こんにちは!

成田万寿美です。

 

直木賞作家の阿部牧郎さんが亡くなりました。

享年85歳。

 

阿部さんとは、

かつてKBS京都のラジオ番組、

「阿部牧郎の話のターミナル」で長くご一緒させて頂きました。

 

時事問題からスポーツ、ちょっとエッチなネタも、

作家らしい独自の視点と切り口で話され、

バリトンのお声も心地よく、大人気番組でした。

<成田30代です>

 

私が出演していたテレビの旅番組に、

一度だけご一緒頂いたことがありましたが、

段取りの多いテレビ番組はお好きではありませんでした。

 

でも、本音で自由に語ることのできるラジオでは、

生き生きと阿部ワールドを繰り広げられていました。

そんな阿部さんから、私は、ラジオの面白さ、

生放送でのやり取りの妙を教えて頂きました。

 

時に過激な阿部さんの言葉が物議をかもすこともありましたが、

長寿番組の終了を告げられた時の、

寂しそうなお顔と姿が忘れられません。

 

阿部さんは、いつも「人間の本質」を見ていらしたように思います。

軽妙な語りの中に深い洞察と人間愛がありました。

あんな素晴らしいラジオ番組は二度と生まれないでしょう。

 

ラジオのパーソナリティは、

自分の内面をさらけ出す覚悟がなければリスナーに伝わりません。

「言葉と声」から、話し手の全てが伝わってしまいます。

個性が立っているから「パーソナリティ」なんですね。

 

私も、まだ30代!未熟ながら、

等身大の自分を精一杯ぶつけさせて頂きました。

いえ、阿部さんの言葉に引き出されてたのだと思います。

 

そして、生放送が終わると、スタッフ全員を連れて、

京都のおばんざいや一流のお料理を食べにいかれました。

京都を愛する阿部さんと、あちこちの名所も散策しました。

その時間が、阿部さんの楽しみでもあったと思います。

「俺は作家やからな、ラジオのギャラは小遣いや。

みんなと使いたい!」と。

誰より楽しそうでした。

<京都の秋田料理店。秋田は阿部さんのふるさと。

八海山を飲みながら、秋田音頭を歌われるのがお決まり!>

 

<阿部さんの本のあとがきを書かせて頂いたことも>

 

その後、東京で何度かお目にかかりましたが、

私からご連絡することはなく、ご無沙汰を重ねていました。

 

原稿の締め切りに追われ、徹夜されても、

翌朝の生放送を休まれたことのない阿部さんを、

私はどこかで、「不死身」だと思っていました。

さみしいです。

ごめんなさい。

もう一度会いたかった。

いえ、ラジオで一緒に話したかったです。

きっと今の時代の危うさを、小気味よく切って下さったことでしょう。

 

今は、ただただ感謝の涙が止まりません。

「話のターミナル」のオープニングテーマ曲が聞こえてきます。

そして、いつもの2人の第一声!

「阿部牧郎の〜(阿部さん)話のターミナル!(成田)」

 

私は、作家 阿部牧郎さんを忘れません。

心よりご冥福をお祈り致します。

 

万寿美