ミタマの1巻を買いに行くぞォ!
…と気合を入れたはいいものの、今はお財布に100円玉が4枚くらいしかないので、お給料が出てからスパイファミリーとまとめて購入します
社会人にあるまじき財布の中身…
今日はエロゲのお話
Nailの「天使憑きの少女」を一通りクリアしたので、その感想です
※ネタバレあるよ!
一通りというのは、一度エンディングまで見ただけで、まだ並行ルートをプレイしてないからなんですよね
そっちはこれからやろうと思ってるんですが、とりあえず、現時点での感想も書き留めておこうかな、と
最初に言っておきたいのは、この作品は最終章までプレイして、ようやくひとつの物語となる、ということです
なので、途中で止めてしまうと、永遠に未完成のまま記憶に残り続けることになるでしょう
もし、何かしら思うことがあったとしても、できることなら最後までプレイし続けてみてほしい
それまでは点としてしか存在しなかった事柄のひとつひとつが、初めて一本の線と結ばれた瞬間、きっとあなたの中に何らかの感情が生まれると思う
それをもってして、この「天使憑きの少女」という作品を、評価してほしい…そう願います
では、各章ごとの感想とヒロインの紹介を
第一章「滅び」
浦上 真理愛
物語の導入部分であるこの章は、単体で見た場合、そこまで高評価できるものでもない…というのが、率直な感想です
母親を医療ミスによって失ったひとりの少女が、手術を担当した医師を殺したいという『奇跡』を天使に願うという、ありふれた(こう表現するのも憚られるのですが)復讐劇であり、極端に目を引くような要素はありませんでした
復讐の是非はここで問うべきものではないし、この章だけではすっきりしない終わり方となっています
しかし、一周してみて初めてわかる通り、少女だった頃の浦上真理愛が『奇跡』を願ったからこそ、全ての歯車が動き出すことになったのだと思うと、感慨深いものがあります
人がひとり亡くなった医療ミス、担当医師が彼女に遺した贖罪の形、母親を失った少女に与えられる神の奇跡…
大きなものから小さなものまで、ありとあらゆる要素に一切の無駄がなく、結末へと向かってゆるやかに集束していく様は、息を呑むほどの美しさを伴っていました
第二章「忘却」
江藤 睦美
橋本 紗雪
第一章のラストより十数年の月日が流れ、真理愛が医師という道を歩み始めた頃のお話
七年前の大規模な交通事故により、幼くして命を落とすことになった睦美は幽霊となって、幼なじみの男の子をずっと見守っていました
男の子は目の前で好きだった女の子が命を落としたことにより、心に深い傷を負っていました
そんな男の子を好きになった紗雪は、ある日、勇気を振り絞って告白するのですが…
睦美と紗雪、二人の少女が願った『奇跡』は、本筋からは少しかけ離れたものとなります
が、そもそもの発端である七年前の事故は、作品中で最も重要なウェイトを占める出来事だったと言っても過言ではないでしょう
この事故で意識不明の重体となり、後に脳死判定を受けることとなる、名もなき『眠り姫』の存在こそが、全ての事象を束ねてひとつの大いなる『奇跡』を顕現させることに繋がるのですから…
『眠り姫』の『奇跡』を実現させる過程では、睦美の彼女を案じる心が
澄香の『奇跡』を実現させる過程では、紗雪の彼女を想う心が
それぞれ良い方向に作用したと考えれば、この章が持つ重みにも自然と思考が及ぶのではないかと思われます
とにかく睦美がいい子でな…
普通、こういう展開だと、睦美も幼なじみの男の子が好きで、紗雪とは険悪ムードになる…なんていうベタベタに手垢がつきまくったストーリーを妄想してしまいがちになるのですが、幼なじみの将来を憂いつつ、紗雪の幸せを心の底から願うことができる睦美の優しさに、わたしの薄汚れたハートも綺麗に洗われました…
うぅ、睦美ぃ…来世では幸せになるんやで…
第三章「凍結」
相葉 絵里香
相葉 澄香
幼い頃より心臓の病を患い、入退院を繰り返している澄香と、そんな彼女を誰よりも愛し、その身を案じている絵里香の、姉妹の物語です
真理愛が語り手だった第一章、睦美の視点で進んだ第二章に比べると、この章の主人公は生徒会執行委員として絵里香を支えてきた男子であり、どこか浮世離れしていたこれまでの章とは一転して、通常のギャルゲーっぽさが如実に表れます
ここでようやく取っつきやすさを感じる男性プレイヤーも多いのではないでしょうか
生きるということ、愛するということ…
当たり前のようでいて、何よりも尊いそれらを、常に死と隣り合わせでいる澄香だからこその言葉で表現されるラストシーンが胸に響く一方、「天使憑きの少女」という作品も、いよいよ終わりを迎えようとしている…ひとつの大きな物語が、幕を閉じようとしていることが伝わってきました
心臓に先天的な疾患を抱えている澄香を救うためには、心臓移植を行うしかない…
そのドナーとなる存在こそが『眠り姫』であり、手術を担当する医師こそが浦上真理愛である
その事実は第四章にて語られるものですが、そこに帰結するまでの様々な物語の欠片はここまでで描き切られています
さらには、第一章において復讐心を失い、自ら命を絶とうとした真理愛を救ったのは、幼い頃の澄香である…
本当に、一切の無駄のない構成には、感嘆の溜め息を漏らすばかりです
六人の少女たちが願った『奇跡』が、巡り巡って大きな環となっていく実感は、実際にプレイした人にしか真実の意味では伝わらない感動なのかもしれません
この感情の動きを言葉にするのは難しい…とても
第四章「共心」
浦上 真理愛
第三章のシナリオを、真理愛の視点でもう一度おさらいしながら、なおかつ、あらゆる事象の全てに解が与えられるこの章をもって、「天使憑きの少女」という作品は完成されます
そうして、全ての『奇跡』は執行されました
真理愛の名が持つ響きには、二つの人物が隠されています
ひとりは、イエスの母である聖母マリア
もうひとりは、イエスの『奇跡』を最初に目撃することとなった、マグダラのマリア
天使たちは作中で真理愛のことをマグダラのマリアと称することがありましたが、澄香は彼女の中に聖母マリアの優しさを見出してもいました
彼女が「マリア」であるのならば、『奇跡』を起こす「イエス」は誰のことを指すのか…
その答えは、是非ともご自身の目で確かめていただきたいと思います
さて、並行ルートをプレイするとしますか!