梶芽衣子の映画 「女囚701号/さそり」 梶芽衣子の代表作「女囚・さそり」シリーズ第1作! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「女囚701号/さそり」 

 

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「女囚701号/さそり」 予告編

 

1972年8月25日公開。

梶芽衣子の代表作となった「女囚さそり」シリーズ第1作。

配給収入:不明。

 

脚本:神波史男、松田寛夫

監督:伊藤俊也

 

キャスト:

松島ナミ(囚人番号は701号)
演 - 梶芽衣子
一般女囚。刑務所では周りから『マツ』と呼ばれている。3年前までは平凡な女性だったが、逮捕後は冷たい鋭い目と少ない口数、及び強い精神力で刑務所生活を送る。かなりの忍耐力があり弱音を吐かないその態度から女囚や看守の大多数から敵視されている。刑務所では数少ない味方のユキ、梨恵とお互いに気丈に支え合っている。自身の恋人だった杉見に対しては、愛していた分だけ裏切られた恨みは凄まじく、復讐心に燃える。

ナミが恨みを持つ相手

杉見次雄
演 - 夏八木勲
警視庁の刑事。ナミの元恋人。かなり自己中心的で狡猾な性格で自分の利益のためなら利用できるものは何でも利用する。3年前に麻薬取締法違反でヤクザ組織の数人の組員を逮捕するという手柄を立てて出世コースに乗る。ただし、この逮捕では組員に婦女暴行の罪も被せるため、予めナミが襲われるのを予想して組織が経営するクラブに彼女を侵入させている。3年前の裏切り行為直後、包丁を持ったナミに襲われている。
海津敏
演 - 伊達三郎
海津興行の社長。3年前に杉見と裏取引をして組織の邪魔な連中を麻薬取締法違反とナミへの婦女暴行で追いやり、その後自身は現在の地位を得る。3年前にナミが逮捕された時に自身と杉見が裏取引したことを彼女が一切喋らなかったことから、法の裁きではなく彼女自身の手で復讐するつもりかもしれないと怯えている。
竹中
演 - 日尾孝司
海津の幹部。クラブに潜入したナミを警察のスパイと知って強姦する。後に脱獄したナミに回転扉で殺害される。
保利
演 - 藤山浩二
海津の幹部。クラブに潜入したナミを警察のスパイと知って強姦する。後に脱獄したナミに立体駐車場で殺害される。

一般女囚たち

木田由起子
演 - 渡辺やよい
ナミの味方の1人。ナミからは『ユキ』と呼ばれている。冒頭ではナミと2人で脱獄を図るも失敗。ナミとは、身振り手振りや目の表情で意思疎通を図っているが、言葉は話せないものの作中の味噌汁をかけられるシーンでは声を出している。ナミとは互いに心が通じ合う姉妹のような間柄でお互いに気にかけている。
進藤梨恵
演 - 扇ひろ子
ナミの味方の1人。班長グループを恐れることなく彼女たちと張り合う。壺振りの経験が豊富でイカサマを見抜くのも得意。またとっさの判断力や観察力に優れており、ケンカも強い。ナミと似たような一匹狼的な行動をすることが多いが、彼女とは違い看守から睨まれてはおらず一般女囚からも一目置かれた存在。
大塚
演 - 根岸明美
一般女囚のリーダー的存在。政木たちと丁半遊びをするがこれまでに班長グループに貸しがあり、賭けるものがなくて困る。暴動のシーンでは、自身がリーダーとなり看守から奪ったライフル銃を手に、女囚たちと団結して郷田たちに対抗する。
鬼頭
演 - 片山由美子
作中でナミが独房に2度目に入れられた時に、同じ房に収監された新人の女囚。前科5犯。レズビアンらしき人物。初対面ながらナミに親しげに接するが実の正体は所長の郷田がナミの秘密を探る為に潜入させた着任したばかりの女看守である。

班長グループの女囚たち

片桐
演 - 横山リエ
班長グループのリーダー。5人いる班長クラスの女囚の統率し、一般女囚たちを従わせる。過去に海津の所で違法薬物の運び屋をしていたことがあるため彼とは顔なじみ。日頃からナミのことを良く思っておらずその後杉見から暗殺を命じられて、事あるごとに彼女に危害を加える機会をうかがう。
井棟
演 - 三戸部スエ
独房に入ったナミとユキの食事の配膳係を任されている。ただしナミとユキの食事を地面に撒いて犬のように食べることを命令したり、味噌汁を体にかけるなどの嫌がらせを行う。
政木
演 - 三原葉子
作業時間中にも関わらず(看守がいないのか裏で便宜を図ってもらったのかは不明)、仕事をサボって数人の女囚たちで丁半遊びをする。その後ある一般女囚を貶めようとするが逆にナミにしてやられる。

刑務所の主な看守たち

郷田毅
演 - 渡辺文雄
所長。女囚たちを厳しく管理し、従わせるためには暴力も辞さない。国から囚人を預かるという責務に誇りを持っているが、実直な性格ではなく強い隠蔽体質を持つ。刑務所内で起こる騒動やトラブルは全てナミが裏で手を引いていると疑い、色々な手を使って彼女に自白させようとする。
沖崎
演 - 室田日出男
看守長。刑務所内で郷田の次に権力を持つ人物。郷田の命令を他の看守たちに伝えて指示したり、女囚たちの日常の行動に目を光らせて指導する。メガネを掛けている。懲罰房に入ったナミに他の看守と共にリンチにかける。
古谷
演 - 堀田真三
副看守長。沖崎と共に刑務所内で暮らす女囚たちに厳しく対応する。サングラスをかけて、口ひげを生やしている。ライフル銃の扱いに長けており、女囚たちが逃げ出したり暴動を起こした時に使用している。
曽我
演 - 沼田曜一
“閻魔落とし”でナミをいたぶる看守。ナミへの執拗ないたぶりに怒りをこみ上げた木田にシャベルで頭を殴られて死亡。これが暴動のきっかけとなる。
別荘番
演 - 加村赳雄
海津の子飼い。松島ナミの動静を逐一報告する。
人質になる看守
演 - 小林稔侍、たこ八郎、三重街恒二
暴動を起こした女囚たちの人質になり、強引に体の関係を持たれてしまう(逆レイプのような状態になっている)。

あらすじ:

Y県女子刑務所。けたたましく鳴り響くサイレン、女囚二人が脱走を企だてた。

松島ナミ(梶芽衣子)、木田由紀子(渡辺やよい)である。

しかし、刑務所々長・郷田(渡辺文雄)らの必死の追跡で、脱走は失敗に終る。

捕われた二人はイモ虫のように手足を縛られ、懲罰房へ入れられた。

身動きのできない状態でナミは過去に思いを巡らせる。

ナミには麻薬取締りの刑事・杉見(夏八木勲)という恋人かいた。

ある時、杉見はナミを麻薬捜査の囮として使い、強姦させたあげく、自分はその現場に乗り込み麻薬を押収する。

その上、その麻薬をネタに麻薬組織、海津興行に寝返ったのである。

杉見の愛を信じていたナミにとってこの裏切りは許せなかった。

翌日、杉見を襲うが致命傷には到らず、その場で逮捕された。

“復讐”に燃えるナミは刑務所内でも異質な存在で、皆から反感を買っていた。

ただ、口の不自由な木田由起子だけがナミを慕っていた。

ナミと由起子が懲罰房から解放された頃、新入りとして進藤梨恵(扇ひろ子)が入所して来た。

梨恵もナミ同様、他の女囚たちと肌が合わずに対立した。

ある日、梨恵は片桐(横山リエ)らの企みで無実の罪を着せられそうになるが、ナミの機転で救われ、以来ナミに好意を持つようになる。

しかし、この事件で梨恵の替りに罪を着せられた政木(三原葉子)が逆上し、郷田の眼をガラスの破片で刺してしまった。

怒った郷田は全員に穴掘り作業を命じた。

ナミは“閻魔おとし”を課せられた。

“閻魔おとし”とは囚人たちが最も恐れている穴掘り作業で、一つの穴を掘っては埋め、埋めては掘るという刑罰である。

疲労の極に達したナミに同情した由起子が看守を襲い、それをきっかけに、日頃看守たちに虐待を受けていた女囚たちの憎悪が爆発、暴動を起こして倉庫に立てこもる。

しかし、この暴動の際に由起子が射殺された。

そして、ナミは由起子から片桐が自分の命を狙っていることを知らされる。

杉見の手がここまで延びていることを知り、愕然とするナミ。

片桐はナミを裏切り者扱いにし、他の女囚らを煽動してナミに凄絶なリンチを加える。

しかし、ナミは逆に片桐の企みを暴き、片桐こそ裏切り者だということを明らかにする。

一方、郷田らは食事の差し入れと偽り、一挙に倉庫になだれ込み、全員を逮捕するが、この間、倉庫に火をつけ混乱を起したナミは脱走に成功する。

そして、厳重な警戒網をかいくぐったナミは、杉見、海津(伊達三郎)への復讐を果たすのだった。

 

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コメント:

 

「女囚さそり」シリーズ第1弾。

刑務所を舞台に、梶芽衣子扮する女囚・松島ナミが、周りの人間から受ける暴行などに耐えて脱走を試み、過去に自身を裏切った男たちに復讐しようとする内容となっている。

作中では殺人のほか陵辱、リンチなどの凄惨なシーンが含まれている。

 

女刑務所でのしきたりはこうなっていた。

女囚たちは、数十人いる一般女囚と、選ばれた数人だけの女囚(班長グループと呼ばれている)の2つに分類されている。

囚人服は一般女囚が青系の服に対し、班長たちはオレンジ色のものを着用して区別されている。

作中の刑務所では、所長の郷田を頂点に看守のリーダー、サブリーダー、その他の看守と主従関係にある。

さらに看守の下に女囚の班長たち、その下に一般女囚たちという序列構造になっている。

ただし、一般女囚がいつも班長グループに従うということはなく反抗的な態度を取ることもある。

ちなみに班長の女囚が一般女囚に降格することもある。

 

暗くて湿っぽいムードの映画だと思えるポスターだが、中身は意外や意外、王道の娯楽作だ。

男と女、犯罪と復讐、銃とヌード、、、。

B級活劇に求められる要素をすべててんこ盛りにしたような内容で、飽きさせない。

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男(警察権力)と女(囚人)の対立が軸になっているが、当時の世相も反映させているようだ。
女囚が人質の警官を「レイプ」するくだりは、公平な感じがして面白くも好感が持てる。

こんなことを良く考えるものだ。

女囚たちの面構えや雰囲気が本当にリアルな感じで、横山リエや扇ひろ子には梶芽衣子に負けるとも劣らぬ存在感がある。
女囚の中に、警察側について仲間を監理・処罰する「班長」を置いていることも、人間集団の支配-被支配の現実をリアルに描き出している。

梶芽衣子ひとりは最後までクールさを失わないが、周りは「うらぶれた」雰囲気や「斜に構えた」態度とは程遠いギラギラと熱いキャラクターだらけ。
予想外に熱く、面白い作品になっている。

 

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女囚に身を落とした女性が、単身脱獄して、憎い男たちを全員殺害するという胸のすくエンドになっている。

梶芽衣子渾身の主演作品だ。

 

1972年のお盆映画だった高倉健主演・降旗康男監督の『新網走番外地 嵐呼ぶダンプ仁義』が予想外に不入りで、その直後に公開された本作が大ヒットし、不況下の邦画にあって珍しく一週間ロングラン上映された。

「網走番外地シリーズ」といえば長く東映の屋台骨を支えた東映最大のヒットシリーズ。

期待の四番バッターが三振して、ピンチヒッターがホームランを打ったようなものだった。

(配給収入は不明)

 

日活時代は不遇に泣いた梶芽衣子だったが、当時東映のトップ女優だった藤純子の引退直後に東映に移籍が叶う。

そして、ようやくここで、「銀蝶シリーズ」と「女囚サソリシリーズ」の2つを持つ東映の女優の中で別格の地位に一気に上昇した。

 

本シリーズの目玉として、主題歌「恨み節」を忘れてはいけない。

梶芽衣子の怨念がこもったこの名曲もなかなか良い。

歌も上手かったのだ。

 

 

 

この歌の歌詞に「夢よ未練と嗤(わら)われて・・・」という部分がある。

この「嗤(わら)われて」とはどういう意味なのだろうか。

 

どうやら、普通に「笑う」ということではなく、

「嗤う(わらう)」とは、「人を見下してあざけり笑う」という意味。

相手を馬鹿にして「フンっ」と鼻で嗤ったり、相手の失敗を見てニヤニヤ嗤いながら面白がっているというニュアンスがありありなのだ。

実に「恨み節」にぴったりの漢字だ。

この意味を知ると、梶芽衣子の気持ちがさらにグッとくる。

 

 

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