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机で使える小型ハイブリッド真空管アンプ、SOUND WARRIORから。試聴レポ付き

小型ハイブリッド真空管アンプ「SWL-T01」とオリジナルスピーカーを組み合わせたところ

城下工業は、SOUND WARRIORブランドの新製品として、DACも搭載し、デスクトップオーディオで活用できる小型ハイブリッド真空管アンプ「SWL-T01」を、Makuakeにおいて8月6日11時から先行販売する。一般販売予定は49,800円だが、超早割として22% OFFの38,600円、早割18% OFFの40,800円などのプランを用意。

小型ハイブリッド真空管アンプ「SWL-T01」

コンパクトオリジナルスピーカーをセットにしたモデル(一般予定価格84,600円)も超早割25% OFFの63,600円、早割20% OFFの67,800円。ヘッドフォン「SWL-T01」とのセット(一般予定価格70,150円)も、超早割25% OFFの52,800円、早割20% OFFの56,000円などのプランを用意している。プロジェクト期間は2023年9月19日までで、商品は2023年10月末までに届く予定。

コンパクトオリジナルスピーカー

「できるだけコンパクトに、シンプルに、お求めやすく、を追求して完成した」というハイブリッド真空管アンプ。「机やリビング、寝室、そしてキャンプや車中泊など、様々な場所でお使いいただける」という。

「柔らかく暖かみのある独特の音色」という真空管をプリ段に、「ゆがみが少なくクリアな音質と駆動力が特徴」のデジタルアンプをパワー段に採用。「音楽の魅力を広げる真空管の音色と、小さくてもパワフルな駆動力を誇るデジタルアンプを組み合わせることで、サイズは小さくても本格的な音を楽しめる」という。真空管は12AU7を1本使っている。

アンプの最大出力は10W + 10W(1kHz、1%、8Ω)、適合スピーカーインピーダンスは4Ω~8Ω。スピーカー出力周波数特性は5Hz~100kHz(±3dB)。

サイズはCDジャケットとほぼ同じサイズ、130×145×77mm(幅×奥行き×高さ)で、デスク周りやテレビの近くにも設置しやすくしている。付属のACアダプターで動作するが、ポータブル電源(12V、専用ケーブル必要)でも動作するため、「キャンプや車中泊などでも使用可能」という。

USB DAC機能も搭載。PCM 48kHz/16bitまで対応。光デジタル音声入力とアナログRCA音声入力、ステレオミニのアナログ音声入力も搭載。前面には標準ジャックのヘッドフォン出力を備える。ヘッドフォンの最大出力は45mw (LOW/1kHz、1%、16Ω)、55mW(LOW/1kHz、1%、32Ω/40Ω)、240mW(HIGH/1kHz、1%、300Ω)。推奨ヘッドフォンインピーダンスは、LOW 16Ω以上250Ω未満、HIGH 250Ω以上。消費電力は最大45W。重量は740g。

ヘッドフォンアンプとしても使える

音を聴いてみる

前述の通り、プリ段に真空管の12AU7、パワー段にはデジタルアンプを採用したハイブリッドアンプだ。やはり最も気になるのは、真空管を活用した音質だろう。短時間ではあるが、実際に使ってみた。

“真空管らしさ”は試用開始直後から味わえる。電源をONにすると15秒ほどして音が出るようになるのだが、起動直後はちょっと音がナローだ。しかし、そのまま使い続け、文字通り真空管が温まってくると、レンジが広がり、中高域の伸びもよくなり、本領を発揮する。

PCとUSB接続し、Amazon Music HDなどを排他モードで再生してみる。オレンジ色に照らされる真空管を見ていると、ビジュアル的には“ウォームで温かい音が出そう”と予測するが、音を聴いても確かにその傾向はある。カリカリシャープ系ではなく、女性ボーカルやアコースティックな楽器を、ゆったりと質感豊かに聴かせる美音系だ。「手嶌葵/明日への手紙」の声がとても優しく、ピアノの響きも美しく、聴き惚れてしまう。

“ナローな古臭い音”では決してない。スピーカーの駆動力はしっかりあり、ギターの弦の動きや、打ち込み系楽曲の細かなSEなど、微細な音もしっかりと描写してくれる。このあたりは、パワー段のデジタルアンプらしさが出ているのだろう。総じて言えば、「デジタルアンプの薄味な部分を、真空管のプリ段で補っている」ような関係性だ。

使い方としては、DTMで作曲する時のモニターのような使い方ではなく、心が落ち着くBGMをゆったりと流したり、リモートワークが終わってコーヒー飲んで一息つきながらジャズや女性ボーカルなどをじっくり聴き込むような、リスニングに使いたいサウンドだと感じる。

筐体は手のひらサイズで、特に奥行きの短さがデスクトップ設置ではありがたい。価格を抑えているが金属筐体の質感は高く、真空管の下に設置したイルミネーションの淡い光も手伝い、高級感がある。サイズ的には“可愛い”のだが、見た目がビンテージオーディオ風なので、“可愛いのに落ち着いている”という不思議な感覚。今回は木のデスクに設置しているが、雰囲気のマッチングは最高だ。

セットモデルとしてラインナップされているスピーカーも良い。小型スピーカーはどうしても安っぽく見えるものだが、このスピーカーには当てはまらない。アンプと雰囲気が同じビンテージオーディオ風で、本物の木を使っているので肌触りも上質だ。

底部には三脚孔もある
背面のスピーカーターミナル

見た目だけでなく、音も面白い。「この小ささだから、こぢんまりした音なのかな」と思っていたのだが、音が出た瞬間に驚く。特に左右方向への音場の拡大が凄まじく、「え、お前から音出てるんだよね?」と思わず確認してしまうほどだ。「明日への手紙」の冒頭ピアノも、驚くほど広範囲に広がり、ボーカルはしっかりと前へ出る。

デスクトップオーディオではどうしても、机の上の狭い空間にしか音が広がらず、狭苦しいサウンドになる事があるが、このスピーカーではそんな心配はない。机の上どころか、上空にまでグワッと広がる音場により、開放感に包まれる。机の上が広くなったような気すらする。

なんでも、前面にユニットを搭載し、その両サイドにパッシブラジエーターを搭載しているとのこと。中低域が左右に広がる事により、スピーカー自体のサイズを大きく超える広大な音場を実現したというわけだ。

音の広がりを活かして、BGM的に音楽を流してリモートワークや勉強に打ち込む……とか、Netflixで映画を見ながら広い音場を楽しむなんて使い方もアリだろう。

ただ、このサイズなので弱点もある。それは低域で、重低音はさすがに出ない。ただ、デュアルパッシブラジエーターにより、このサイズからは想像できないほどしっかりとして中低音は出ているので、高域だけのスカスカした音にはなっていない。これはこれでバランスのとれた音だ。あくまで、映画やゲームなどで「ズズン」と沈む音や、音楽のベースが「ブルン」と音圧豊かに迫ってくるような感覚を出すのが厳しいだけだ。

設置スペースがある人は、アンプに駆動力があるので、オーディオ用の小型ブックシェルフスピーカーと組み合わせても良いだろう。実際に接続してみると、しっかりと沈む低域や、ベースの音圧の豊かさがしっかりと出るようになる。より大きなスピーカーと組み合わせた事で、SWL-T01のアンプとしての能力を実感できた。

このように、組み合わせるスピーカーによって音の違いが楽しめるのは、アクティブスピーカーには無い利点。デスクトップであっても、“コンポーネントを組み合わせる面白さ”が味わえるのは、SWL-T01のような超小型オーディオならではの魅力と言える。