。

大臀筋(だいでんきん)

走る、跳ぶなど股関節に関わる動き全般に関係する筋肉で、ペダルを踏み下ろす動作で使われます。なんとなく乗っているだけでは、なかなか鍛えられない筋肉です。
大臀筋を使うには、サドルの後方に座って前傾姿勢をとる、ペダルを前に押し出すように漕ぐ意識をしてください。上手く使えれば、疲労が分散できるようになり、またお尻の引き締めにもつながります。

自転車で筋肉をつけて健康になろう

ペダリング運動は、階段の1段飛ばしに相当する直径約33~34cmの円運動になり、脚の筋肉を鍛えるのに非常に効果的であることがお分かりいただけたと思います。
運動量が豊富なだけではありません。使用する筋肉の種類は多岐にわたり、他の運動ではなかなか鍛えられないものもあります。ダイエットにも効果的で太りにくい体づくりにも役立ちます。
ペダリング中はどうしても踏み込むときに注意が向きがちですが、脚を引き上げる動作も意識してバランスよく筋肉を鍛えましょう。

マインドスイッチでは、自転車や自転車通勤による健康的で豊かなくらしを実現するための情報をこれからも皆様にお届けしてまいります。