■東京大学・駒場Ⅰキャンパス(国立・東京都目黒区)

 

東大の主に1・2年生が学ぶキャンパス。

 

 

ある意味、ミニ本郷といった趣もある。

 

 

井の頭線の駒場東大前駅の改札を出ると、そこには正門と1号館。

 

何とはなしにというか、なかなかに安田講堂に似たデザインだ。

 

 

ちょっと珍しいのは、1号館を隠すような形で、その真ん前に大きなヒマラヤスギが植えてあること。

 

普通は建物を隠すように植えたりしない。

 

なぜか?

 

あえて推理すると、ここは昔、農学部のキャンパスだったからだろう。

 

関東大震災でキャンパスがほぼ壊滅したのを機に、農学部(駒場)と、第一高等学校(現在の弥生キャンパスに位置)が敷地を交換。

 

でまあ戦後、一高が東大教養学部となり、今日に至った。

 

ということもあって、「農学部の主役は建物ではなくて、植物だよ」というメッセージなのではないだろうか。

 

あるいは、ヒマラヤスギの花言葉は「たくましさ」。

 

キャンパスの主役は設備ではなく、たくましく育っていく学生だ、という解釈もできるかもしれない。

 

ロマンチックすぎるか。

 

それはさておき、左手には900番教室。

 

 

右手には駒場博物館。

 

 

双子のようにそっくりな建物だ。

 

900番の中はこんな感じ。

 

 

他にも、昔の建物はいくつか残っている。

 

 

レトロな3校舎のデザインはいずれも内田祥三なので、ミニ東大チックになったわけなのだが、微妙な違いも面白い。

 

例えば1号館、見た目には岸田日出刀設計の安田講堂似なのだが、細部の装飾具合は典型的な内田ゴチックだ。

 

900番と博物館は白壁が印象的。スクラッチタイル尽くしの本郷より、どちらかというと、農学部から分離移転した現・東京農工大(府中キャンパス)の本館を思わせる。

 

農工大本館も内田の設計だ。

 

ほかにも内田時代の旧校舎や、戦後派の年季の入った校舎。

 

最近作られた新鋭エリアも様々に。

 

 

 

全体として、農学部のキャンパスだったからなのか、緑が豊かだ。

 

 

学生たちは木陰でスマホをいじったり。

 

 

横になってゴロゴロしたり。

 

禅の精神を、身に着けたり。

 

 

キャンパス端には本郷の三四郎池に対抗したのか、一二郎池があったりする。

 

 

池の周辺は一部、小学生以下立ち入り禁止になっている。