INAXギャラリーで「中山明日香展」、「松元久子展」を観た! | とんとん・にっき

INAXギャラリーで「中山明日香展」、「松元久子展」を観た!

INAXギャラリーで「中山明日香展」、「松元久子展」を観てきました。観に行ったのは、3月30日でした。今、元気なのは女性だけ、観た印象としては「女性パワー恐るべし」、でした。


「中山明日香展 ―empirical garden―」

中山明日香

1986年 兵庫県生まれ

2020年 京都市立芸術大学美術学部美術学科油絵専攻卒業

      京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻入学


展覧会詳細
中山明日香の作品は、室内と自然をモチーフに、ひとつの画面にイメージを幾重にも重ねた真昼のように明るい色調が印象的な油絵です。
「edible garden」では、明るいピンク、グリーン、ブルーの色彩が踊る庭に、落ち葉の上で焼かれるクリスマス・チキン、壁紙模様の塀や地面に置かれたテーブルウエアといった室内の風景が重ねられています。反転する色遣いやぺたりと平面的なマチエールが、だまし絵的な非現実感を強調し、日差しは明るいのにどこか怖い物語を見るものに想像させます。
中山の実家の庭をもとに描かれたこの作品には、父のつくったベンチやブランコ、落ち葉焚き、死んだペットを埋葬した同じ庭でバーベキューパーティをするという体験も含めて、動物をペットと食糧に分ける人間の基準を一方的だと感じた思い出も込められています。
祖母の死をきっかけに、人工的につくられる電照菊とお葬式のイメージを重ねた「ceremony for flower」や、家の中にいるように快適なアウトドア用品の矛盾から生まれた「Living with nature」など、いずれも作家自身が実際に体験した日常の不条理、違和感、不可思議が、明朗で清々しい色彩のうちに焙り出されるように表現された作品です。










「―陶 Crocodile Body― 松元久子展」

松元久子

1986年 東京生まれ

2010年 多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業

      東京芸術大学美術研究科彫刻専攻入学


展覧会詳細
松元久子は2010年、近代建築の旧フランス大使館にて開催された、ブランドショップに見立てた展示が、若い女性らしいファッション性と華やかさ、その迫力で注目を集めました。
松元久子の陶の作品は、「鰐」をモチーフとしています。鰐の動物としての強さ、表皮の質感、スタイリッシュな迫力にインスパイアされたことから始まり、次第に身近なファッションとしての鰐皮と結びつきます。ファッションブランドに対する憧れや違和感をテーマに、値段をタイトルにした鰐皮のハンドバッグや、履き口に鰐の頭をつけ、銃弾のように並べられた鮮やかなルージュ色の鱗ブーツ、頭から尾までの鰐が前身ごろの左右についた、鎖かたびらを思わせる緑の鱗で硬く覆われたコートは、陶という素材によって、独特の力強い存在感を放ちました。ブランド品を女性が闘うための戦闘服ととらえ、凶暴で美しい鰐の皮を剥いでまとうことと重ね合わせた作品です。
それから1年、今展の新作では、ブランドと鰐皮という外部にあった鎧が、人間の内面と一体化していくように、なまなましく変化しています。どこから肌でどこから鰐の鱗かわからない薄皮一枚をドレープのようにまとった肉体は、脱皮していく若い作家の今を表しているかのようです。







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