1999年10月29日 後楽園ホール  FMW


セミファイナル フライングキッド市原、チョコボール向井、若菜瀬奈 VS 外道

瀬奈ちゃん、ステキお姉ちゃんキック

AV男優やAV女優になれるような人は 運動神経がメチャ良いに違いないとかねてから思っていたのだが。本当にその 通りだった。特に男優は大変。どんな時でも立派にしなきゃいけないわけで。 そして、彼らは「見せる」ということの意味をよく知っている人達。向こう で1流であるなら、こっちに来てもそれなりの芸を見せることができるはず。 とにかくチョ コボや瀬奈の根性の座り方を見ていると、拍手するしかない。はっきり言って、 瀬奈は今のままでも中●由佳とか、タ●ー・マウスなどよりもレスラー(表現 者)としてはるかに上である。もちろん強さではなく、リング上での存在感や 見せるための間の取り方というような意味で。
 試合開始早々、市原とチョコボが組み伏せた外道の上に乗り、ポーズを取る 瀬奈。 やはり試合の大部分は市原と外道の絡みになるわけだが、コーナーでもつれ合 った2人を止めるために間に入ったリッキー・レフェリーは気がついたら外道 を抱え上げる格好に。そりゃ、やるしかないでしょ、カミカゼ! ベタな展開 ながら、リッキーの何食わぬ顔に会場はやんやの拍手。市原がしばらく試合を 転がした後に、チョコボの出番。外道 に派手なキックを連発し、腕ひしぎ、駅弁固め。プロレスなんかしたら腰を痛 めて本業に差し支えないかと心配になるが、ともかく彼のファイトは見ていて 小気味良い。そして、瀬奈登場! 会場もこ れを待っていたという感じ。お姉ちゃん蹴り数発。外道にブレンバスターの体 勢で抱え上げられたものの、DDTで切り返し、瀬奈スペシャル。
 しかし、外道はチョコボをイスでノばし、市原も叩きのめすと、残された瀬 奈にイヤラシイ顔で迫る。頭突き1発。瀬奈失神。足で踏みつけてフォール。 もちろん3カウントが入る。
「若菜瀬奈の口から内臓が吹き出すぞ」
 コーナーに上り、スーパーフライを瀬奈に決めようとした外道の前に、リッ キーが立ちふさがる。
「わかってんだよ、リッキー。出てくるのは。横浜の話をしようじゃねえか。 俺のパートナー、ミスター・ダブルクロス、金星ハンター。お前のパートナー、カス、カス、カス、 カス。お前もカスだけどな。そこでよ、寛大な俺様がチャンスやろうじゃねえか。 空位になっている6メンのベルトを上からつり下げて、取った方 が勝ちにしようじゃねえか。そうすれば、お前らにもこそ泥みたいにコソッ と取るチャンスがあるかも知れねえぜ。針の穴ほどのチャンスってやつだ。死ね、カス」
 外道のマイクは本当にうまい。まして、今日は素人、女、市原という3人 を相手にしての汚れ仕事。それを試合として成立させ、自らのマイクで締めた あたり、外道は本当に素晴らしいのではないか。
「横浜じゃ歌えねえから、ここで」と、リッキーは何の脈絡もなく歌い出す。 彼は彼で、肝の据わった仕事ぶりが良し。FMWがエンターテイメント路線を 歩みだしてから、レスラーとしてのグレードとは別の部分で、全員が組織の中 での自分の役割についてより理解し始めたように思える。プロレスをショ ービジネスと理解すれば、これは良い傾向だろう。素人をリングに上げるな、 という定番の意見もまだ根強くあるものの、この試合が見事なまでにプロレス だったことは事実だ。

瀬奈スペシャル踏みつけてフォール


メインイベント
田中将斗冬木弘道
黒田哲広VS 中川浩二
大矢剛功金村キンタロー
リッキー・フジ邪道

調印式横アリに向けて、全快!

大矢はいつも通り谷本さんと入場。「歌はもう いい。試合始めろ」と怒鳴る人がいたけど。余裕持ってプロレスを楽しめない 人は来ないでね。黒田はこの前と同じくバイクの後に乗って、旗を振りかざす。 テーマ曲にも「俺ってサイコー!」とリミックスされていて、もうなんだか。
 リング上で横浜の試合の調印式(リング上に机を 持ち込むあたりがアメプロっぽい)が行われた後、冬木が田中に机を投げつけ て乱闘開始。リング上は最初は黒田と邪道。邪道の動きはメインに上がってし まうと、まだ苦しい。黒田がラリアット連発も、なんか今一つ締まらない立ち 上がり。邪道はまだしばらくリハビリが良いんじゃないか。田中と金村のハイ スパートで試合が動き出し、大矢のバックドロップ、黒田の哲っちゃんカッタ ーなど、ずいぶん早いタイミングで出たなと思ったら、あれよあれよという間 にリッキーが鉄檻に監禁され、黒田は手錠をかけられて、大矢も金村のスーパ ーダイブに場外でノビてしまう。鉄檻の中のリッキーを薫子が水鉄砲でいじる という光景もアリ。
 孤立した田中は流血し、金村の回転式アルゼンチン、 中川のエクスプロイダーで追い込まれたものの、全員にエルボーを決め、冬木 を机の切れ端でぶっ叩いてから、ダイヤモンドダスト。会場が沸き返る。しか し、反撃もここまで。冬木のラリアットに3カウントを取られた田中。あれ、 リストラじゃないの? なんでもリストラは横アリのカードが決まった時点で 解除されていたらしい。そういうことはもっとしっかりアナウンスしないと。

鉄檻の上からスーパーダイブ!おいしいよ、黒田。薫子の水鉄砲もチェック

リングを占拠したTNRをハヤブサが鉄パイを振りかざして蹴散らす。何か わめいているけど、よく聞き取れない。もちろんHも現れて、大乱闘に。これ がめちゃくちゃ。HはディレクTVのカメラを破壊し、北側でもみ合う中で、 週プロの須山が殴られ、J太郎もHにボディスラムで叩きつけられる。最後は 警備員が2人を止めるという素晴らしすぎる結末。正直言って、警備員はお雇 いだろうけど、すごいですよ、コレは! 絵を作ることをよく考えています、 FMW。ただ、エキサイトのあまり警備員に殴りかかる客もいて、こういうヤ ツは2度と来ないでもらいたい。
 選手が引き上げた後も、一部のベタベタなお客さんがリングを取り囲んで、 騒ぐ。なんでも騒げばいいってもんじゃねえだろう。横アリへ余韻を引っ張る ために、あえてこのブツ切れラストを持ってきた意味がわからねえのか。結局、 荒井社長がリングに出てきて、頭を下げることに。日本のプロレスファン、な んかなんかだわ。かつてのプロレス界から両者リングアウト&反則裁定の連発 を廃した後に残ったのは、観客側のほとんど病的な完全燃焼&大団円への要求だったり して。あえて次へ引っ張るプロレスっていうのを見直したいと思うんですけど ね。まして、エンターテイメントレスリングを掲げるFMWにとって、それは 必至なんだしさ。ともかく、大多数のお客さんは「わかった」みたいだし、成 功だったと思います。

ダイヤモンドダストが決まったが警備員に止められる


試合後はスナさんさくららんさんに挨拶し(ア ンパンマンではありませんでした。知的な感じの人です)、その後FMW常連 系の人達と飲んだんですけど。みんなの感 想。
「面白かった! 久しぶりに見るFMWは良い。金の字がすごく良い」(Ikejeyさん
「横アリに行けない人のことを何も考えてない! 横アリ行くなら、楽しみだ よ。でも、俺行けないんだし、どうしてくれるんだよ」(Yさん)
「やっていることの意味はよくわかったけど。全部横アリの予告編だから、面 白さって意味ではいまひとつ」(オバケさん
「アレは新しいですよ」(K☆INGさん)
 予告編として見れば、なかなかの出来ではないかというのがみんなのおおよ その感想。あえて横アリ前にこれほど徹底した破綻を持ってきたあたりが、F MWの本気でしょうね。ちなみに今日のMVPは非道。でも、話題をさらった のはダメ外人の方か。ところで、横アリのチケットはなかなか売れているよう で。いっぱいになってもらいたいです。11・23(祝)横浜アリーナへ行 こう。

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