平田川でヌートリア 県内で10年ぶり捕獲 生息調査 | 近江毎夕新聞

平田川でヌートリア 県内で10年ぶり捕獲 生息調査

 先月二十八日午前八時半ごろ、長浜市山階町の平田川で、ネズミ型の大きな動物が泳いでいるのを、川沿いの住宅に住む男性(68)が発見し、近所の男性と協力しタモ網で捕獲した。県自然保護課が調べたところ動物は、南米に生息する特定外来生物、ヌートリアとわかった。
 捕獲時のショック、ストレスからか、ヌートリアは翌二十九日に、水のないプラスチック水槽内で死亡した。胴長は約六十七㌢、尾の長さは四十㌢、体重五㌔。性別は不明。
 ヌートリアは、外来生物法に基き、飼育や自然界に放つ行為が禁止されている種で、滋賀県内での捕獲は十年前の平成十二年二月、野洲川で発見された一頭以来。今年二月には大津市の湖岸にいる一頭を住民が写真撮影していた。県自然保護課では「県北部でみつかり驚いている。つがいで生息する場合が多く、実態調査が必要だ」と語っている。
 ヌートリアは齧歯目(げっしもく=ネズミ目)に属する哺乳類で、オレンジ色の前歯やドブネズミが巨大化したような姿が特徴だが、おとなしい性格で、池沼や河川の近くに巣穴を掘り、ホテイアオイなど水生植物の茎、葉を食す。上質の毛皮が採れることから戦前は軍隊の防寒着製造用に大量に輸入、飼育され、戦後不要になると捨てられて、野生化した。昭和十九年ごろには国内で推定四万頭が飼育されていたという。昭和三十年代の毛皮ブームでも一部が輸入飼育されていたが、ブームが去ると野に捨てられたとみられる。現在は岡山、京都、岐阜など西日本の広い範囲に分布。水生植物の減少に伴い田畑に出没して農作物を荒らす被害が多発し、平成十七年に外来生物法の指定種となった。計画的に大量駆除する自治体も多いが、滋賀県は目撃例が少なく、生息状況は不明。
〔写真〕死亡したヌートリア