昭和4年の美人はどんな顔?「アサヒグラフ」の写真応募企画にみる女性美。 | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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◆洋服を着る女性は少ないけれど、ヘアスタイルは「耳隠し」が多数。まさに時代の過渡期です!

 

こんにちは、山村です!
 

今から94年前の昭和4年(1929)、

写真誌「アサヒグラフ」で、

「現代の女性美」と銘打った企画がありましたビックリマーク

 

推薦者が若い女性の写真を編集部に送り、

その中から入選者80人を選んで、

8回に分けて誌面に掲載。

 

最後はアサヒグラフの本社において、

各界を代表する審査員が、

「現代の女性美」に該当する8人を選ぶという企画ですラブラブ

 

審査員は彫刻家の朝倉文夫、

洋画家の藤島武二、

小説家の村山知義、

詩人で彫刻家の高村光太郎、

解剖学者の西成甫、精神科医の杉田直樹、

美術史家の藤懸静也、民俗学者の柳田国男

などのそうそうたるメンバー。

 

選者が全員男性というところが、

時代をよく表しています。

女性は選ばれる存在だったのです。

 

入選者80人を髪型で分類すると、

伝統的な日本髪は10人。

 

一方、最先端の断髪だと

はっきりわかる女性はわずかひとり。

 

その他の女性たちで多いのが、「耳隠し」でした。

「耳隠し」は、両耳を隠して後頭部に

髷をつくる洋髪で、当時流行のヘアスタイルドキドキ

 

「耳隠し」の中でも、

熱したコテを使ってきれいにウェーブをつけた

下の写真の女性はオシャレ上級者です。

後頭部には大きなリボンをつけています。

 

「アサヒグラフ」昭和4年(1929)5月15日号

 

また、服装で分類すると、

ほとんどが着物着用で、洋装は5人だけ。

昭和初期には、若い女性の間でも、

洋装は普及していなかったのです。

下の写真は、数少ない洋装の応募者がいる写真。

 

「アサヒグラフ」昭和4年(1929)5月29日号

 

下左は前髪が短いので断髪かも。

でも、後ろに髷がある「耳隠し」の可能性もあり。

 

下右は「耳隠し」だと思いますが、

ウェーブがよく出ているので、

最先端のパーマネント・ウェーブをかけているかも。

 

ふたりとも、当時のハリウッド女優のように

眉を細くしていて、

リップメイクもモダンガール風ですビックリマーク

 

昭和初期はハリウッド映画が大人気で、

モダンガールが話題になった時期。

 

しかし、審査員に選ばれた8人の女性は、

切れ長の目をした和風な顔だちの方が

ほとんどでした。

 

「現代の女性美」と銘打っていますが、

選考時に40~60代が中心だった審査員の心に、

モダンガールはヒットしなかったのかもしれません。

 

下の写真は選ばれた8人のうち2人。

和風な顔立ちですが、

今の美意識で考えても美人だと思います。

 

「アサヒグラフ」昭和4年(1929)8月7日号

 

同上

 

現代ファッションに身を包めば、

ふたりとも、さぞかし映えることでしょう。

時代は変わっても、

変わらない美しさってあるんだなと思います。

 

次回は9月11日頃更新予定。