山陰合同銀行(通称ごうぎん)は、山陰地区最大の銀行で、島根・鳥取両県の指定金融機関となっています。このことは都銀でも例がない複数の県の指定金融機関となる唯一のケースです。さらに複数の県で最大のシェアを有すことも地銀では非常に稀なケースです。
本店ビルは14階建、高さ75メートルで、島根・鳥取両県、すなわち山陰地区で一番の高さを誇る建物です。
ごうぎんの前身の1889年(明治二二)年8月31日に設立された松江銀行(本店 松江市)と、 1894年(明治二七)年1月17日に設立された米子銀行(本店 鳥取県西伯郡米子町[現 米子市])が、1941(昭和一六)年7月1日に合併して誕生した銀行です。その後も複数の近隣銀行を吸収合併、大手都銀の支店の営業譲渡を受け現在の形になっています。
本店ビルのある松江市の白潟は松江開府以前の中世からの古い土地で、松江一の商業地として栄えてきました。
庶民には全く縁がなさそうな巨大本店ビルですが、最上階である14階は展望室として広く一般に開放されています。展望室へは専用エレベーターを利用して直行できます。
14階エレベーターホールから東・南・西と時計回り地上65メートルの展望台から松江市内290°ぐらいが一望できます。
東
松江駅周辺、一畑百貨店、イオン松江駅前店、NTT西日本松江ビル、NTTドコモ島根ビル。
大橋川を跨ぐ高架道路は松江だんだん道路。
大橋川に架かる橋を左から「松江大橋」、「新大橋」、「くにびき大橋」。松江のまちは大橋川で南北に隔てられていることから大橋川の北を「橋北(きょうほく)」、南を「橋南(きょうなん)」と呼びます。
大橋川の向こうは京店と呼ばれる古くからの繁華街で、南を大橋川、北を京橋川、東を上追子川、西を四十間堀川に囲まれた小さなマンハッタンです。
そこには、商店や飲食店、宿泊施設や第二地銀の本店、松江市役所、松江地方合同庁舎などに加え民家などがひしめいています。
今年、創業100周年。みんなのしっまっぎん♪島根銀行本店。
しまぎん本店の向こうに見える白い建物は松江赤十字病院。
地上14階建、塔屋1階、松江で2番目に高い建物です。高さ63.20mは、うめだ阪急とほぼ同じ高さ(1フロアの階高4.95m×13階)です。
東、眼下
城の盾として寺院をまとめた寺町。
直下に見えるのは、1953(昭和二八)年竣工の山陰合同銀行旧本店、現・本店白潟別館。
白潟別館前の通りは松江本町通り商店街。
大正レトロなビルは、1925年に松江で最初に建てられた鉄筋コンクリートのビルだと言われています。
竣工当初は、高級食材を扱う「出雲ストア」で喫茶室やサロンなども備えていたということです。
空から見るとこのようになっています。
ファサードの雰囲気を壊さぬよう、複雑に増築されています。
松江本町商店街を南に下ルと正面にみずほ銀行松江支店。
天神町商店街との境になるこの交差点は十字路なのですが、南北に鉤型になっています。これは松江城の築城時、山陰道から敵が攻め込んでくることを想定し、防衛のため計画的に配置されました。この西と東の十字路も鉤型路になっており、松江が城下町であったことを証明する痕跡です。
みずほ銀行の向かいに立つ角を丸く切っているビルは、1949(昭和二四)年竣工、呉服商の福寿苑ビル。
近年、竣工当時の面影を残しながら改修されたということです。
ごうぎん白潟別館の斜め前辺りにあった全蓋式(ぜんがいしき)アーケードを有す大橋商店街。
2011年初夏に訪れた時に撮ったものです。先日訪れた際に確認すると、アーケードが撤去されていました。
南
嫁島、島根県立美術館、白潟公園、白潟天満宮、山陰本線。
西
宍道湖大橋、末次公園、松江市役所。
市役所西、R431号沿いの国土交通省松江堀川浄化ポンプ場では、宍道湖と堀川の水位を調整して、市街地が浸水しないように調整しています。
また、堀川遊覧船の運航に支障を来さぬ様、堀川の水位を一定に保っています。
北面は一般立入禁止スペースですが、西面部屋の隅に狭間のような窓が設けられており、そこから松江城を見ることができます。
おわり。
◆山陰合同銀行本店 概要
所在地:島根県松江市魚町10番地他22
設計:日建設計
施工:山陰合同銀行本店建築工事JV
竣工:1997(平成9)年9月
構造:地下RC造、SRC造 地上SRC造、S造
階数:地上14階、地下2階、塔屋2階
高さ:75メートル
●展望室開放時間
・4月~10月 10時~18時
・11月~3月 09時30分~17時30分
◆参考資料
「山陰合同銀行本店の空調設備」 (株)大林組 広島支店 加藤忠 著