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女優・ともさかりえさん「良い母親でいることを放棄した」息子との関係性や3度目の結婚について語る

昨年の12月に3度目となる結婚を発表された、女優・ともさかりえさん。40代に入り、女優として、女性としてますます美しさに磨きがかかったともさかさんに、ご自身のトライ&エラーでたどり着いた、生き方・考え方や子育てのことについてたっぷりとお話を伺いました。迷い悩み、もがいたからこそ、今の凛とした魅力があるのだと納得できるはず。曲がり角やつまずきの分だけ、人は豊かに輝けるのだと思います。

《Profile》
1979年、10月12日、東京都出身。1992年にCMでデビュー後、女優・歌手として活躍。4月スタートのドラマ『それって、パクリじゃないですか?』(毎週水曜22時〜・日テレ系)に出演中。

自分で自分を満たす自愛精神が身につけられたからこそ3度目の結婚へ

昨年、3度目の結婚をしました。結婚に至ったのは、ようやく自分で自分のことを満たす術を身に付けられたから。2回目の離婚をしたときは、修行僧のように「一生結婚しません!」みたいな気持ちだったけれど、自分で自分を幸せにするすべをいくつか身に着け、いろんなことで元気になっていくと、やっぱり人に出会いたい気持ちが大きくなってきました。

でも、誰かと新しい関係を築くには、それまでの自分を変えないと、同じことを繰り返してしまいます。では、過去の自分には何が足りなかったのか。自分と向き合って分かったのが、私は「自分以外の人や物で自分を満たせなかった時に不満を感じる」ということでした。

30代までの恋愛は、好きなら言わなくても気づいてくれるだろう、と勝手に相手に期待しては撃沈して、を繰り返していました。嫌われたくないのもあったし、その場を平和に穏便にやり過ごすことを優先したいから、言いたいことを我慢して飲み込んでいました。ため込んだあげく、3年後くらいに「あの時はああだった」と爆発して相手を困惑させるという自爆パターンが定番だったんです。

でももう、過度に相手に期待したり、自分が我慢したり、耐え忍ぶような事は絶対終わりにしなきゃいけない。次に誰かと恋愛するなら、今度はちゃんと自分の思いを相手と共有したいし、理解してほしい。流さず、相手ときちんと向き合いたい。2度の離婚を経験したからこそ、それを全く諦めていない自分がいたんです。

でも、思っていることを伝えるって、すごくエネルギーが要ること。自分にとっては重要なことでも、相手にとってはピンとこないことだったりもしますしね。それでも、この人となら根気よく聞いてもらう努力を怠らずにやっていける、と思えたので3度目の結婚に至りました。

そう考えると私、ほんとに懲りない人ですね(笑)。元気だな〜(笑)。でも、自分の人生は自分のもの、そして一度きりしかありません。懲りて放棄してしまったら進歩も成長もないと思うんです。

「母ちゃんはポンコツで面白いんだから もっと自分を出して」という息子の言葉に勇気づけられました

私という人間は、ホントにダメダメなんです。自分でもびっくりするくらい(笑)。今19歳の息子からも「母ちゃんは基本ポンコツだから、それを受け入れた方がいいよ」と言われています(笑)。

25歳で出産してから家族の形態は何度か変わりましたが、息子とは二人で過ごす時間が長く、独特な関係性を築いてきました。そんな中で、私は「良い母親でいること」を早々に放棄しちゃった。これが苦手、これはできない、など自分の弱みを息子には全てオープンにしていたせいか、彼の前でだけ見せられる、自分のありのままを解放できる何かがあります。夫の前だとリラックスできないというわけではないですが(笑)、子どもと一緒の時の自分は明らかに違う。その言語化できない不思議な感覚にすごく救われています。その感覚は理屈では説明できなくて、細胞レベルでこの人だったら大丈夫!と思える安心感と信頼みたいなもの。

私は、自分の親の前だと「娘らしくいなきゃ」と思うし、仕事の時もちゃんとしなきゃ!と気を張っているので、考えすぎて落ち込むことも多かったり…と少しナーバスなところがあるんですが、息子の前ではすごく陽気らしいんですね。自分でも意外な一面があるらしくて、その分析って確かに当たっている。「母ちゃんは面白いんだから、その面白さをもっと外でも出したほうがいい」なんて息子に言われるし、私も「そう振る舞えたら、もっと楽だな」、「人付き合いがもっとうまく進むな」、と思います。

けれど、この仕事は初めまして、さようなら、がほんとに頻繁にある仕事なので、何年やっていても慣れません。初対面の人が多くても、それを楽しんでフランクに行きたいのに、どこかで構えちゃったり、必要以上に遠慮したり。そんな不器用さが、自分でも歯がゆくて、情けなくて…。息子の指摘に「そうしたいのは山々なんだけど、なかなかうまいこといかないんだよね」なんて本音で相談してみたりして(笑)。

いつもありがたく息子の言葉を頂戴するかたわら、自分のポンコツさをさらけだしすぎて、息子を早く大人にさせてしまった点はちょっぴり反省。彼の内弁慶なところは自分の若いころに似ているので、同じ目に合わせてはいけない。私を反面教師にしてもらって、息子にはもっと軽やかで社交的な人間に成長してほしいと思っています。

息子キッカケで始めた早朝ウォーキングが今は日課に

仕事がない日は、10時くらいに寝て、朝は6時に起きています。以前は完全な夜型で、特にコロナ禍の緊急事態宣言で全てが止まった時には、散々不健康な生活を満喫しました(笑)。初めてNetflixに入ったらあまりに楽しくて、『愛の不時着』を2日で見終わってしまったほど!あまりに動画漬けになって自堕落な生活に飽きたとき、息子が「不規則な生活にも飽きたから明日6時に起きて散歩に行かない?」って言ってくれたんです。とはいえ、彼はそのころまだ反抗期。向こうから誘ってくれたのに「一緒に歩きたくないから別々のルートで行こう」と言われて、一緒に家は出るけれど、単独行動(笑)。

でも、その早朝散歩がすごく気持ちよかったの。1日を有効に使えるし、朝早く起きると自然と夜も眠くなって夜更かしができない。早寝早起きが習慣化されて、生活のリズムが整ったことで体調までも良くなりました。それに「気持ちいい」と思えると自然と続けられるんですよね。寒くてできない日もあるし、仕事で夜遅くなったら起きられない日もありますが…。それをネガティブに考えないで、「どこかで挽回すればいい、帳尻合わせできればいい」と思うようにしています。できなかったことで自分を責めずに長い目で見てゆるゆるとやっていければいい。

散歩に限らず、何事も自分を追い込みすぎず、ゼロか100かで考えないでマイペースで自分らしく進んでいけたらいいかなと思いますね。

《衣装クレジット》
トップス¥37,400(アドーア)パンツ¥21,890(リネイヴ/ネイヴ)ピアス¥13,200(アフェクト/ラッキーアンドカンパニー)ブレスレット¥44,000リング(右手)¥28,600(左手)¥33,000(ともにブランイリス/ブランイリス トーキョー)シューズ¥35,200(ピッピシック/ベイジュ)

撮影/当瀬真衣(TRIVAL) ヘア・メーク/伴まどか スタイリスト/斉藤くみ 取材/柏崎恵理 編集/長谷川千尋

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