1人1台の製図机とパソコンを完備

入学時より占用の製図机とパソコンを備えたスタジオで
小人数制の欧米型スタジオ教育
2年生以上は前期・後期に各3課題の設計演習
武庫川女子大学建築学科 甲子園会館1階のスタジオ1
武庫川女子大学建築学科 甲子園会館1階の スタジオ1(建築学科1年生)
武庫川女子大学建築学科 新校舎「建築スタジオ」の ウェストスタジオ1(建築学科2年生)
武庫川女子大学建築学科 新校舎「建築スタジオ」の ウェストスタジオ1 (建築学科2年生)
 スタジオ内には一人ひとりに占用の製図机があり、設計演習に必要な欧米並みの環境が十分に確保されています。また各製図机にはコンピュータが完備され、常にインターネットに接続可能です。学生たちが毎朝登校すると、まず自分の机の下のロッカーに荷物を置き、午前中は講義を受け、午後からはスタジオに戻って夜遅くまで設計演習に取り組みます。教員はスタジオ内の学生の机を一つずつ回り、教師と学生が一対一の対話型の設計演習を行います。

 しかし、今までの日本の大半の建築学科では、スタジオの面積が狭く、製図机は学生数に対して大幅に不足しております。その結果、製図机は共用です。すなわち学生たちは設計演習の時間が終わると次の時間までに、描いている途中の図面や作りかけの模型など、すべての持ち物を片付け、次の学生のために机を明け渡さなければなりません。しかし右のアメリカの諸大学の製図室の写真からわかるとおり、これは不可能なことです。結局、自宅や下宿で設計をせざるをえないことになり、製図室に人影がなくなるか、一部の学生に占拠される状態になります。

 このような環境では、UIA/UNESCO国際建築家教育基準が定めた、教師と学生が一対一の対話型教育を行う設計演習を実現するのは困難なことです。自宅でつくった模型をもって満員電車に乗り、壊れてしまったという、泣くに泣けない話もあります。


ハーバード大学のスタジオ

イリノイ州立大学のスタジオ
ワシントン大学のスタジオ
 武庫川女子大学建築学科で行われる一対一の対話型の設計演習は全授業時間の半数以上を占めます。設計演習では、1学年が数グループに分かれ前期、後期それぞれ3つの課題に取り組みます。各グループに教員、助手、大学院生アシスタントがつき、きめ細かな指導を行います。課題の中間発表や最後の講評会では、社会で活躍する学外の建築家、専門技術者の講評も受けます。

建築学科 2年生:建築設計演習I「木造のクラブハウス」
一対一の対話型設計演習
■建築学科・大学院建築学専攻 演習課題一覧 
>>H23年度 建築学科1年生 前期 「空間表現基礎演習」

 「平面による構成」
 「透視体と鏡面による構成」
 「陶芸」:手びねりによる四角筒の制作とその再構成
 「木工」:棟梁と造る木の造形
 「共通寸法」
 「曲面と直線による構成」
 「基本立体による構成」
 「いけばな」
 「デッサン」
 「水彩画」
 「対立による調和」
 「光と陰影」
 「多面体による構成」
 「瓦の制作・葺替」

>>H23年度 建築学科1年生 後期 「空間表現応用演習」

 「陶芸」:レリーフタイルの制作 石膏型を用いて
 「陶芸」:卵 手びねりと絵付け
 「甲子園会館
実測と平面図
 「甲子園会館 透視図」
 「紙と力」
 「引張と圧縮」
 「モザイク」
 「フレスコ」
 「テンペラ」
 「小規模建築空間の設計」:甲子園会館の隣地に建つ学生会館

>>H23年度 建築学科2年生 前期 「建築設計演習I」

 課題1:木造のクラブハウス
 課題2:両親の家
 課題3:幼稚園

>>H23年度 建築学科2年生 後期 「建築設計演習II」

 課題1:祈りの空間:京都大文字山に建つ祈りの空間
 課題2:歴史都市に建つ美術館
 課題3:レストハウスと自然景観の風景化

>>H23年度 建築学科3年生 前期 「建築設計演習III」

 課題1:両親と二世代で住む家
 課題2:親しい仲間と集団生活を楽しむ宿泊施設
 課題3:大規模な群集を安全快適に誘導する駅舎:テント膜で再生する阪神甲子園駅

>>H23年度 建築学科3年生 後期 「建築設計演習IV」

 課題1:演劇や音楽を楽しむ空間:西宮戎の歴史と文化を継承する劇場
 課題2:隣と親しくなる職住一体型中低層の集合住宅
 課題3:歩いて楽しい商業空間:歩いて楽しい西宮中央商店街

>>H23年度 建築学科4年生 前期 「建築設計演習V」

 課題1:老いと病が教えてくれる生きた空間(老人福祉施設)
 課題2:病院
 課題3:水辺の楽園:潮芦屋地区に計画するウォーターフロント

>>H23年度 建築学科4年生 後期 「卒業設計・卒業論文」
>>H23年度 大学院修士1年生 前期 「建築設計総合演習I」

 課題1:光と闇と住宅
 課題2:木製ブロックとスペースフレームによる礼拝堂
 課題3:膜屋根による半屋外遊戯場があるこども館

>>H23年度 大学院修士1年生 後期 「建築設計総合演習II」

 課題1:紙管による住居と集落
 課題2:竹の茶室

>>H23年度 大学院修士1年生 後期 「建築設計実務 I」

 ・トルコ イスタンブールにおける実務実習

>>H23年度 大学院修士2年生 前期 「建築設計総合演習III」

 課題1:紙管による住居と集落
 課題2:竹の茶室

>>H23年度 大学院修士2年生 前期 「建築設計実務II」

 ・N館(仮称) 計画の実務研修

>>H23年度 大学院修士2年生 後期 「修士設計・修士論文」
講評室・展示室 
 欧米の建築学部では、スタジオだけでなく設計演習の講評を行う講評室や廊下などを利用した展示空間も充実しています。

 武庫川女子大学建築学科では、新校舎「建築スタジオ」の幅4.5mと広い廊下、甲子園会館の1階、2階廊下を展示空間として利用し、優劣を問わず全学生の設計演習の作品を展示します。展示された作品は一種の自己実現です。また、新校舎「建築スタジオ」の講評室は、マルチメディア機器・展示パネル・照明用の配線ダクトを備え、設計演習作品のプレゼンテーションから作品展覧会に至るまでフレキシブルに活用します。

 設計演習の各課題の提出後に行う講評会では、全員の学生1人ひとりが自分の作品をクラスメートの前で発表を行い、講評会のために招いた外部講師や教員がひとつひとつの作品について講評を行います。1人あたりに費やす時間は学生1人あたり15分程度です(発表時間:5分程度、3,4人の先生からの講評:10分程度)。学生数が40名でも600分、すなわち講評会を行うために10時間以上の時間が必要です。定員40名の少人数生の当建築学科でも、建築学科2年生の設計演習の講評会を2日にわけて実施しています。例えば、1学年100人を越える学生がいる場合、学生全員に対して講評を行うのはとうてい不可能です。1人ひとりに向き合った建築設計教育が実現するのは、当建築学科が対話型の欧米型少人数教育を特徴としているからです。

 設計演習では作品の出来不出来を問うのではなく各学生がいかに自分の内面を表現できたかを重視します。教員はいわば精神療法のセラピストのように学生の自己実現をサポートします。


デンマーク大学の講評室

ハーバード大学の展示ホール

建築学科新校舎 建築スタジオ ギャラリー
武庫川女子大学 建築学科
新校舎「 建築スタジオ」
幅4.5mの広い廊下をギャラリーとして活用

建築学科新校舎 建築スタジオ ギャラリー武庫川女子大学 建築学科
新校舎「 建築スタジオ」
幅4.5mの広い廊下をギャラリーとして活用
建築学科新校舎 建築スタジオ 講評室
武庫川女子大学 建築学科
新校舎 「建築スタジオ」 講評室
マルチメディア機器と展示パネルを備え、
作品のプレゼンテーションや展覧会に活用
建築学科 2年生:建築設計演習I「両親の家」武庫川女子大学 建築学科
新校舎 「建築スタジオ」 講評室
設計演習の講評会の風景
学生が1人ずつ自分の作品を説明
>>建築学科TOPページ