木枯し紋次郎が面白い件 その2 | 徒歩歩日記

木枯し紋次郎が面白い件 その2

 

前回、

紋次郎がカッコイイドキドキ

 と書きつつ、途中から市川崑演出の凄さばかり書いてしまったので、

今回は、紋次郎について。

 

とにかく喋らない。

第1部では

「あっしには関わりのねぇこって…」

 すら言わない。

 

『無縁仏に明日を見た』の回などは、

紋次郎に助けられた男(高津住男氏)が

紋次郎に憧れて楊枝をくわえて歩いたために、

紋次郎と間違えられて博徒に殺される。

その男の子供に「仇」とばかり、

紋次郎は刺されるんだけど、

この回、紋次郎は苦悶の表情だけで、

全然喋らない。

 

あと、どんな女の色仕掛けにもなびかない。

かといって、女に冷たいワケではなく、

むしろ優しい。

前回書いた第3話のラストで、

息絶えたお妙に峠の向こうを見せるシーンや、

第4話の導入部で、人足達にからかわれるお筆をさりげなく救っている。

また、そのお筆がラストで

「行かないで…」

 とすがるものの、後ろも振り返らず去っていく。

 

ここ女性ファンにとって重要ラブラブ

 

更に、酒も飲まない。

食事シーンも、しばしば出てくるが、

これが「不味そう」ビックリマーク

紋次郎の食事シーンの後に、

『必殺』を見て、中村主水の食事シーンを見ると、

なんて美味しそうなんだ!?

 と思えてくる(笑)。

(白米があるだけで、豪華なんだよ)

 

当時の江戸と地方の寒村では、

今の日本とアフリカ以上の差があっただろうから、

あの描写が正しいのだろう。

 

その「不味そう」な「おかゆ」みたいなどんぶりに、

他の漬物みたいな物と、めざしとかを全部ぶっこんで、

箸をわしづかみにしてどんぶりに突っ立て、一気に食べる。

もはや、「食事」ではなく、

単なるエネルギーの補給 である。

この、箸使いの悪さに、紋次郎の育ちの悪さが表現されていて

こういうシーンに手を抜かない演出が

 と、また演出論になってしまった(苦笑)

 

あと、

笑わない。

1回だけ フッと微笑むシーンがあって、

「あんたでも、笑う事があんのかはてなマーク

 と突っ込まれてた。

 

こんなストイックなキャラなのに、

女性ファンが多かった

 というのも面白い。

かく言う私も、すっかり紋次郎ファンで、

毎日、

「あっしが…」

 と、職場で言いたくなる衝動に駆られる。

 

それと、

話数が少ない

 というのも、今回あらためて知った。

あまりにも完成度が高すぎて、短い話数で完結してしまい、

シリーズとして続かなかったのだろうかはてなマーク

本作に対抗して企画された『必殺』が、後にシリーズ化されて15年も続くのが皮肉な結果である。

紋次郎役だった中村敦夫氏も出ている。

余談だけど、市原悦子氏ゲスト回を見て、

『翔べ 必殺うらごろし』が見たくなったのは、

私だけではないハズだ。

 

今回、『新・木枯し紋次郎』まで放映されるかわからないけど、

再放送時の記憶もほとんど残ってないので、

全話見てみたいものだ。