DVDで映画『カストラート』を観た。
※カストラートとは、ボーイソプラノの美しい声を残すため、少年の時に去勢された男性歌手のこと。男性の肉体でもって声質や音域を自在に出せたという。
カストラートの光と影の部分、それとバロック時代、ファリネッリという実在した人物がどう存在していたのか、とても興味があった。
なんとなく怖い感じもしたが、実際こうやって映像で観てみると、
脚色はもちろんあると思うが、今現在の私たちとはなんら変わらない一人の人間だと思った。
むしろ現代人よりよっぽど人間的な心のある人生を送っていたのかもしれない。
演奏家は強靭な精神力に反してデリケートで繊細な神経をも必要とされる。
それに歌い手とあらば、肉体的にも強く、美しさも要求されるであろうから、
ファリネッリが実際、容姿が美しかったかはわからないけど、まさにその時代の頂点のカストラートだったのがわかる。
個人的には、この映画はもう本当にファリネッリが美しすぎて目が離せませんでした
そして映画のために駆使して再現したと言われるその声にも圧倒させられました。
特にヘンデルの『私を泣かせてください』は、歌詞がまさにファリネッリの人生そのものなのではないか、と思えるほど。悲しさが美しさに思えてしまう。。
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https://www.youtube.com/watch?v=u7rsigVubUI&feature=share
芸術に貪欲な時代がそうさせたのだと思うが、芸術とはここまでいってしまうものなのか。きっとファリネッリもお金持ちで裕福な生活とは裏腹に、他人にはわからない闇の部分も持っていたのだと思う。
成せる技を全て使う、なにかを犠牲にしてまで極める芸術に違和感をもちつつ、
『芸術とは・・』と改めて考えさせられる映画でした。