欧米の建築学部では、スタジオだけでなく設計演習の講評を行う講評室や廊下などを利用した展示空間も充実しています。
武庫川女子大学建築学科では、新校舎「建築スタジオ」の幅4.5mと広い廊下、甲子園会館の1階、2階廊下を展示空間として利用し、優劣を問わず全学生の設計演習の作品を展示します。展示された作品は一種の自己実現です。また、新校舎「建築スタジオ」の講評室は、マルチメディア機器・展示パネル・照明用の配線ダクトを備え、設計演習作品のプレゼンテーションから作品展覧会に至るまでフレキシブルに活用します。
設計演習の各課題の提出後に行う講評会では、全員の学生1人ひとりが自分の作品をクラスメートの前で発表を行い、講評会のために招いた外部講師や教員がひとつひとつの作品について講評を行います。1人あたりに費やす時間は学生1人あたり15分程度です(発表時間:5分程度、3,4人の先生からの講評:10分程度)。学生数が40名でも600分、すなわち講評会を行うために10時間以上の時間が必要です。定員40名の少人数生の当建築学科でも、建築学科2年生の設計演習の講評会を2日にわけて実施しています。例えば、1学年100人を越える学生がいる場合、学生全員に対して講評を行うのはとうてい不可能です。1人ひとりに向き合った建築設計教育が実現するのは、当建築学科が対話型の欧米型少人数教育を特徴としているからです。
設計演習では作品の出来不出来を問うのではなく各学生がいかに自分の内面を表現できたかを重視します。教員はいわば精神療法のセラピストのように学生の自己実現をサポートします。
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