ハッピー・ハロウィーンハロウィンハロウィンハロウィン

忙しくてなかなか更新できない10月でしたがいかがお過ごしでしょうはてなマーク
以前から『ギニーピッグ』の想い出を書くと予告していましたがビデオテープ
せっかくですからハロウィンの晩に合わせて記事を公開しようと思いますクロウビー8



『ギニーピッグ』とは何ぞやはてなマークという詳細は、以前にこのブログにおける血痕
和製スプラッター映画の系譜をたどる記事クリック!で簡潔に説明したのですがアメーバ
要は日本における本格的なスプラッター(血まみれ)ホラー映画のジェイソン
元祖と言えるビデオ映画で、1985年から1989年までシリーズが続きましたビデオテープ

しかし1989年に宮崎勤事件という猟奇殺人事件が発生した際に八つ墓村
容疑者の自宅から『ギニーピッグ』シリーズの中でもコメディ・タッチの悪魔の棲む家
第4作『ギニーピッグ4 悪魔の女医さん』(1986)が押収されたことからビデオテープ
テレビや雑誌によるスプラッター・ホラー映画への批判が巻き起こりましたga-n*

宮崎勤が所有していたビデオは『悪魔の女医さん』だったにも関わらず廃病院。
事件との類似性から、誘拐殺人を描いた『ギニーピッグ2 血肉の華』(1985)血痕
が押収されたという誤報がなされ、『血肉の華』は事実上の禁書扱い禁

僕が成長して『ギニーピッグ』の存在を知った時には、レンタルビデオ店でビデオテープ
第1作『悪魔の実験 ギニーピッグ』(1985)や第2作『血肉の華』を見かけるマガジンラック
ことはまったく無くなっており、完全に「幻のビデオ」となっていました窓


ぼくと『ギニーピッグ』

1985年12月生まれの僕にとって、『ギニーピッグ』はいわば同い年です。

宮崎勤の事件が起こった時、僕はまだ3歳~4歳という幼い時期だったんで、
事件に関するテレビ番組などを見た記憶は頭の中に全く残っていません。
だから事件を取り巻く報道への意見云々は、何か言おうとしても他人の
言葉の受け売りになるだろうし、僕自身の言葉としては何も言えません。

『ギニーピッグ』の存在を知ったのがいつだったのかはあまり
ハッキリと覚えていないのですが、隣町のビデオレンタル店で
『ザ・ギニーピッグ2 ノートルダムのアンドロイド』(1988)
というビデオを見かけたことがきっかけだったと記憶しています。



このビデオ…、メーカーとしては特に「成人指定」してなかった筈なんですが
レンタル店独自の措置としてパッケージに「18歳未満の方の鑑賞はお断りします」
と書かれた紙が貼ってあったことで、このビデオへの興味がわきました。

確か僕が中学1年くらいの時にこのビデオに出会ったんじゃなかったかな。

「18歳未満は見れないくらい怖いか、もしくはグロい映画ってこと!?

借りたいけど、窓口で貸し出しを断られたら……その上、レンタル店を
出入り止めにされちゃったりしたら他のビデオも借りれなくなるし……。

と、幼くてまだ純真だった僕は「成人指定」ビデオを借りる勇気が出ずに
そのレンタル店に行く度に『ノートルダムのアンドロイド』のパッケージを
眺めては悶々として過ごすのが、中学から高校にかけてずっと続きました。

見たくても見る勇気が出ない『ノートルダムのアンドロイド』への興味が
頭の中で膨らんでゆきました。そしてこのビデオには『ザ・ギニーピッグ2』
という謎のレーベル名?みたいな物が冠せられていたことから、どうやら
単発ではなくシリーズものであるらしいことが気にかかりました。

『ギニーピッグ』の他のシリーズとしてはどんな作品があるのだろうはてなマーク
『ギニーピッグ』といういかにも怖そうなシリーズ名は何を意味するのだろうはてなマーク

『ギニーピッグ』という言葉についてはカタカナ語辞典で調べてみたの
ですが、幼い僕には要領を得ない書き方でありイマイチ理解できず。
その時期に江戸川乱歩の随筆で覚えた「グルーサム」という言葉や
澁澤龍彦の随筆で知った「グラン・ギニョール」と同様に「ガ行」
言葉だから、似たような意味なのだろうかと勝手に思っていました(笑)

そして『ギニーピッグ』シリーズの全貌については、調べたくても
調べる手立てが分からず悶々としていたある日のこと。
図書館で「ビデオソフト目録」という分厚いカタログを何冊か発見しました。

パラパラめくってみると、国内で販売されたほぼ全てのビデオを
パッケージ表紙の写真を載せて網羅しているといった、非常に
便利な冊子ではありませんか。

そしてその中から『ギニーピッグ』を探してみると、おお、あるではないか。

『悪魔の実験 ギニーピッグ』(1985)
『ギニーピッグ2 血肉の華』(1985)
『ギニーピッグ3 戦慄!死なない男』(1986)
『ギニーピッグ4 悪魔の女医さん』(1986)
『ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚』(1988)
『ザ・ギニーピッグ2 ノートルダムのアンドロイド』(1988)

実際にはこの後、『ザ・ギニーピッグ3』として発売される予定だった
『LSD ラッキー・スカイ・ダイアモンド』(1989)もあるのですが
結局『ギニーピッグ』のシリーズ名を冠して発売されたビデオは
上のように6作品。

そしてメイキングの『メーキング・オブ・ギニーピッグ』(1986)
『ギニーピッグ 惨殺スペシャル』(1991)というラインナップ。

「それにしてもこの『ギニーピッグ』って一体どういうシリーズで
どういった企画意図で製作されてどのような反響を呼んだんだろうはてなマーク

その当時はネットが今ほど広く普及していませんでした。特に中高生が
気軽にパソコンを操作して危険の多いインターネットを見放題という時代は
まだ到来していない時期。何かを調べるには書物しかありません。

色々な文献を読み漁っても『ギニーピッグ』について総括的に述べたような
書籍が見つからなかったのですが、その実情は思いもかけないところで
知ることが出来たのでした。

それはミステリ界の鬼才として注目を浴びていた綾辻行人が「スプラッター」
に挑んだ長編小説『殺人鬼』のあとがきだったと記憶しています。

今、本が手元にないのですがその記述を読んだのは『殺人鬼』の新潮文庫
から刊行された文庫版であった筈です。…所有している方はご確認ねがいます。

そこで僕が幼い時期に起こった「宮崎勤事件」と、それに関連した
ホラー映画に関するメディアからの激しいバッシング、そして
騒動の中で事実上の「禁書」扱いを受けたのが『ギニーピッグ』
であったことを知った……と記憶しています。

違ったかなはてなマーク……綾辻行人の『殺人鬼』のあとがきには『ギニーピッグ』
について触れた部分は無かったかもしれない……。

(『殺人鬼』はあまり僕の好みに合わずに手放してしまったので、あとがき
で綾辻氏が宮崎勤事件に始まるホラー映画バッシングについて述べた部分
の記述に関してはうろ覚えです……記憶がごっちゃになってるかも…)

とすると、どこで事件のことを知ったのか分からなくなりますが、
とにかく『ノートルダムのアンドロイド』で知った『ギニーピッグ』
というホラー映画のシリーズを調べていて、宮崎勤事件の話にたどり
ついたのは間違いないです。

どうやら『ギニーピッグ』は僕が想像していた以上にヤバいビデオだったらしい。

別の文献だったと思いますが、事件をきっかけに『ギニーピッグ』の
ビデオはレンタル店から撤去されて廃棄処分されたという噂も知りました。

果たしてこの『ギニーピッグ』を…とりわけ初期の問題作『悪魔の実験』
と『血肉の華』を、この先僕が目にすることはあるのだろうか……。
と、絶望的な想いにさえなってしまいました。


『ギニーピッグ』初体験は『戦慄!死なない男』



そして僕が中学2年の頃に、昔から利用していたレンタルビデオ店の
「あんまり人気がないビデオを他のよりも安く貸出ししてるコーナー」
(他には『餓鬼魂』(1985)とか『アギ 鬼神の怒り』(1984)などがあった)
で、『ギニーピッグ3 戦慄!死なない男』(1986)を発見したのでした。

僕は長らくその店に通っていながら、お目当ては洋画コーナーでしたからね。
それで存在に気付くのが遅かったのだと思われますが、コメディ・タッチの
『ギニーピッグ』第3作がそのお店の邦画コーナーにずっと置いてあったんですね。

『悪魔の実験』や『血肉の華』もないかとそのお店を隅々まで探して
みたのですが、あいにくと置いてあったのは『死なない男』だけでした。

『ギニーピッグ』シリーズの作品であることは間違いなさそうですが、
パッケージには「世にも恐ろしい爆笑があなたを襲う!!とか、
「この恐怖にあなたは吹き出さずにいられるか!?なんて書いて
あって、どうやら僕が見たい『ギニーピッグ』とはちょっと違うタッチの
パロディ系ブラック・ユーモア作品であることは想像できました。

ちなみにこのビデオで、長らく謎だった『ギニーピッグ』というタイトル
の意味が「実験されるモルモット」を意味すると知ったのでした。

とにかくこれだって憧れの『ギニーピッグ』のひとつには違いないから
期待半分・不安半分の心境で『死なない男』のビデオを借りてみました。

で、見た感想としては「けっこう面白かった」「レンタルだけじゃなくて
中古ビデオとして販売されたら購入したい」といった好印象でございました。

死なない男と化した主人公が自分の腹を切り裂いて臓物を引きずり出し
ながら「胃腸取っても、イイ調子」「大腸取っても、ダイチョウブ」とか、
挙げ句の果てには空っぽになった自分の腹を見て「内臓がもうナイゾウ」
と言うトホホなギャグが、あまりの下らなさにかえってツボでした。

で、『死なない男』の本編終了後に『ギニーピッグ 悪魔の実験』
『ギニーピッグ2 血肉の華』の予告編映像が収録されていて、これが
「なんかよく分からんが凄い!」と思わせる迫力のある映像だったんです。

『悪魔の実験』での眼球に注射針を突き刺すシーンがちょっとだけ流れて
そのあまりのグロテスクさにショックを受けたり、『血肉の華』の予告編
では「怪奇漫画家・日野日出志が描く、耽美な血の世界」というキャッチ・
コピーが流れ、『血肉の華』にあの日野日出志が関わっていると知って
驚かされたりと、ますます『ギニーピッグ』への興味がわきました。

『ギニーピッグ3 戦慄!死なない男』を見たことによって憧れの
『ギニーピッグ』の片鱗に触れることが出来、特にその生々しい
特殊メイクによるスプラッター描写を見ることができたことで
僕の中で『ギニーピッグ』全作品に対する興味はますます膨らんで
いったのでした。

せめて隣町のレンタル店に置いてある(けど18歳未満貸出し禁止の)
『ザ・ギニーピッグ2 ノートルダムのアンドロイド』だけでも何とか
見られないものだろうか……と思いながらも、ついにマジメな僕は
「18歳未満は借りちゃダメ」と書いた紙が貼ってある『ノートルダム…』
を借りる勇気は出ないまま高校を卒業して町を離れました。


そして大学に進学した先の土地でレンタルビデオ店を見つけた僕は
そこで『ギニーピッグ4 ピーターの悪魔の女医さん』(1986)のビデオが
置いてあるのを発見して、狂喜乱舞しましたともさ。

ちなみにそのお店で『Nighty Night ~真夜中の悪夢~』(1986)の
ビデオを借りたのも想い出深いですな。まあそれは別の機会に
語ることにして、今回は『悪魔の女医さん』のことです。

パッケージを見た印象としては第3作『死なない男』に近いノリの
血しぶき飛び散るブラック・コメディなんだろうとは予測してまし
たが、これが目も当てられないほどに酷い出来でした。

『死なない男』は「どんなに体を切り刻んでも死ななくなって
しまった男」の悲喜劇を血みどろの特殊メイクを駆使して描く
という構成の簡潔さが、特殊メイクの生々しい技術と相まって
絶妙の黒い笑いを生み出していて面白かったです。

しかしそれに続く『悪魔の女医さん』は、ただひたすら悪趣味で汚い
ジョークを並べ立てるだけで洒落っ気も何もない、ただただ不快なだけ
の作品でした。宮崎勤も、こんなのをよく所有してたもんです。


長くなるんで今日はここまでかな。

<つづく>