今朝受信した twitter 記事にちょっと気になる表現がありました。"The Delta variant is believed to be the most transmissible variant yet." の最後の "yet" です。

 

 

否定文では 「まだ(~ない)」、疑問文では 「もう(~したの)」 という意味になる "yet" が肯定文で使われている事例です。ジーニアス英和辞典では、肯定文における "yet" を次のように説明しています。

 

❹ まだ、依然として、今[その時]なお 《◆ still の方がふつう》

 

従って上記の文は、「デルタ株は "現段階では" 最強の感染力を持つと考えられている」 という意味なのでしょう。含みとして、将来はそうでなくなる可能性がある、というニュアンスを感じます。これは否定文における "yet" も同様で、いずれ起きるだろうが今のところは 「まだ(~ない)」、という逆方向の含意を見ることができます。

 

この yet が持つ "未来との暗黙の関係性" とでもいうべき性格は、"have[be] yet to do" という表現にも投影されているのかもしれません。

 

・We have yet to get a message from him

  彼からまだメッセージを受け取っていない。

・The best is yet to come. 

  お楽しみはこれからだ。

 

肯定文における "yet" と "未来志向" といわれる to-不定詞の組み合わせ(=今のところはまだ未来の状況である)が "現状否定" の意味を生み出すメカニズムが絶妙です。