あるきっかけで、ひさしぶりにこのCDをiPodにいれて通勤で聴いています。私にとって、このギター二重奏は特別な意味があり、このCDを聴くたびにギター音楽のすばらしさを感じ、元気をもらいます。

●ギター二重奏の神髄-プレスティ&ラゴヤの芸術イダ・プレスティ
演奏は、イダ・プレスティ(1924-1967)とアレクサンドル・ラゴヤ(1929-)の伝説のギター二重奏団です。実は、今までイダ・プレスティは飛行機事故で死んだと思っていたのですが、このCDの解説(濱田滋郎)を改めて読んでみると肺ガンによる病死で米国旅行中の客死となっています。この二人の演奏は、その演奏のまとまり、集中力と強さで今でも輝きを失っていない。(大)学生時代に、この二重奏を聴いて、高校時代には知らなかった新しいギターの世界を知りました。このCDの解説にも、ショパン(1810or1809-1849)の言葉として「ギターのソロは美しい。しかし2つのギター演奏はさらに美しい」と書いてある。濱田さんは、ショパンが生きた時代は、ちょうどフェルナンド・ソルが生きた時代と重なる。ギター二重奏を知っていたのだろうと書いている。ソル(とアグアド)の美しい二重奏を聴いたことがあるのだろうか・・・。その後に出たブリュームとジョンの二重奏もありますが、この二重奏にはかなわない。最近は"いちむじん"というギター二重奏団がCDを出しているが、同じ曲を聴くと天と地の差がある(でも、ニュウ・シネマパラダイスの演奏は好きです)。
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このCDは3枚組で、プレスティ&ラゴヤが録音した殆どの演奏が入っている。その感想をすこし書いてみます。なお、不思議なことに1stが誰かは書いていない。曲によってチャンポンだったのかも知れない。
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●編曲物の2つのギターのための協奏曲
ハイドン、ヴィバルディ、マルチェルロの曲を2つのギター協奏曲に編曲しています。バックは、ミュンヘン・プロアルテ管弦楽団(指揮はクルト・レーデル)。私には、バックが今一と言感じる。
●ギター編曲のバロック曲
ヘンデル、J.S.バッハ、D.スカルラッティ、マルチェルロ、アルビノーニの曲を編曲している。
●イギリス組曲3番BWV808プレリュード/J.S.バッハ
これは、私にとってかなり懐かしい。大学時代に二重奏をやりました。この二重奏を演奏するに当たって、園田高弘のピアノ演奏を聴いた記憶があります。
●シャコンヌ/ヘンデル
最近HPでピアノの演奏を聴いたが、私にはオリジナルよりギター二重奏のほうが心地よい。というか、ピアノの演奏がおそまつに聞こえた。切れのいいギター二重奏は、ピアノを超えていると思うのは、ひいき目だろうか。パートナーがいればやってみたい曲です。なお、CD解説では、ヘンデルは、歌とギターのための曲を1曲つくっているらしい。ただ、独奏楽器としては認めていなかったようだ。
●ソナタ(L23、L447)/スカルラッティ
これも、オリジナルより先に、ギター二重奏を聴いたこともあり、ギター演奏の方が心地良く感じる。とくにL447は、すばらしい。

●ギターオリジナルの古典曲
古典から現代までの、ソル( 1778-1839)、カルリ、プティ、ロドリゴ、テデスコ(1895-1968)の曲が入っている。プレスティ自身の作曲の曲もある。
●エンカレッジメント/フェルナンド・ソル
これは、ギター二重奏としては名曲中の名曲と思います。解説では、オリジナルは先生と生徒のための二重奏だったのを対等な二重奏としたナポレオン・コストの編曲を使っている。濱田さんは、これを佳作と評価し、代表作は「ロシアの思い出」とか「二人の友」であると言っている。たしかに「ロシアの思い出」もとても美しい。エンカレッジメントは、大学1年の時に先輩のすばらしい演奏を聴いたこともあり、この演奏を聴くと大学時代が思い出されます。この先輩の二重奏は、ドビッシーの月の光やグラナドスのオリエンタルなんかも弾いていたと思います。みんなプレスティ&ラゴヤの二重奏に影響を受けていました。
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実は、これらのソルの二重奏の楽譜や、は、大学時代に購入していて、いつか私の身近な人と二重奏をやりたいと思っていたのですが、私も忙しさの中で20年近くギターを忘れ、身近な人は今でも(全く)忘れていて、夢はかなっていません。

●ギター編曲の近代曲
ファリア、グラナドス、アルベニスなどの編曲物が入っている。
●火祭りの踊り(スペイン舞曲第1番だったかも)/ファリア
この曲も大学時代によその大学の人の二重奏を聴いて、対応意識を持ちました。大学1年の発表の演奏に対して、この二重奏をやった一人から、「低音の消音が出来てない」と言われたことも対応意識を持ったことの原因です。なお、この人はその後プロになっています。まあ、コメントをもらうだけ、私も注目されたということで・・・(その言葉、その場面を覚えている私も執念深い)。ただ、その後、多少は消音には心掛けるようになりました。ギターでは、これが難しい。消音を考えなければ、ただ弾くだけで楽なのですが・・・。

・・・・ということで。
ギター二重奏の演奏会も聴いてみたい。でも、プレスティ&ラゴヤのような「キレとコク」がある演奏にめぐりあえるだろうか。