【開幕】「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」国立新美術館で12月11日まで
「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」が国立新美術館で9月20日(水)から12月11日(月)まで開催されます。本展は、「モードの帝王」没後日本で初の大回顧展。わずか21歳でデビューしてから、2002年に引退するまでの40年余りの創造を、ルック110体のほか、アクセサリーやドローイングなど262点でたどります。冒頭の写真は、1962年、イヴ・サンローランの名を冠して発表された初のオートクチュールコレクションの展示風景です。まるでファッションショーを訪れているような高揚感を味わえます。
現代に続く普遍的なスタイル
「ファッションは時代遅れになるが、スタイルは永遠である」
イヴ・サンローランが遺した言葉の一つです。この言葉のとおり、彼が確立した独自のスタイルは、現代にまで続く普遍的なものとして定着しています。
展示室には、紳士服に着想を得て、モダンかつエレガントな女性服としてアレンジしたジャンプスーツ、パンツスーツ、サファリ・ジャケットなどがズラリと並びます。イヴ・サンローランは1960年代、男性のものという考えが根強かったパンツスタイルを、時代が求める新たな女性のスタイルとして打ち出しました。美しさ、着心地、実用性を兼ね備え、着る人に自信を与えるスタイルは、当時の女性のワードロープに変革をもたらし、現代には当たり前のものとして浸透しています。
時空を超えた想像上の旅
本展では、日本、スペイン、ロシアなどの異国、古代や中世などの歴史にインスパイアされたファッションも充実。
こちらは、1965年秋冬オートクチュールコレクションの最後を飾った「パブーシュカ」ウエディング・ガウンです。ロシアの人形であるマトリョーシカを参照しています。一人のデザイナーが生み出したとは思えないほどの、表現の幅広さに驚かされます。
実はイヴ・サンローランは、モロッコを訪れることをのぞき、旅があまり好きではなかったのだとか。美術作品の収集や読書を通して、時空を超えた「想像上の旅」に出て、幻想をファッションで表現したそうです。
巨匠の作品を解釈、再構成
イヴ・サンローランは、尊敬する芸術家の作品を積極的に解釈して、ファッションとして再構成しました。その意図について、「私の目標は巨匠たちと自分を比較することではなく、最大限彼らに近づき、その才能から学ぶことでした」と語ったといいます。
こちらは、ゴッホ《アイリス》へのオマージュ。600時間以上の手仕事の刺繍で、まさにゴッホが厚く塗り重ねたような筆跡が再現されています。
展示会場には、ピカソ、ブラック、マティス、ボナールなどへのオマージュもありました。どのルックが、どの巨匠へのオマージュでしょう? ぜひ会場で確かめてみてください。
布地のなめらかさや光沢、絶妙な染織、精緻な刺繍など、一着一着にこめられた妥協なき技術を目の前で見られることも、本展のすばらしさと言えるでしょう。ぜひ会場に足を運んで、イブ・サンローランが追求し続けたスタイルを体感してみてください。
(読売新聞美術展ナビ編集班・美間実沙)
イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル |
---|
会場:国立新美術館 企画展示室1E(東京都港区六本木7-22-2) |
会期:2023年9月20日(水)~ 12月11日(月) |
休館日:毎週火曜日 |
開館時間:10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで |
観覧料:一般2,300円、大学生1,500円、高校生900円 ※中学生以下は入場無料 ※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料 ※10月7日(土)~9日(月・祝)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要) |
アクセス:東京メトロ千代田線 乃木坂駅 青山霊園方面改札6出口(美術館直結) 東京メトロ日比谷線 六本木駅 4a出口から徒歩約5分 都営地下鉄大江戸線 六本木駅 7出口から徒歩約4分 |
主催:国⽴新美術館、産経新聞社、TBS、ソニー・ミュージックエンタテインメント |
特別協力:イヴ・サンローラン美術館パリ |
特別協賛:SAINT LAURENT |
後援:在⽇フランス⼤使館/アンスティチュ・フランセ、BS-TBS、TBSラジオ |
協賛:SOMPOホールディングス、野崎印刷紙業 |
企画協力:Ueki & Associés |
展覧会ホームページ:https://ysl2023.jp |
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル) |