■いとこ煮(いとこに)

小豆などを煮た煮物料理で、各地に伝わる郷土料理の一つ。北陸地方(新潟県・富山県・石川県)のものと、山口県萩市周辺に伝わるものが知られている。

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材料を煮えにくいものから追々入れていくことから、「おいおい」を「甥甥」すなわちいとこにかけたものが語源の一つとされている。

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かぼちゃのいとこ煮

●北陸のいとこ煮

根菜類(ダイコン、ニンジン、サトイモ、ゴボウ)とコンニャク・油揚げなどを煮たものに、あらかじめ下ゆでした小豆を加えて、味噌や醤油などで味付けしたもの。暖かいものを食す。

浄土真宗の開祖で北陸に縁のある親鸞の命日である11月27日の前7日間に報恩講が営まれるが、その際の料理として必ず饗されるという。精進料理の一つといえる。

●萩のいとこ煮

萩のいとこ煮は上記とはかなり趣の異なる料理で、少量の醤油を加えた昆布の出汁で小豆を形をくずさないように甘く煮たものにかまぼこ・白玉だんご・シイタケなどを加えたもの。煮上がったものを冷まして食す。

主に冠婚葬祭の際の料理として饗される。一見すると「かまぼこやシイタケの入ったぜんざい」のような感じであるが甘みは少なく、デザートではなくあくまでも会席料理の一品である。


■おこうこのじゃこ煮(おこうこのじゃこに)

主に滋賀県、京都府に伝わる郷土料理。たくあんを煮るめずらしい料理。

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●概要

こうことは漬物の意味であるが、特にたくあんのことを指す。色が悪くなったり、漬かりすぎてすっぱくなったりしたたくあんを、削り節や煮干し(じゃこ)と一緒に煮た料理。何でもおいしく食べるための知恵から生まれた料理である。

●作り方

すっぱくなったたくあんを、水に漬け塩抜きする。

たくあんを鍋に入れ、かぶるくらいの水を注ぎ、煮立ったら火を弱める。ひと煮たちしたらザルにあげる。

鍋にたくあんを戻し、だし汁を浸る程度に注ぎ、だし汁が煮立ったらしょうゆ・酒・砂糖を加えて、コトコトと汁気がなくなるまで煮含める。


■がめ煮(がめに)

九州北部地方(主に福岡県旧筑前国、福岡県全域や佐賀県を含むこともある)の代表的な郷土料理。炒り鶏とも言われる。

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正月に食卓に並んだがめ煮(筑前煮)

●概要

博多の方言「がめくり込む」(「寄せ集める」などの意)が名前の由来と言われる。また、文禄の役の時に、朝鮮に出兵した兵士が当時「どぶがめ」と呼ばれていたスッポンとあり合せの材料を煮込んで食べたのが始まりと言われている。亀煮から「がめ煮」と名づけられたと言われている。

現在は、スッポンではなく鶏肉を使うのが普通である。正月料理や祝いの席での料理として作られるほど地元では欠かせない味となっており、水炊きとともに農山漁村の郷土料理百選に福岡県の郷土料理として選ばれている。2006年の総務省の家計調査では、鶏肉とゴボウの消費量は福岡市が全国1位となっており、がめ煮に使う事が影響していると考えられている[1]。 鶏肉の消費は2008年の同調査では大分市とわずかな差で全国2位となっている。農林水産省「畜産物流通調査」(2008年)より、福岡県の食鳥肉の年間出荷数は全国で 16位となっており、出荷量と消費量に関係はないとわかる。

●作り方

最初に具材を全て炒める。他府県の煮物との一番の違いはこの「最初に炒める」工程にあると言われる。 だし汁、シイタケの戻し汁、酒、醤油、味醂、砂糖を混ぜて鍋で煮立たせたところに、鶏肉を一口大に切ったものを入れてひと煮立ちさせる。その後、里芋、干し椎茸を戻したもの、蒟蒻、アクを抜いた牛蒡、蓮根、人参、茹で筍を一口大に切ったものなどを入れて野菜が柔らかくなるまで煮て出来上がり。煮あがったところにサヤエンドウを加えることもある。

●「がめ煮」と「筑前煮」

一般的に「筑前煮」は九州地方以外での呼称である。「筑前煮」の呼称は、公立の学校給食の普及により、郷土料理の一環として、全国に浸透した。家庭科の教科書では「鶏肉を炒りつけて煮る」ことから「炒り鶏(いりどり)」という名前で紹介されていることもある。

●その他

テレビドラマ『嫌われ松子の一生』 で主人公・松子(福岡県出身)が逃亡中、内縁の妻のように厄介になっていた理容店の主人・島津(同郷)に或る日作った。

福岡県久留米市出身の松田聖子や田中麗奈の好物でもある。

福岡県久留米市では、2006年10月に策定した久留米市食料・農業・農村基本計画において、がめ煮を調理することのできる市民の割合を2014年度までに65%とする目標を立てている。

陸上自衛隊の戦闘糧食に筑前煮が支給されることがある。

長崎県大村市ではピーナッツを入れて食べる習慣がある。

●参考文献

朝日新聞 2007年12月14日付 朝刊、福岡地方面、P.27


■治部煮(じぶに)

石川県金沢市の代表的な郷土料理。

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治部煮

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治部煮丼 どんぶり飯の上に治部煮をかけたもの

●概要

鴨肉(もしくは鶏肉)をそぎ切りにして小麦粉をまぶし、だし汁に醤油、砂糖、みりん、酒をあわせたもので鴨肉、麩(金沢特産の「すだれ麩」)、しいたけ、青菜(せりなど)を煮てできる。肉にまぶした粉がうまみを閉じ込めると同時に汁にとろみをつける。薬味はわさびを使う。本来は小鳥を用いるとされ、その際は丸ごとすり潰してひき肉状にし、これをつくねのように固めたものを煮立てたという。

●歴史

本来の『じぶ』は「カモ肉を鍋に張った汁(醤油、たまり、煎り酒などを混ぜる)を付けながら鍋肌で焼き、汁を張った椀に5切れほど盛ってワサビを添えて出す料理」で、カモの鍋焼きのことだった。これとは別に「ガン・カモ・白鳥などの肉をそぎ切りにし、麦の粉を付けて濃い醤油味の汁で煮、ワサビを添える」という『麦鳥(むぎどり)』と呼ばれる料理があり、これが誤って『じゅぶ』と呼ばれたため、後者のほうが『じぶ』として伝わることになった。

加賀藩前田家に仕えた料理人の舟木伝内が備忘録として書いた『料理の栞』(東京都立中央図書館加賀文庫所蔵)による。筑波大学綿貫豊明教授らの研究で明らかになった。
高山右近が加賀にいた折に伝えた欧風料理だともされる。 なお、『じぶ』の名前の由来は

豊臣秀吉の兵糧奉行だった岡部治部右衛門が朝鮮から持ち込んだことに因んで呼ばれた。

材料を『じぶじぶ』と煎りつけるようにして作ることから呼ばれた。

野生の鴨肉を使うことから、フランス料理のジビエから変化した。

など諸説あるが本当の由来は定かでない。


■たくあんの煮物(たくあんのにもの)

日本の郷土料理。京都府、滋賀県、福井県、石川県、富山県などに分布する。

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贅沢煮(滋賀)

●概要

古沢庵漬けを出汁や醤油などで煮付け、仕上げに唐辛子などを散らしたもの。酒のつまみやご飯のおかず、茶漬けの付け合わせとして、温かいまま、または冷やしたものを食べる。主に夏から秋にかけての料理である。

地域や家庭によって「たくあんの煮たの」、「たくあんの炊いたん」、「贅沢煮」(そのままでも食べられるのにわざわざ一手間をかける点が「贅沢」)、「ふるさと煮」、「大名煮(京都)」、「おもくじ(石川)」、「いりこぐ・いりごき(富山)」など様々な異称がある。「たくあんの煮たの」などは初めて聞くものには違和感を抱かせる呼称だが、いずれも地域に根づいたれっきとした固有の料理名である。

単なる家庭の味に留まらず、漬物店やスーパーマーケットの惣菜コーナーなどで市販されている場合もある。

●調理方法

それぞれの家庭の味があるが、ここでは福井県での作り方の一例を示す。

2~3mmの厚さで輪切りにした古沢庵と水をボウルに入れ、30分程度置いた後、水を捨てる。

鍋に移し水を入れ、沢庵が柔らかくなるまで煮る。途中で何度か水を取り替える。
煮る際は強い臭いがするので、しっかり換気すること。

沢庵が柔らかくなったら水を捨て、出汁・醤油・油(胡麻油)大さじ1程度を加えて煮る。

沢庵に醤油味が付いたら火を止め、皿に盛って白胡麻(ひねり胡麻)と輪切りにした赤唐辛子を散らす。

●リンク

煮たくあん | 北陸の郷土食

http://hokuriku.biz/local-foods/%E7%85%AE%E3%81%9F%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%93.html

たくあんを煮る 食べ物新日本奇行(日経電子版)

http://waga.nikkei.co.jp/play/kiko.aspx?i=MMWAa1002010032009

たくあんの大名煮 お漬物おすすめレシピ

http://www.tukeru.com/tukemono/recipe_50372.htm

たくあんの贅沢煮 レシピ情報(Yahoo! グルメ)

http://recipe.gourmet.yahoo.co.jp/C000748/


■土佐煮(とさに)

煮物の一種である。土佐名物である鰹節を削ったものを野菜などとともに醤油で煮込んだ料理。

●概要

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筍の土佐煮

筑前煮など、ほかの煮物にも鰹節を出汁のひとつとして使うものは多いが、土佐煮では鰹節の濃厚な味を生かしたり、具材の一部として使う特徴がある。土佐酢などと同様、鰹節を用いることから鰹で有名な土佐(現高知県)の名を用いる。高知県下に限らず、日本各地でこの手法や名称の料理が作られている。

タケノコのものがよく知られているが、ゴボウやフキなどでも作られる。一般に、あまり甘味を加えずに、醤油と鰹節の風味を生かした煮方で作られることが多い。

●地中物

タケノコ
フキ
レンコン
ゴボウ
ニンジン
サトイモ

●魚介類

イワシ
サンマ
アユ
カキ

●その他

こんにゃく(単品および上記のものとあわせることも多い)
豚肉(単品では使用せずに上記のものとあわせるのが普通)
鶏肉(単品では使用せずに上記のものとあわせるのが普通)
使用する調味料
かつおぶし(必ず使用する、食材の一部ともされる)
みりん(だしに10パーセントから15パーセントの間で好みによって増減する)
しょうゆ(一般的には濃口、料亭や食事処では薄口を使用することが多い)
鷹の爪(好みによる)
木の芽(好みによる)


■煮ごめ(にごめ)

広島県の広島湾沿岸~芸北地域で作られる郷土料理を指す。後述する如く精進料理の一つでもある。

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●概要

野菜の煮物で、必ず小豆が入っている。他の地域ではいとこ煮とか煮入れとも呼ばれる(ただし隣県の山口県では「いとこ煮」というと別の食べ物になる)。

親鸞の命日である1月15日(御逮夜・おたんや)前後の3日間にわたって食べる。

これを食べて、体が温まったところで寺へお参りに行くのが安芸門徒(安芸地方を中心とする浄土真宗本願寺派の信徒)の習わしであった。

このような宗教的理由から、肉や魚介類などのいわゆる「生臭もの」は使わない。

●作り方

材料は小豆、大根、人参、蓮根、里芋、ゴボウ、厚揚げ、干し椎茸、蒟蒻。

調味料は昆布で出汁を取り、砂糖、塩、醤油で味を調える。また、干し椎茸の戻し汁は出汁に加える。

小豆以外の材料は1cm角程度に切り、厚揚げは熱湯にくぐらせて油抜きをする。これらの材料をさっと下ゆでする。

小豆は一晩水に漬けておいて、一旦茹でて柔らかくする。小豆の量は他の野菜の半分程度がベスト。

大鍋に昆布出汁、干し椎茸の戻し汁を加えて、材料を煮込み、先述の調味料で味を調える。家によっては、味噌仕立てにするところもある。

●その他

食べていく内に、具が残り少なくなると、焼いた餅を入れて食べる地方もある。

●リンク

煮ごめづくり(安芸高田市HP)

http://www.akitakata.jp/site/page/machi/activity/sakaue/katudou4/nigomedukuri/


■煮しめ(にしめ)

煮る調理法のひとつを用いて調理された料理。日本の代表的な家庭料理の一つでもある。

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●概要

根菜類や芋類、こんにゃく、昆布、油揚げなどを甘辛く煮たものをこう呼ぶことが多いが、煮しめにされる具材はその地方や季節でさまざまであり、肉類、ちくわやかまぼこなどの水産練り製品(いわゆる練り物)、地域によっては魚も用いられ、味付けもさまざまである。日常の食事において供されるほか、お盆や正月、節句や祭りなどの、人が多く参集する際のふるまい・もてなし料理としても供される。こういったことからいわゆる「お袋の味」のひとつとされることも多い。

煮汁が残らないように時間をかけてじっくり煮る調理法を「煮しめる」というが、これが転じてそのように料理されるものを「煮しめ」と称する。「煮染め(にしめ)」「煮締め」「お煮しめ」などとも言う。

なお、染物にも「煮染め」といわれる技法があるが、こちらは「にぞめ」と読むことが多く、染色液が残らないほど煮るわけではない。

●煮しめの作り方(小煮しめ)

一例として、福井県の郷土料理である「小煮しめ(こにしめ)」を挙げる。

冬場はやや日持ちするので、大なべで多めに作るのが通例。時間が経つと最後には具が多少溶けて、汁と絡まってどろどろになる。ご飯の上に掛けて食べることもある。

厚揚げ、干し椎茸、にんじん、こんにゃく、たけのこ、結んだこぶ、サトイモ、大根などを煮ても壊れない程度でサイコロ状に切る。

たっぷりのだし汁に具を入れ、味付けに醤油、砂糖、みりん、お酒などで味付けをする。


■煮びたし(にびたし)

野菜や魚を出汁で煮る料理。出し汁も一緒に盛りつけることが多い。おひたしまたは含め煮の一種。

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小松菜と油揚げの煮浸し

●煮びたしの材料の例

小松菜、チンゲンサイ、水菜などの葉物野菜(いずれも火を通しすぎると食感が損なわれ色も悪くなるので、煮すぎないように気を付ける)

ホウレンソウはもともと歯ごたえのある野菜ではないので、煮びたしにはあまり向かない。用いる場合は、生食用以外は生の状態ではシュウ酸を含むため、下茹でが必要。

クレソンのように強い芳香を持つ野菜はあまり用いない。

もやし
ナス(皮を剥く)

ナスの場合、皮付きのまま素揚げしてつゆに浸した物を「煮びたし」と呼ぶ場合がある。
鮎(軽く素焼きした鮎を煮汁をたっぷり含むように煮る。梅干しを加えることもある。)
他にフナ、アジ等もあるが近年ではあまり見られない

これらを単品または、油揚げや厚揚げ、干しエビなどとともに、薄めに味付けした出汁で煮る。

●煮物との違い

煮物と煮びたしは「出汁で煮る」という点で共通するが、以下の点で異なる。

長時間煮込まず、野菜の食感が残るように仕上げる。

従って、大根のように味をじっくり含ませるタイプの野菜は用いない。

味付けは多くの場合、薄い。


■のっぺ

日本の郷土料理のひとつ。「のっぺい汁」とは異なる。

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新潟市の"のっぺ"

●概要

短冊もしくは小さく角切りにしたサトイモを主とし、鶏肉、ニンジン、ゴボウ、油揚げ、イクラ、貝柱、キノコ、銀杏、筍等を加えた煮物。冷たい状態で食べるが、温めてもよい。サトイモによって「とろみ」が自然につくため、片栗粉やデンプンは必須ではない。

●地域

新潟県や奈良県のものが有名である。いわゆる家庭料理であるため、地域や家庭により食材や食材切り方が大きく異なる。

●リンク

新潟ふるさと味のレシピ|言わずと知れた新潟の味、のっぺ

http://www.city.niigata.jp/info/shoku_hana/recipe/04/index.html


■ぶり大根(ぶりだいこん)

ブリのアラを大根と一緒に醤油で煮たもの。ブリに脂が乗ってくる季節である「冬の料理」。ポピュラーであり日本全国で食べられる。富山県の郷土料理。福井県の郷土料理としても紹介されることもある。

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●作り方(一例)

ブリのうろこを取り、熱湯をかけ、冷水にさらして血合いを抜く。

大根は輪切りにして皮をむき、米のとぎ汁で一時間ほど下茹でする。

ブリと大根、薄切り生姜を鍋に入れ、醤油、みりん、砂糖を適量入れて大根に色が染みるまで煮る。

他にも、大根の下茹でをしないもの、電子レンジで加熱して下茹での代わりにするもの、ブリに塩を振って臭みを抜くもの、熱湯で下茹でするものなど、細かい作り方は多種多様である。

●リンク

パナソニック 人気郷土料理レシピ

http://panasonic.jp/cooking/ih_heater/local_recipe/buri.html

これこそまさに冬の味 ブリ大根 - [男の料理]All About

http://allabout.co.jp/gm/gc/60102/


■風呂吹き大根(ふろふきだいこん)

大根を柔らかくゆで、練り味噌などをつけて食べる料理。かぶ、冬瓜などで作られることもあり、その際は単に風呂吹きと呼ばれる。

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●名前の由来

名前の由来には諸説あり、一説によると、漆器職人が冬になると漆の乾きが悪くて困っていたところ、ある僧から風呂(漆器の貯蔵室のこと)に大根のゆで汁を吹き込み、そこで乾かすとよいと教えられ、その通りにするとうまくいった。この時、大量のゆで汁を取るため、ゆでた大根も大量に余ったので近所に配った。すると、これがおいしいと評判になり、風呂にゆで汁を吹き込んだ残りの大根であることから、「風呂吹き大根」の名前が生まれた、というもの。

ただし「風呂」とは本来、蒸風呂のことを指し、蒸気を満たした「室(むろ)」が語源であることを考えると、上の説は前後が逆転している。もともと漆器の乾燥室である風呂に湿気を与えるために沸かす湯が勿体ないため、大根を茹でるのに使った――という説のほうが信憑性は高い。

●作り方

大根は厚さ4cmほどに切って皮を剥き、面取りをする。その後、米の研ぎ汁(なければひと握りの米粒)と一緒に下ゆでをしておくと、きれいな白色に仕上げることができる。
鍋の底に昆布を敷き、その上に大根を乗せてたっぷりの水を注ぎ、大根が柔らかくなるまでゆっくり煮る。

よく煮えた大根に、用意しておいた味噌だれなどをつけて食べる。残った昆布や出し汁は、そのまま食したり他の料理に転用してもよい。


■若竹煮(わかたけに)

日本の煮物料理のひとつ。主に、新タケノコの収穫される春に食される。

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●作り方

下茹でしたタケノコを一口大に切り、出汁、醤油、味醂、日本酒、砂糖、食塩などで作った調味液でゆっくりと煮て、煮あがったら取り出す。残った調味液に一口大に切ったワカメを加えて強火でさっと煮る。なお、ワカメは煮すぎると溶けてしまうことがある。

器にタケノコとワカメを盛って、煮汁をはり、木の芽(山椒の若葉)を添える。

●その他

春に収穫される新タケノコと新ワカメは「春先の出会い物」といわれ、煮物や汁物としてよく組み合わせて使われる。


■わっぱ煮(わっぱに)

新潟県粟島に伝わる名物料理である。

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作り方は、曲げわっぱ(木の板でできた器)の中に新鮮な焼いた魚、ねぎ、味噌、水を入れ、よく熱した石を入れる。

石の熱でわっぱの中は煮えたぎり、調理完了となる。

粟島の民宿などでは、朝食に出てくることもある。


■煮こごり(煮凝り、にこごり)

ゼラチン質の多い魚や肉などの煮汁が冷えてゼリー状に固まったもの。この煮汁がゲル化する性質を利用して、煮込んだ材料ごと冷し固めた料理のことも指す。地域によってはこごり、こうごり、こんごりなどとも呼ばれる。

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皿に盛った魚(サワラ)の切り身の醤油煮にできた醤油色の「煮こごり」、冷蔵庫内の温度摂氏+8°Cで保存してできたもの。

●概要

ゼラチンは、魚や家畜の皮などを水で煮詰めてから冷やし、さらに乾燥して作られるが、それ自体は特に味を持たない料理素材、もしくは工業原料である。一方、「煮こごり」は、魚や肉を煮て調理した際に出た残り汁が冷えて固まった料理の副産物で、成分にゼラチンが含まれているのは同じであるが、調理の段階で使用された調味料の味や素材の風味が凝縮されているため、濃厚なうまみがある点が異なり、それが独立した料理としても扱われる場合もある。また、料理用のゼラチンを出汁に煮溶かし、これを冷やして煮こごり風に作ることも行われている。

煮た魚など素材の種類にもよるが、放置する場所が寒いなど、条件があえば冷蔵庫に入れなくても煮こごりは自然に作られる。特に冬期や寒冷地では魚の煮汁が煮こごりとなるのは日常的である。

煮こごりのゼラチンは加熱によって融解するため、そのまま鍋に入れて煮溶かし、熱いうちに調味料として利用したり、あるいは熱い食材にのせて融かしたりする。日本では熱いご飯の上に載せたりする丼物(丼に白米と共に盛り付けた料理)などがみられる。

2009年2月22日に神戸市須磨区で行われた須磨発B級グルメ発掘グランプリで地アナゴの煮こごりを載せた『須磨丼』が優勝した。

●和食

和食では主に魚を用いて作られ、代表的な箸休めや酒肴などのひとつとなっている。
フグやヒラメなどの身や皮を適当な大きさに切り、醤油や酒、ショウガなどでつくった煮汁で煮詰め、煮汁ごと型に流して冷す。冷却に伴って自然にゼリー状の塊になったものを適当な大きさに切り、器に盛って供する。ぷるぷるとしたゼリー部と内包された皮や身の食感の違いが面白く、また体温でゼラチン質が溶けることにより口中で旨味が広がる料理である。

なおエイは日本において余り積極的に食べられない海産物であるが、北海道には「エイの煮こごり」という料理が存在し、独特の風味を持った郷土料理として親しまれている(→アカエイ)。

他に牛肉、豚肉、鶏肉などの畜肉で作られるものもあり、日本でも食肉生産に縁の深い被差別部落では伝統食とされている例がある。特に、豚足や鶏の手羽先などの煮物を作ると、煮汁が煮こごりとなるのが普通である。

●フランス料理

フランス料理では「アスピック (Aspic) 」と呼ばれる。現在は意図的にゼラチンをスープで煮て、ハム、野菜などを入れ、冷やし固めることが多い。

●中華料理

中華料理では「滷凍(ルードン lǔdòng)」などと呼ばれる。江蘇料理の「肴肉」(ヤオロウ yáoròu)という豚肉の煮こごり料理、山東料理の「肴驢肉」(ヤオリューロウ yáolǘròu)というロバ肉の煮こごり、福建料理の「土筍凍」(トゥースンドン tŭsŭn dòng)というサメハダホシムシ類の煮こごりなどは名物の郷土料理となっている。

●エストニア料理

エストニアでは豚モモ肉・豚足・たまねぎ・にんじん・ローリエを鍋へ入れ長時間煮込み、ザルに上げスープと肉を分け、モモ肉を細かく刻みスープへ入れ塩を振りかけ煮込み、器へ移動し一晩寝かせ完成となる「スルトゥ」という料理がある。


■蒸し煮(むしに)、ブレイズ(仏: braiseより)

水分の有無両方を組み合わせた加熱調理法である。最初に食材を高温で焼き目を付け、鍋で煮詰めて仕上げて風味をつける。肉の蒸し煮は「ポットロースト」 (pot roast) とも呼ばれるが、水分を加えるか否かで区別をする専門家もいる。

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牛ほほ肉の八角と醤油での蒸し煮

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豚スペアリブの蒸し煮カラシナ添え

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ベビーアーティチョークの蒸し煮

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ポットロースト

●方式

蒸し煮は、加熱、時間、および水分により肉のコラーゲン結合組織を分解する調理法であり、固い肉の料理に適している。コッコーヴァンなどの多くの伝統的な蒸し煮料理は、固くて食べにくい食材の調理法として考案された。加圧調理やスロークッカー (Slow cooker) は蒸し煮の方式である。

●調理手順

蒸し煮のほとんどは同一の基本的な手順に従う。蒸し煮する食材(肉、家禽だけでなく野菜やキノコも)の表面を焼いて風味を引き立たせる。食材自身から十分な水分が得られない場合は、小量の水分を鍋にストック (Stock (food)) と共に加える。水分にはトマト、ビール、ワインなど、酸を含むものが多い。料理は肉がフォークで切れるほど柔らかくなるまで、とろ火で煮る。煮汁でソースやグレイビーを作る場合が多い。

水分を多く含む食材(特に野菜)は、追加の水分を加えることなく調理できる。

蒸し煮に成功すると調理する食材の風味と煮汁が混ざり合う。この調理法は肉のコラーゲンからゼラチンを煮汁に溶かし出し、豊かな味とコクを加える。蒸し煮は、固く安価な肉を食材に使えるため経済的であり、1つの鍋で全ての調理ができるため効率的である。

●バーベキュー・ブレイズ

グリルの上に置いた鍋で肉をブレイズすることができる。ガスまたは電気グリルが、表面を直にグリルして鍋でブレイズする「バーベキュー・ブレイズ」に最適である。グリルでブレイズするには、グリルの上に鍋を置いて蓋をし、数時間煮込む。バーベキュー・ブレイズには2つの利点がある。第一に、この料理法ではブレイズの前にグリルで直接肉に焼き目をつけることができる。第二に、肉にソースで照りを付け、ブレイズの後に直火で仕上げることができる。効率的に3回肉を調理することにより、骨から落ちるほど柔らかく肉を調理できる。

●蒸し煮料理

特になじみの蒸し煮料理には、ポットロースト、シチュー、スイスステーキ (Swiss steak) 、カッチャトーレ (Cacciatore) 、グヤーシュ、カルボナード、コッコーヴァン、ザウアーブラーテン、ブッフ・ブルギニョン (Beef bourguignon) 、モロッコのタジン鍋がある。蒸し煮はアジアの料理で広く、特に中華料理で用いられ、煮汁として醤油が使用される。

●脚注


“Pot-Roasting”. Food Resource. College of Health and Human Sciences, Oregon State University.

http://food.oregonstate.edu/glossary/p/potroasting.html

“Braise”. Food Resource. College of Health and Human Sciences, Oregon State University.

http://en.wikipedia.org/wiki/Bill_Buford

Buford, Bill (2006). Heat. New York, NY, USA: Alfred A. Knopf, 70–75. ISBN 978-1400041206.

http://en.wikipedia.org/wiki/Bill_Buford

Colicchio, Tom (2000). Think Like a Chef. Clarkson-Potter, 52–63. ISBN 978-0609604854.

http://en.wikipedia.org/wiki/Tom_Colicchio

[French edition published 1984] (1988) Larousse Gastronomique, English, Paul Hamlyn, p. 133. ISBN 0-600-32390-0.

http://en.wikipedia.org/wiki/Larousse_Gastronomique

A New Way to Grill: Barbecue-Braising - Fine Cooking Article

http://www.finecooking.com/articles/how-to/barbecue-braising.aspx?

Tropp, Barbara (1996). The Modern Art of Chinese Cooking. William Morrow Cookbooks. ISBN 978-0688146115.

http://en.wikipedia.org/wiki/Barbara_Tropp


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