アトラスオオカブト Chalcosoma atlas | 昆虫漂流記

昆虫漂流記

西日本を中心に昆虫を追いかけています。✌
東へ西へ、過去に未来に昆虫求めて漂流していますが、
近年は、昆虫だけにとらわれず、自然全体から、
観察する眼を持ちたいと思いますのでよろしくお願いします。

アトラスオオカブトムシ
Chalcosoma atlas(カルコソマ アトラス)

 

 

アトラスオオカブト

フィリピン ミンダナオ島産
Chalcosoma atlas hesperus

 

アトラスオオカブト

インドネシア系アトラス
スマトラ島、ボルネオ島
Chalcosoma atlas keyboh

 

 

カルコソマ属では一番広範囲に生息している種類がこのアトラスで、
インドからインドシナ半島、フィリピンからスマトラ周辺までが生息地と考えられています。

(ジャワ島は生息が不明)

 

広範囲に生息しているが故に各地にて7亜種に分類されていますが、
国内で流通している多くの種類は数亜種だけだと思います。
ちなみに原名亜種はスラウェシ島とその周辺になりますが、
原名亜種、ペレン亜種、インド亜種等はクワガタ等の甲虫は多数流通していますが、
アトラスについてはそんなに目にしませんね?カッコイイのにどうして?
勿論、離島亜種等の胸角が伸びない亜種は人気が無いのも理解出来ます。

 

身近なホームセンター等の量販店でも手に入るアトラスオオカブトは、

現地で低標高で気温も暑い地域に生息している為に日本での飼育も容易に可能です。
身近になりすぎた為なのか、小中学生の夏休みの科学作品展を覗くと並んでいる昆虫採集の標本に

アトラスが並べられるのには私としては若干戸惑いがあります。
買った昆虫より、身近な普通種を探してみようよ!
で~も!!放虫される事例やゲームばかりで昆虫嫌いの子供が多くなる事より良いのかな~!
最近は昆虫を追いかける子供達が絶滅危惧種と云われて標本を作る子供が減ったのでね。

 

さーて!今回は皆さんもよ~く知ってる種類なので、これで終了~!!
それじゃあ!ダメかな?!!
少しだけ写真と共に!

 

 


まずは

ミンダナオアトラス
最近はフィリピン亜種と呼ばれるらしい。

Mindanao I. Philippines 1999年

同上個体

同上個体


ミンダナオ産はサイズも大きく、胸角も綺麗に湾曲する。
アトラスが大型化するのは競争相手の大型カルコソマ属(コーカサスやモーレンカンプ)が

居ない為と云われています。
(ちなみに大陸系の亜種でもこのように胸角が湾曲する傾向が強いです)

 

 


次がインドネシアの亜種の内で

スマトラアトラス

Sumatra I. Indonesia 1999年

同上個体

同上個体

 

Sumatra I. Indonesia  Septembet-2000

同上個体

同上個体


最近はネシアアトラスと呼ばれるらしい。
一番価格が安くて、量販店で大量に出回る亜種ですね。

 

そして

ボルネオアトラス

Kalimantan E. Borneo (kalimantan Barat) Indonesia  2003年

(カリマンタン島(ボルネオ島)西カリマンタン州)

同上個体

同上個体


スマトラアトラスとは同亜種になります。
こちらの産地の方が出回る数も少なくスマートに見える。
でも混ざってしまうと判別は無理だろうな~!

 

 

 

胸角の変異は


スマトラ産は平行に伸び直線的もしくは外側に広がる傾向。
ボルネオ産は平行に伸びるが内側に捻じれる傾向もある。

 

 

最後はアトラスとコーカサスの雌の判別方法です。
まず必要なのは、ルーペです。
昆虫の種の同定、特に雌には必要な道具ですね。

同サイズのアトラスとコーカサスを見分ける際に参考になると思います。


ジャワ島、スラウェシ島の各島では、

コーカサスもしくはアトラスのどちらか片方しか生息してないと云われますので、

見分ける必要はありません。


ボルネオではモーレンカンプとの同定が必要ですが、

コーカサスは見つかっていないので心配は無いです。


問題はスマトラ島ですよね。
アトラス、コーカサスのどちらの各種類も沢山生息していますので、

こんな方法で見分けて下さい。
微妙な差ですが、参考には出来る方法だと思います。

 

さて、今回は此の辺りで打ち切りたいと思います。
今や普通種の頂点となったアトラスオオカブトですが、
簡単には手元に入らない亜種も存在するカブトムシですね。

 

なお

以前よりインドネシア某所の幾つかの昆虫取扱い収集業者で、

逃げ出した他産地の脱走昆虫が野外で散歩している話も耳にしていますが

それらの雑種、混雑亜種については考えないものとして書いています。